これからの関係との出会い
更に距離は迫っていく
私と守は特に帰るでもなく話すことも無く一緒にいる。
何かしたら今の雰囲気が壊れてしまいそうなそんな危うい状態のように感じてお互い踏み出せない。
そんな時間がずっと続くかと思っていると守が私の手を握ってきた。
「風邪引くから」
守の精一杯の愛情表現に嬉しい半面笑ってしまいそうになったがグッと堪えて手を握り返す。
「ありがとう」
手を握ってくれただけなのにすごく暖かい気持ちになった。
そうして他から見ているとイチャついてるように見えるのかもしれないが帰る時間はどんどん近づいてきている。
守も時間は気にしてくれてるようでチラチラと私を見ている。
そして本当に帰らなきゃいけない時間になると守も察してくれたようで私の家の方に向かって手を引いてくれた。
「気が利くのね」
守は苦笑しながら
「やっぱり時間は守らなきゃな」
と言っていた。
少し薄暗い道を2人で歩く。
歩いているだけなのにワクワクしてるのに私は気づいた。
守も同じようでワクワクしつつ、緊張してるようだった。
そうして歩いていると私の家が見えてきた。
私の家が近づくにつれて守が私の手を握る力が強くなる。
そうして玄関前まで来ると手を離した。
「ちゃんと送れてよかったよ」
その台詞が何故か面白くて
「なにそれっ」
と言って笑ってしまった。
そうして家の前で話しているとお母さんとお父さんが出てきた。
「あら、瀬奈帰ってきてたのね」
お母さんがのんびりと言いながら守をチラッと見て
「2人とも寒い中外で話し込むくらいなら家に入ったらどう?」
「風邪ひくかもしれないし君も良かったら少しゆっくりしていきなさい」
2人が想定外の事を言ってきてビックリしたが守はさらに驚いていた。
「遅い時間だけど大丈夫でしょうか…?」
守がおそるおそるお父さん、お母さんに聞いている。
「私たちは構わないよ」
私の両親はそう言うと家に入ってしまう。
守はその言葉を聞いて緊張しながら
「お邪魔します」と言って私の手を握って
家に入っていった。
リビングに通されて両親と私と守の4人で席に着いた。
守は当然のように緊張していた。
私の家的には寒そうだから中に入れたくらいの感じでしかないが仲のいい女友達の両親に突然会うことになったらすごく緊張するだろう。
私も守の両親に急に会うことになったら同じようになるだろう。
「今日は楽しかったみたいだね」
お父さんが守に話しかけている。
「そうですね、とても楽しかったです、こんな時間まで彼女を連れ回して申し訳ないです」
お父さんはそう言うと少しびっくりしたような顔をして
「娘も楽しんでいたようだしちゃんと帰ると言った時間には帰ってきているし問題ないよ」
そう言って笑ってくれた。
そして瀬奈や瀬奈の家族と過ごしているとそろそろ帰る時間になっていた。
「そろそろ、僕の方も時間なので、失礼します」
少しだけ名残惜しそうにしていたがまた来なさいと言ってくれた。
自分の家までの帰り道に瀬奈としたことを考えてみた。
今日で瀬奈との距離が少し縮まったように思う。
そんなことを考えているうちに自分の家に着いた。
鍵を開けて家に入ると酷く静かだった。
それもそのはずで基本この家には俺しか住んでいない。
両親は2人揃って海外で仕事していて年に数回しか会ってない。
それでも家族仲は悪くないと思う。
その理由はこのモニターにある。
画面の下側にあるモニターの電源を押すとすぐに画面が明るくなった。
その後アプリをひとつ起動させると両親の元に連絡がいき数秒後にビデオ通話が始まった。
「守、今日も元気か?」
父さんが心配そうに声をかけてくれる。
このビデオ通話は両親が俺が日本で寂しくないように海外に行く時に決めた事だった。
「必ずこの時間から少しビデオ通話をしよう」
両親が海外に行ったのは数年前からだが毎日欠かさずにビデオ通話を続けているおかげで家族関係は悪くなかった。
「平気だよ、今日も元気だったさ」
そこから他愛のない話を30分ほど話した。
両親はもう暫く海外での仕事があるらしく帰ってこない。
俺が大学生になる頃にはまた話し合うために1度帰国することになると思うがもう暫くは先になりそうだ。
「今日はもうお開きにしようか、無理だけはするなよ」
父さんと母さんはそう言ってビデオ通話を切った。
今後どうするか…考えなきゃいけないなと思いながらも自室に戻った。
思ったよりも今日話し込んでいたらしく23時を回っていた。
風呂に入って寝るか…と考えているとスマートフォンから通知が飛んできた。
それを見ると瀬奈で「今日は付き合ってくれてありがとう、また遊ぼうね」
とメッセージが飛んできていた。
そのメッセージを見て反射的に「勿論、来週の土日に映画でも見に行かないか?」
と返信してしまった。
勢いに任せて飛ばしたメッセージに後悔してさっさと送信を取り消そうとしたが既に既読がついており後戻りが出来なくなっていた。
とりあえずここでダラダラと待ってる訳にもいかないと思い風呂に入るために準備をし始めた。
「瀬奈からどんな返事が来るかな」
それを考えると明日も頑張れる気がした。
読んでいただきありがとうございました。
少しずつ投稿頻度を上げていけたらと思います。




