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あーかい部! 14話 古本

ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立池図女学院。


そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。



3度の飯より官能小説!池図女学院1年、赤井ひいろ!


趣味はケータイ小説、特筆事項特になし!

同じく1年、青野あさぎ!


面白そうだからなんとなく加入!同じく1年、黄山きはだ!


独り身万歳!自由を謳歌!養護教諭2年生(?)、白久澄河(しろひさすみか)



そんなうら若き乙女の干物4人は、今日も活動実績(アーカイブ)を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。

池図女学院部室棟、あーかい部部室。




「……ふぅ。」




静かな部室にパタンと、本を閉じる柔らかみのある紙の音がした。




「もう読み終わったのか?早いな。」


「速読には自信あるからねぇ。」


「速読ってどうなんだ?あんまり中身が入ってこない気がするんだが……。」


「慣れれば問題ないよ?学校の小テストとか、試しにやってみ?」


「休み時間に死ぬ気で暗記するヤツか。ワタシは日頃から予習復習をしているから不要だ!」


「真面目だねぇ。」


「そういうきはだだって、休み時間はあさぎにダル絡みしてる癖してちゃっかり点は取ってるよな。」


「あさぎちゃんを茶化すためなら努力は惜しまない……!」


「あさぎも災難だな……。」


「ひいろちゃんも読むぅ?」


「『北越奇談』……何だこれ怪談?」


「ん。そんな感じ。」


「怪談話速読する人初めて見たよ……。」


「えっへん。」


「褒めてないぞ。……にしても、だいぶ古いなこの本。」


「20世紀の遺物だよぉ〜?」


「新しいの買わないのか?」


「古本はお好きでない?」


「嫌いという訳ではないが、わざわざ読みはしないぞ。学説とかは日々更新されるしな。」


「恐竜のイメージとか変わりまくってるよねぇ。」


「ワタシはフサフサなのも嫌いじゃないぞ。」


「まあ学問は新しいの見た方が良いけどさあ、こういう『お話』系は古い方がオリジンだよぉ?」


「童話とかも改変されまくってるよな。」


「今の子どもは婆汁食べたお爺さんを知らずに育つんだねぇ……。」


「『カチカチ山』な〜。今のお婆さんは殺されないし、食べられないし、怪我をしたくらいにとどまっているんだったか。」


「『あーかい部』の小説もいつか改変されちゃうのかなぁ?」


「そもそも書籍化されないだろ……。」


「されないかぁ。」


「ま、『お話』は面白ければ刷新されるし、今本屋に並んでるのは外れなしってことだな♪」


「でも古いのを知らないと改変トークで盛り上がれないよ?」


「確かになぁ……。そういえば、あさぎからはあんまりこういう話振られないよな。


「あさぎちゃんはシャイだからねぇ。」


「桃太郎の話とか振ったら食いつくのだろうか……。」


「なんとなく怒られそう。」


「そうか?」


「例えばさあ、『ひいろちゃんって桃太郎とか好きそうだよねwww』とか言われてみぃ?」


「ちょっとその本できはだのことぶっ叩いていいか?」


「暴力は良くないねぇ。」


「だな。お化けの本で撲殺なんてしたら祟られそうだ。」


「『ちょっと』って信用ならないねぇ。」


「そもそも古本はもう増えないものだからな。丁重に扱わないと。」


「お、わかってるねえ。」


「古地図とか、記録として貴重なものもあるしな。」


「怪談だって貴重だよぉ?」


「それはまあ……うん。PDFにもしておこう。」


「そいつを言っちゃあお終いですぜ。」


「今は書籍も電子の時代だからな。」


「ひでぇ時代だ。」


「……ここは何部だっけ?」


「雑談部。」


「あまり強く否定できないな……。」






あーかい部!(4)




ひいろ:投稿完了だ


きはだ:タイトル古本にしたんだ


白ちゃん:他の候補があったの?


ひいろ:あさぎ談義

きはだ:あさぎ談義


あさぎ:韻を踏むなっ!


白ちゃん:読んでくるわね


あさぎ:内容次第では削除だから


きはだ:ひえぇ




白ちゃん:懐かしいわね桃太郎


ひいろ:桃から生まれるなんて発想、今考えたらぶっ飛んでるな


きはだ:『桃から』ってのも改変後なのかもねぇ


白ちゃん:桃じゃなかったら桃太郎要素無くない?


ひいろ:桃尻で手をうとう


きはだ:天才か……!?


白ちゃん:これは納得の改変ね


ひいろ:くっ、やはり古書は必要だ……!


きはだ:探せばあるかもねぇ『桃尻太郎』


ひいろ:やはり川から尻丸出しの人が流れてくるのはアウトか


白ちゃん:アウトでしかないわ


きはだ:『土左衛門』と『どんぶらこ』って似てるよね


白ちゃん:音だけやないかいっ!いや音も怪しいけど


ひいろ:なるほどな……原作ファンのせめてもの抵抗だったのかもしれないな


白ちゃん:そこは尻を残しなさいよ

白ちゃん:いや何言ってるの私……


ひいろ:お尻を出した子一等所


きはだ:草ァ!


白ちゃん:あさぎちゃん来ないわね


きはだ:こういうの真っ先に食いつきそうなんだけどねぇ


ひいろ:(かじ)ってなんぼの商売だ


白ちゃん:尻から離れなさい


あさぎ:ちょっと目を離していた間にものすごい風評被害が


白ちゃん:そうよ、2人があさぎちゃんのことお尻フェチだなんて言うのよ


きはだ:言ってない

ひいろ:言ってない


白ちゃん:え


あさぎ:白ちゃん先生酷い……


白ちゃん:あ、待ってそうじゃなくて


きはだ:あ〜あ


白ちゃん:あさぎちゃんは桃太郎が好き+桃太郎は桃尻太郎=あさぎちゃんは桃尻フェチ

白ちゃん:どうだっ!


あさぎ:うわ……


きはだ:どwwwうwwwだwww


ひいろ:発想のスケールで負けた


白ちゃん:元はと言えば2人が言い出したことじゃないっ!


あさぎ:私は別に桃太郎そんな好きじゃないしお尻フェチでもないですよ白久養護教諭


白ちゃん:他人行儀やめて〜!?


きはだ:生徒を尻フェチ呼ばわりは擁護できません養護教諭だけに


白ちゃん:嵌めやがったな


ひいろ:ハメるのは……おっと失礼


白ちゃん:『おっと失礼』はほんとに失礼なときに使わないものなのよ


あさぎ:もう保健室行けない、悩み相談どうしよ


白ちゃん:本来の用途なら全然ウェルカムだからね!?


きはだ:そのスマホに聞くが良い


ひいろ:本も相談も電子の時代か


あさぎ:へい、


白ちゃん:Siriやないかいっ!

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