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天上のダイアグラム  作者: R section
第7章 過去の証

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第114話 無自覚な歴史

先週くらいから少し体調を崩しています。

どうしたものかと考えることが億劫になってしまったのが運の尽き、若干辛いなという状態が続いております。


この時期特有のものだとは思いますが、社会人というのはつらいですね。


さて、本章で取り扱う敵の仕掛けですが、以前より複雑になっていまして

始めは前章と似ているため別のものにしようかとも考えたのですが、社会心理学やオカルトなどの視点から見ても割と筋の通った面白いものだなと感じ、採用しました。


心理学と科学、この二つは実は切っても切り離せない関係です。

だからこそ、某未来石器時代を扱うマンガには人心掌握に長けたものがいますが、そこにオカルトを足すと某科学ADVのような作風になりますよね。


オカルトは非常に楽しいジャンルであるのですが、なんでもありになってしまう部分もあり、私は扱いに困っています。

今のところ、この作品にオカルトの要素は入れるつもりはありませんが、IFとしてそのようなものと対峙するMoRSの姿を見てみたいものですね。

大佐は昼間に立ち寄った煮っころがし屋の話をしようとしていた。


「曰く、干し芋は空気に触れると一気に鮮度が落ちるらしい。」


「一応生鮮食品ですからね。」


「ああ、そしてやはり伝説というか、昔話の類から名物化しているようだった。」


「昔話というと、オカルト的なニュアンスですか?」


「確かに、風説によれば霊的存在や神格のようなものは各地の伝承による具現化と言われることもあるが、残念ながらMoRSの観測網であってもそのような存在は確認されていない。」


「ですね。」


「だが、事実において伝承や昔話は禁忌を伝える手段である。今でいう教養の中に含まれるいわば”あたりまえ”を伝える手段というわけだ。」


「それが干し芋と煮っころがしにどう影響するのでしょうか?」


「その伝承が記録から何もかもが一度にすり替わったらどうなるだろうか?」


「すり替わると、歴史が変わったようにみえるだけでは?」


「もっと簡単に表すなら認知の摩り替えだ。」


「となると勘違いが横行しますね。」


「だろう。そして、その勘違いが勘違いでなくなるには何が必要か」


「まさか。」


「すり替わったことにより、勘違いに感じたことを肯定されると、勘違いは記憶の中で真実に変わる。そして、自然に勘違いを肯定するのであれば、それは多数化がもっとも効率的だろう。」


「それだけで歴史が勘違いされたままになるでしょうか?」


「もしも、仮に誰かが意図的にこれを行うとして、勘違いしたままにするのであればネックとなるのは情報社会において情報をすり替える精度と規模だろうな。」


「そういうお話であれば、今回は適していない場面で行っているということになりませんか?」


「ああ」


「少なくとも、被害は何も出ていません。このまま静観すればよいのでは?」


「そうですね。経済的にも大きな損失は発生していません。」


「観測値でも、社会心理の状態悪化は認められていませんし」


「それが問題なんだ。」


大佐は困っていた。


今まで、敵は必ず何か致命打となる一手を打っている。


だが、今回はただの歴史のすり替えだ。


何のために行っているのか、何の意図も見えない。


「とはいえ、社会に悪影響が出ないのであれば、ましてや崩壊規模でもないのであれば、我々に干渉できる場面はないでしょう。」


「というが、少なくとも正史の破壊ではあるんだ。だからこれをどうとるのか、考え方次第では調律もあり得るだろう。」


「少なくとも、今はないでしょう。という話です大佐。」


「ああ、それはそうなんだが」


何かが引っかかる。


少なくとも第三者であるMoRSにとって違和感があるだけで、何ら問題はない。


しかし、何か見落としている気がしてならない。


「大佐が間違っているとは思っていません。倫理の鬼であるあなたが倫理的に見過ごせないのも分かります。ただ、我々の知る歴史もどこかですり替わったものであってもおかしくない。」


「そうですよ。歴史がすり替わっても倫理的には問題ないでしょう。」


会議は何もしない方向へと傾き始める。


しかし、大佐は何か思うところがあるようだ。


それは、のどに引っかかった魚の骨のような気持ち悪い違和感だった。


「大佐。よろしいですか?」


「柳か、なんだ?」


「私が思うに、このすり替え...気持ちいいものではないんですよ」


「そうだな。思い入れがある分やはり何か許しがたい部分はある。」


「でも、その中には感情を抜きにしてもまだ残る気持ち悪さというのがありますよね。」


「...!そうか」


「はい。多分ですけど、敵が仕掛けたものならこれが何らかの起爆剤になっているとは考えられませんか。」


「よく気づいたな。それにしてもこれが事実なら盛大なマッチポンプだ。」


「それこそ歴史が物語っているではないですか。満州の一件だってそうでしょう?」


「ああ、ただこれも平行線になることをわかっていうが、今は何も確証がない。」


「はい。なので観測を続ければいいと思います。」


「マイペースなのか、ただの感覚派なのか...わからんな」


「自分では真面目なつもりなんですけどね」


「まあいい。とりあえずは現状維持だな。」


会議は観測を続ける方針でまとまった。


柳の助言で大佐はなにかしらの可能性を見出した。


それがいったい何なのか、それはもう少し先の話。


次回は明日更新。つづきを追いやすくするため、**ブックマーク(しおり)**で目印していただけると助かります。


また、作品のご感想やご意見もお待ちしております。厳しいご意見でも構いません。

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