非日常への出会い②
この出来事は暫く続くかも?
完全に誰かの嫌がらせだと思いつつも解決する手がない以上、警察に連絡するしか無かった。
「麻美になんて言おう…」
一旦考えをまとめるために、リビングに戻る。
そこには夕飯の準備をしている麻美がいた。
「瑠依…どうしたの?顔色が悪いよ!?」
麻美が俺の顔を見た瞬間、台所から飛んできた。
「庭には近づかないで…今から警察呼ぶけど後できちんと教えるからそれまで聞かないで待って欲しい」
「え…?どういうこと?何があったの?」
麻美は困惑した表情をして俺に問いかけてくるが、俺は返事ができなかった。
「ごめん、まだ言えない…」
麻美の言葉に被せるように言葉を発しながら警察に電話をかけた。
言葉にすれば「黒いゴミ袋が庭に投げ込まれていた」それだけのこと。
中身については電話越しでは詳しく言わず、誤魔化したらとりあえず確認すると言ってくれた。
暫く落ち着かない時間が続き、15分後に玄関のインターホンがなった。
「先ほど電話頂いた警察のものです」
その男は警察手帳を見せ、身分を証明してきた。
「来ていただいてありがとうございます、こちらです」
俺はそんな警察手帳の身分なんてものは興味がなく、サラリと流して、あのゴミ袋が置いてある庭に一緒に来てもらった。
「随分、焦っていらっしゃる様ですが何が入っていたんですか?」
警察は真顔で問いかけてきた。
通報の時は誤魔化したのだから当然だ。
「動物の死骸が入っていました」
俺はその事だけ男に伝えると、明らかに興味を失ったようだった。
「なるほど、動物の死骸ですか…」
そんな事で通報なんてするなといった声色で話してくるが、せっかく来たのだし確認だけするかといった態度だった。
「あそこにあるゴミ袋が不法投棄されました」
その黒いゴミ袋は変わらず庭に置いてあった。
庭の一角に異質感が漂っていた。
「あれですか…少し不気味ですね」
警察の男もそれを見て少し考えを改めたのか、真面目な顔つきになりゴミ袋に近づいた。
「中身を確認しますね…」
男はマスクを着用しゴミ袋の結び目を解く。
「…!!」
男も中身を見て感じたらしく一旦ゴミ袋の口を手で抑えた。
「こういう事ですか…」
男はより一層険しい顔つきになりながら、中を確認し始めた。
暫くして中身の確認が終わったのか、ゴミ袋の口を締めて立ち上がった。
「ご連絡ありがとうございました、こちらは私の方で回収します、こちらのゴミ袋が投げ入れられたとの事でしたので、パトロールも強化しておきます」
警察の男から欲しい言葉を引き出すことが出来た。
「よろしくお願いします」
警察の男は配慮したのかゴミ袋を家に持ち込むことはせずに、裏口から出ていった。
「瑠依?そろそろ教えてくれるよね?」
台所にいた麻美が近づいてきた。
「分かってる、ちゃんと話すよ」
そこから簡単に今日の流れを説明した。麻美はただ聞くことに専念してくれている。
警察がゴミ袋を回収してくれてパトロールを強化してくれるらしいことまで話すと安心したようだった。
「そんな事があったんだね...」
麻美もそこまでの事があったなんてことは考えていなかったようで、反応に困っているようだ。
「麻美には動物の死骸は見せたくなかったから、誤魔化すような言い方になってごめんね」
「瑠依の配慮は凄い嬉しいよ、でも一人で何でも抱え込まないでね」
麻美にも気を遣わせてしまったし、今後はちゃんと話した方がいいのかわからなくなっていった。
一旦警察にも連絡したし暫くは様子見になると安心していたのだった。
読んでいただきありがとうございました。
少しずつ投稿頻度を上げていけたらと思います。