表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/21

路地裏のあいつ


(あいつ、ただものじゃない)


路地裏に現れたあの男を思い出す。


(あのまま行けば、依頼は完了。

対象はすべて"処理"できたのに。)


私の役目は、"上"からの依頼を達成すること。

目的、背景など、質問は許されない。

手段は問われない。

失敗も許されない。


たとえ99%達成していたとしても、"上"は失敗と判断する。


そして、私は失敗した。


こちらの言い分は関係ない。

状況も考慮されない。

決まっていることなのだ。


失敗したものがどうなるのか、実際のところはわからない。


質問は許されず、失敗した者への質問もできない。

行方がわからないからだ。


(身分を変えて生きているのか。

それとも...)


だからと言って、黙っているつもりはない。

生き方にこだわりなどないが、生きることにはこだわっている。


(やはり、森を行くべきか)


"上"がどの程度の規模なのか、見当もつかない。

最大限の警戒をするならば、すべての街道は見張られていると考えるべきだろう。


そう考えた私は、東側の森を抜けることにした。


(追手は...まいたか)


この森に来るまで、追手とおもわれる気配を探知した。

私が今日まで生き残れたのは、このスキルのおかげだ。


友達...というのか

親しい間柄の人間はいない。

よって、やったことはないが

これは自慢になるだろう。


わたしの探知スキルは、群を抜いている。

探知スキルを使えるものは、珍しくはない。

しかし、私のは精度と範囲が桁外れなのだ。


これは、油断や思い上がりではなく、定量的に計測した結果に基づいている。


その私が"まいた"、"周囲には誰もいない"と、判断したのだ。

間違っているはずがない。


今この瞬間に生きていること。

それ自体も、スキルの性能を証明している。


"信頼"など自己放棄だと、遠ざけてきたわたしが信頼する、数少ないもの。


それを否定するような

目を耳をすべての感覚を疑うような

生きることへのこだわりを捨ててしまいそうな

そんな衝撃。


あの男が、わたしに与えたもの。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ