第113話 仮初の歴史
―――翌日 大洗町内
干し芋が煮っころがしに置き換わったと発覚し、一日が過ぎた。
依然、大洗名物は煮っころがしという情報だけが手にはいる。
三人は観光客で賑わう町内を散策していた。
すると
「煮っころがしどうだい?」
煮っころがし屋の店主が客引きをしている。
「やはり事実を知っているととても違和感があるな。」
「こういうのって実際に買ったり食べたりしなくてもいいの?」
「情報は大いに越したことはないので、本来であれば食べたほうが良いでしょう。」
「まあな...ただ怖いんだよ。知らない人からチョコレートをもらった時みたいな...」
「なるほどね。確かに言われてみれば怖いかも」
すると携帯型デバイスを通じて雪乃が
「(私が毒物などの有害判別をするので、一度食べてみてください。)」
「(そう...だな)」
「しずめ様、一度食べてみましょうか」
「え、いいの?」
「ああ、ひとまずは情報が欲しいしな」
「すみません、煮っころがしを三ついただけますか?」
「あいよ~ちょっとまってね~」
暫くして、煮っころがしが手渡される。
簡易的な容器だが、しっかりと暖かく食べ応えのありそうな印象だ。
「(大佐、問題はありません。少し、一般的な煮っころがしと違う様ですが、人体に影響があるものは検出されませんでした。)」
報告を受けてすぐ、店の外に配置された飲食スペースに移動した三人
「じゃあ食べるか。」
「いただきます。」
おそらく気になっていたのだろう。
しずめは真っ先に料理を口へと運ぶ。
「おいしいね。煮っころがしって甘いんだ。」
「甘い?」
「うん。何だろうサツマイモなのかな」
「...サツマイモか」
何か思うところがある様子の大佐は、店主に話しかける。
「とてもおいしいですね。こだわりの素材があるんですか?」
「おうよ!!大洗の煮っころがしは干し芋をつかってんだ!」
「!!!」
「珍しいだろうな!大洗は昔から干し芋で煮っころがしを作るんだ。」
「それは興味深いですね。どのような歴史が?」
「お、いいね!それじゃあ...」
―――同時刻 とある観光地
日本の南方にある、とある地域では観光客が異変を体験していた。
「あれ、ここって鳥の煮込みが有名なんだっけ?」
「そうだよ?」
「島の人間はみなこれ食べてっさ」
「豚だった気がするんだけどなぁ」
「いやいや、鶏の方がたくさん飼えるに、昔は皆飼ってたんさ」
「そうなんだ...まあいいか」
―――夜 大洗の宿 定期報告会
「大佐、南側では、都市部ですら急激に置き換わった可能性があります。」
「やはり、地域に特定のパターンは存在しないのか」
「となると別の規則性があるのでしょうか。」
北は青森、南は沖縄まで異変が観測されている現状
対した社会的不和は起こっていないどころか、何ら社会心理に影響はない。
ただ、事実に気付いたMoRSはその違和感を拭えない。
「規則性については、大洗で興味深い話を聞いた。」
「興味深いとはなんでしょうか?」
「もしかしたら規則性につながるかもしれない。皆もそのつもりで聞いてほしい。」
大佐は昼の煮っころがし屋での話を話そうとしていた。
事実はどうなのか、そのヒントが隠されているのかもしれない。
次回は明日更新。つづきを追いやすくするため、**ブックマーク(しおり)**で目印していただけると助かります。
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