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薬草採取


「さて、今度こそ薬草採取だ!」


路地を抜けて、ふたたび冒険者ギルドをさがす。


(昨日は通らなかったあたりだな。)


見覚えのない景色に、そう判断する。


(あった!)


あっけないほど簡単に見つかった。


玄関?というのか、入り口は観音開きになっており、かなり大きい。

おそらく冒険者たちが、装備や戦利品を運びやすい様になっているのだろう。


(いよいよだな)


期待と興奮に胸を膨らませながら、ドアノブを掴む。

予想より軽いドアを引っぱると、広間がある。

奥のカウンターには、目的毎の窓口があり、それぞれに担当者が座っている。


(すごい!本物だ!!)


あまりに感動して、あたりを見回してしまった。


(おっと、いかんいかん。

眉間眉間っと)


すぐに眉間にチカラをいれて、鋭い眼をする。


広間のテーブルには、冒険者と思われる人達が座っている。


俺が一歩ずつカウンターて近づくと、注目されているのがわかる。


「あいつ、見ない顔だな。」

「ただの見掛け倒しよ。みろよあの装備。」

「やめなよ」

「へぇ、なかなかいい男じゃない」


俺がカウンターに着くと、広間が静まり返る。

よそ者がどんなやつか、気になるのだろう。


俺は昨晩、宿で何度も練習したセリフを言った。


「薬草採取クエストはあるか?」


一瞬の沈黙のあと、広間がドッと笑いに包まれる。


「なんだよあいつ!あの雰囲気でかけだしかよ!」

「だーっはっはっははは!!こりゃ傑作だぜ!!」

「よう!兄ちゃんよ!あんた、大道芸人にでもなった方が稼げるんじゃねえか」


(おれ、なんかやっちゃいました?)


後ろを振り向きたいのを必死に我慢し、受付の人の返答を待つ。

受付の人は呆気に取られている。

はっと我に返り、回答してくれた。


「ぼ、冒険者登録はお済みですか?」


ふたたび広間が静寂に包まれる。

間違いなく、俺の言葉を期待しての静寂だ。


「いや。まだだ。」


また、笑いが起きる。


(な、なんか恥ずかしく...

いや、恥ずかしくない、恥ずかしくないぞ!

誰だって最初は初心者なんだ)


必死に自分を励ます。


その後も何度か大爆笑が巻き起こった。

俺は必死に自分を励まし続け、薬草採取クエストの受注に成功した。


(ふぅ..恥ずかしかった...

でも、やったぞ!)


俺はようやく受注できた薬草採取クエストに、大喜びする。


(なんたって、何十年も夢だったんだ!

あのくらい、なんてことないさ!)


はやる気持ちを抑えながら、街の外へ向かう。


あんな騒ぎのなかでも受付の人はしっかり説明してくれた。


(本当にありがたいことだ)


受付の人によると

 薬草は街の東側の森に生えている

 奥にはモンスターが出るのでいかないように

 薬草の種類は、図鑑を貸し出し可能

 図鑑を破損させたら弁償

だそうだ。


俺は初めてなので、図鑑を借りてきた。

図鑑を借りる と言った時にも笑われたのは、言うまでもない。


「さぁ、気を取り直して薬草採取だ!」


森の入り口に着いたおれは、図鑑を片手に薬草を探すのだった。






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