路地裏さん
薬草採取といえば、あのスキルだ。
この世界にはステータス画面がないので、試すしかない。
(よーし...)
「探知!」
やり方がわからないので、それっぽい名前を叫んだ。
(うーん、なにも起きない...
いや、なんとなく、あっちにある様な..気がしてきたな!)
俺はなんとなくの方向へ向かってみた。
「お!あったあった!
これが薬草か!」
俺は運良く、薬草の群生地を見つけた。
(とりあえず、探知スキルはあるっぽいな。
女神様、ほんとうにありがとうございます!)
慣れてくると、次々と薬草が見つかった。
安い薬草から高い薬草まで、探知できた。
(さすが、チートスキル
...おや?あれは)
遠くの方に人影がある。
見覚えのある美人だ。
(あれは確か...ああ!路地裏の!)
先ほど路地裏で助けた美人だ。
森に入ろうとしているように見える。
(地元の人だけが知るキノコスポットとか?
それにしてもあんな、普段着で?)
俺は心配になったので、後を追うことに..
しなかった。
(待て待て。
勝手に心配して後をつけると言うのはどうだ?
ストーカーもしくは、おせっかいおじさんじゃないか?
俺も、人並みに社会経験を積んだ身。
コンプライアンス的にどうだ?)
前世の習慣が待ったをかける。
(そうか、探知だ!)
俺は路地裏の...路地裏さんの行先に魔獣がいるか探知することにした。
(よし...探知!)
声に出すのが恥ずかしくなった俺は、念じるだけで探知できるようになっていた。
(んー...ん?
なんとなくぼんやりと...魔獣がいるような気がする
これは、危ないんじゃないか?)
違っていたら謝ればいいかということで、追いかけることにした。
しかし、探知が使えるといっても、他のチートスキルがあるかはわからない。
よって本当に危ない時は、彼女を連れて逃げる予定だ。
(無謀は、俺的にカッコよくないしな)
ここまで積んだ薬草をカバンにいれると、路地裏さんの後を追った。