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見送り


(なんか...雰囲気が違ったような

人違いかな?いや、たしかに路地裏さんだったけどなぁ)


彼女を見送ったあと、1人で考え込む。


(見逃すって、なんのことだったんだ?)


路地裏さんは、どうやら切迫詰まっていたようだった。


俺の隠蔽スキルは成功したようで、魔獣に会わずに済んだ。


探知スキルで見つけた魔獣の方向も、かっこよく伝えた。


(咄嗟のセリフだったけど、あれはよかったな

"エスコートは必要だろう?")


思いの外うまくいったので、笑みがこぼれる。


(しかし、危なかったなぁ。

見守るだけのつもりだったけど、魔獣のいる方に向かうんだもんなぁ)


俺の探知スキルによれば、あっちのほうが...なんかやばい気がしたのだ。


(さて、人助けもしたし、帰るか。)


わりといい気分で街の方角を目指す。


いくつになっても感謝されるのは気分が良い。

それが美人となれば、なおさらだ。


スキップでもしたい気分だが、うっかり見られてはかっこよくない。

我慢して小走りで森をかける。


(ふふふ。帰ったら薬草を納品して、それでれちょっと贅沢なごはんを食べて...)


気が緩んだのか、妄想が膨らむ。


「なんだ?」


足を止める。

けたたましい鳴き声。

距離は遠い。


(鳥...にしては低音が効いてる

あっちの方だ)


胸騒。


(いってみるか...

いやまて、俺みたいな初心者が行ってどうする?

街へ戻ってギルドに...)


葛藤する。


探知スキルを発動する。


(これ...

なんか、さっきよりめちゃくちゃやばい気がする...

やっぱり、街へ戻ってギルドに..

まてよ?)


気づく。


(なんて説明するんだ?

やばそうな気配 なんて理由で動くか?

せめて、どんな見た目か、街へ向かっているのか

くらいは、伝えないと!)


決意し、走り出す。


(頼むから、大したことありませんように)


徐々に膨らむ不安。

気のせいではない。

圧倒的強者からの威圧によるものだ。


第六感などという曖昧なものではない。

その鳴き声が、足音が、息遣いが 近づくにつれてあらわになっていく。


不安が焦りに代わりに、恐怖にまで成長しても、俺は走り続けた。


ここで逃げれば、街が危ないかもしれない。

いま、あの魔獣に追われている人がいるかもしれない。

俺の隠蔽スキルがあれば、助けられるかもしれない。


そんな可能性があるのに

せっかく女神様がチートスキルをくれたのに

逃げるなんて...


「かっこ悪いじゃないか!!」


俺は必死に自分を励まし、恐怖の元凶めがけて全力ダッシュした。



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