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イベントへ行こう!!   作者: 呑兵衛和尚


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42/50

一家に数台、便利な折りコン!!

 旭川の御子柴銘菓。


 その営業担当? のように食の祭典の会場にあるブースで挨拶回り。

 その都度、試食やら試飲やらを重ねただけで無く、サンプルをどうぞと大量のお土産まで持たされて、すでに両手には紙袋が四つほどぶら下がっていますが。


 どこのブースでもサンプルを配布しているらしく、私の持っている袋も会場であらかじめ用意されていました。

 そして一旦、荷物をうちのブースの裏に保管して、再びサンプルを持って営業活動を続行。

 

「ははぁ、それで宅配業者が待機していたのですか」


 会場外にあるロビーでは、猫のマークの宅配屋さんのブースもあります。

 そこにも大勢の人が集まっていまして、サンプルでパンパンになった紙袋や箱を手に、配達依頼を行っています。

 他にも、すでにブースを閉じ始めた食品関係のお客さんも手荷物を会社に送り返すために、幾つもの段ボールを運び込んでいます。


「おや? 御子柴さん、もう撤去に来たのですか?」


 ロビーでのんびりと一休みしているところを、東尾オールレントの長内さんが話しかけてきました。

 

「いえ、今日はここのブースの関係者なのですよ。うちの実家が出展していましたので、お手伝いなんですよ」

「あ!なるほど。どうりでここで休んでいるんですか。ここって出店業者と招待客以外は入ったらダメな場所ですからね。ドリンク飲み放題、お菓子も食べ放題ですから。ちなみに裏に回ったら、うちのスタッフも待機していましたよ」

「あれ? もうそんな時間?」


 そう思って時計を確認。

 まだ16時、作業開始には一時間ほどありますが。


「関川と交代で、中で休んでいるんですよ。ほら、電気屋さんとかはすぐに作業を始めますから、うちらもそれに合わせて待機しないとならないのでね……」

「そうでしたか。それじゃあ、頑張ってください。私はまた仕事に戻りますので」

「はい、それでは後ほど」


 紙コップに残ったコーヒーをグイッと飲み干し、私は再びブース回りを開始します。

 そんなこんなですべてのブースを回り終わったのは16時25分、御子柴銘菓も撤去準備を始めていました。


「17時になったらエレベーターで外に出せるらしいんだが。優香は手伝ってくれるのか?」

「無茶言わないでよ。私は17時からここの会場の撤去作業なんだからね。この後ろのシステムも!あっちの冷蔵庫も片付けないとならないんだから」


 いきなり無茶なことを言い始める。

 

「そうか、それじゃあ仕方がないか。それよりも、営業回りをしてみてどうだった? なかなか楽しかっただろう?」

「そりゃあまあ、初めての経験だったけれど、高校の時とかは店番とかはしていたから……って、何か企んでいない?」


 お父さんがそんな事を言い始める時は、必ず何かを企んでいる時ですから。

 

「いや、な。優香が大学を出て実家を継いでくれたら、楽になるかなぁって考えただけだよ」

「まだ引退には早すぎますからね。それに!私に夢があるって話をしていましたよね?」

「プロのアナウンサーだったか?」

「イベントの司会ですっ。アナウンサーを目指すのなら、大学じゃ無くそっち方面の専門学校に行った方が早いんだからね。ほら、とっとと片付けて、荷物は台車に乗せれば良いんだよね?」


 梱包が終わった箱から、順番に台車に乗せます。

 以前ならダンボールに荷物を入れていたのですが、今回は折りコン、つまり折り畳み式コンテナに詰めてありましたよ。

 うん、勝手知ったるイベント用道具。

 これって便利なんですよね。

 使わない時は折りたたんでしまって置けますし、必要にになったら組み立てるだけ。ダンボールよりも丈夫ですから、使い捨てることもない。


 ただ、ちょっと高いのがネックなんですけどね。

 一つあたり1500円から2000円、私もこれを買う時は腕を組んで30分ぐらい考えましたから。

 近所のホームセンターでこれを購入した時は、すぐにウィルプラスの事務所に連絡して仕事がないか確認したぐらいですから。

 ということでサクサクと台車に荷物を乗せ、片付けを続行。

 すると、私の方を両親が呆然と見ているじゃないですか。


「あの〜、何か面白いものでもあるの?」

「いや、そうじゃないんだが……優香? 手慣れていないか?」

「この折り畳みのやつだって、サクサクと組み立てていたよな? 中に物を入れるときもしっかりと順番を考えて……どこかでそういうアルバイトをしているのか?」

「だーかーら、設営業務って話だよね?」

「設営って、片付けもするのかい?」


 はい、これ以上の細かい説明は時間が取られるだけなので頷いておしまい。

 あと20分で集合時間なので、私はそろそろこの場から離れることにします。


「それじゃあ、私も仕事に戻るか」

「ああ、アルバイト代は後から振り込んでおくからな」

「はいはい、それじゃあよろしく」


 手をヒラヒラと降りながら、ブースを後にしようとして。


「優香、忘れ物だよ?」

「へ? 私の仕事道具ってこのカバンの中に……え?」


 お父さんが指さしたのは、ブースの陰にあるサンプルの山。

 私がいない時に整理したらしく、いらないものがいっぱい収めてあります。


「これ、業者さんから貰ったサンプルだよ?」

「うちでは必要ない分だから、持っていきなさい。それに、ワインは飲まないからさ」

「調味料とかも入っているから、色々と便利でしょ?」

「あ、ありがとう」


 といっても、そこにあるのは紙袋四つ。

 いやいや待って、これ、かなり重かったんだよ?

 これから撤去作業、そのあとはこれを持って帰れと?


 はぁ。

 明日の筋肉痛は確定のようです。


いつもお読み頂き、ありがとうございます。


・この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

・誤字脱字は都度修正しますので。 その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。



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