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天上のダイアグラム  作者: R section
第7章 過去の証

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第109話 報告の吟味

―――2026年6月1日 14時00分 MoRS仮想空間戦略会議室 デ・サンクタムα


「あの、これって」


「安心してください。これは我々の持つ仮想空間です。」


「仮想空間?」


「機密度の高い会話を外でする時には、この仮想空間を使用して会話している。」


「なるほど。確かにそういう時には便利だね。」


「それで、本題だが...先日観測員から奇妙な報告があった。」


「私もある程度は把握しておりますが、確かに奇妙でしたね。」


「ああ、どうやらその報告では認識の齟齬が発生している様子だった。」


「にんしきのそご?」


「しずめ様、自分と他の人との間で、何か違う価値観を持っていると思ってください。」


「う~ん...例えばで言うと?」


「しずめはパンと言われると何を思い浮かべる?」


「トーストとかかな」


「じゃあ私は小麦ととらえているとしたら?」


「変わってると思う。」


「それだ。どちらも間違いではないが価値観が違うために起こる認識の違いというやつだな。」


「なるほど!!」


「その認識の齟齬だけであれば普通のことなんだが、それがどうやら地方で昔からある習慣に対してらしいんだ。」


「だから奇妙なのですね?」


「いや、これだけならまずは若者と高齢者との年齢差によるギャップだともとれるが、その祖語というのがギャップで片付けるにはあまりにも大きすぎたんだ。」


「それってつまりトーストと小麦ってこと?」


「察しがいいな。報告では、その地方では昔から地蔵にお湯を備えるらしいのだが、茶を備える文化だと地元の人は言っているらしいんだ。」


「それくらいなら間違いでもおかしくないよね。」


「ああ、だがそもそもネット上ではあまり取り上げられないごく一部の文化であることと、京都大学の文献でも茶だったんだ。」


「ならその人の勘違いじゃないの?」


「ああ、だが文献上にも観測員の証言でもその村は昔貧しい地域で、そもそもその文化と紀元が鎌倉時代にまでさかのぼるそうなんだ。」


「鎌倉時代?」


「ああ、確かに鎌倉時代には抹茶という文化がすでに存在する。一見おかしくないようにも思えるが庶民に普及していたわけではない。」


「そういう地域とか、そういう変わった場合だったってことは?」


「確かに、奇跡的にそういう状況だったからという可能性はある。」


「ご主人様。可能性という観点であればどちらも可能性の段階です。」


「ああ、だから調査するというわけだ。そして、文化の違いを確認するためであれば勝手知った土地で行うべきだろう。」


「だから大洗なんですね。」


「ああ」


「私はどうしたらいいの?」


「しずめは旅行を楽しむこと。そして、調査という場面では普段通りで意見をもらえると助かる。客観的な意見と先入観の強い意見と現地の意見の三方向から情報があればとても助かる。」


「分かった。」


こうして三人は情報のすり合わせと方針を確認した。


「じゃあ戻ろうか」


「はい。しずめさま、そちらの出口をでると仮想空間を抜けられますので。」


「うん。」


そうして仮想空間をあとにした一行


事実はまだわからない。


ただ、確認は必要だということを忘れてはいない。




次回は明日更新。つづきを追いやすくするため、**ブックマーク(しおり)**で目印していただけると助かります。


また、作品のご感想やご意見もお待ちしております。厳しいご意見でも構いません。

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