表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天上のダイアグラム  作者: R section
第7章 過去の証

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

116/122

第115話 嘗ての倫理

大佐は夜の帳を背に立たずむ。


「やはり、すべては変えきれないようだな。」


人類が繫栄を続け、多くの時が過ぎ去った。


その中で培われた経験や歴史は変わることなく受け継がれていく。


これは、大きく変わることがないという担保の象徴であり


その反面、完全ではないという証明でもあった。


近代では、情報の価値が重視され完全だと証明するために記録する。


だからこそ、現代において歴史を偽るということは難しくもあり簡単でもある。


「記憶だけは弄れない。そのはずなんだ。」


大佐は記憶と経験だけは老いても、歪められても変わらないことを知っている。


記録を変えたところで、事実はねじ曲がったとしても認知までは歪まない。


「故に、私は覚えている。」


大洗で、初めて煮っころがしを見た時


(あれ、干し芋じゃないのか?)


そう違和感を感じた。


次第に煮っころがしかもと思うことがあっても、それは変わることのない違和感の確信へと強化されただけ。


「やはり、心理的不安を煽ったか何かしらの空間干渉だな。」


大佐は確信した。変わった歴史の中で確実に、そして単純にふんわりとした違和感だったそれは


「精神的に不安定...それも地域ごとか...」


おそらく、何か地域全体に不安を煽るようなことが行われたのだろう。


デマかもしれないし、実害を伴ったかもしれない。


だが、何かしら不安定になるだけの精神的高負荷を掛けていたことは間違いない。


「ならこれは干渉するだけの理由になる。」


大佐は内心、いい気持ではなかった。


だが、己の感情でMoRSを動かしてはいけない。


嘗て、倫理捨て、渇望し、鬼となった彼にとって


経験という名の歴史をいじられるのはたまったものではなかった。


だが”歴史を変え、不安を煽る”という行為だけでは倫理の破壊とは言えない。


「とはいえ今は観測だな...」


大洗の宿に、ため息が流れる。


それに答えるように通知音が鳴る。


「大佐、青森でパニックが」


それは敵の仕掛けた罠であり、開戦を告げる合図であった。


―――2026年 6月3日 青森県 津軽地方


田舎の街並みが広がる津軽では、独特の方言で有名であり中でも名物として煮干しラーメンなどが有名であった。


だが、いつの間にか置き換わったそれは、違和感なく受け入れられているようにも思えた。


が、しかし...


「煮干しラーメンだ。俺が好きなのは煮干しラーメンなんだ!!!!」


とあるラーメン屋では店主が唐突に叫び出した。


「え、青森と言えば煮卵じゃないか?」


「だけんど、うちでは煮干しだず。」


何かを思い出したかのように叫び出す様子は瞬く間にSNSで拡散された。


青森各地では、その動画を見て思い出したかのように煮干しラーメンを作り始めるラーメン屋が続出


勢いのあまりもはやこれが名物では?というコメントもちらほら見られていたが


本当に恐ろしいのはこれからだった。


まるで爆発したように広まったそれは、偶然の産物ではなかった。


文献を見れば明らかに煮干しラーメンが青森の名物であると書かれている。


どう考えてもおかしい勘違いを青森県民がしていた。


それは、明らかに不可解で恐ろしい何かを暗示している。


”歴史が変わっているかもしれない”


そう気づいてしまった....

次回は一週間以内に更新。つづきを追いやすくするため、**ブックマーク(しおり)**で目印していただけると助かります。


また、作品のご感想やご意見もお待ちしております。厳しいご意見でも構いません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ