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イベントへ行こう!!   作者: 呑兵衛和尚


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39/50

ボウリング場の改装作業の合間に

イベントへ行こう!! は毎週月水金の更新を目指して頑張っています。

 失態。


 よもや、自分のスケジュール管理をミスるとは思っていませんでした。

 8月から9月の夏季休講終わりまでのボウリング場の改装作業。

 一つの現場で一週間程度、中二日を開けて次のチェーン店での同じ作業。

 ススキノの【GO-ROUND】での作業は旭川と同じ、ただ違うのは高尾さんがいなくて代わりに伊藤さんが入ったことだけ。

 ちなみに伊藤さんはウィルプラスでも背が高いチームのトップ5に入るほどですので、高所作業でも手を伸ばせば楽々届くという一家におひとり欲しいぐらいの方なんですけれど。 

 この改装作業については、LEDパネルの裏に潜り込んだり、真下でカメラの調整をし足りと悪戦苦闘。

 そしてパネル下のカメラは前回に続き綾辻さんが入っていたので、伊藤さんもほっと胸をなでおろしていました。

 現場責任者の方は前回と同じでしたので、作業工程や図面の説明もスムーズに終了。

 大きな事故もなく、ススキノの現場は6日で終了しました。

 次の北18条店での現場作業までは3日の余裕が出来たので、ゆつくりと自宅でのんびりと出来ると思ったのですけれど。



――札幌パークハイツホテル地下。

 

「あれ……どうして私は、ここにいるのでしょうか」


 昨日の夕方、突如かかって来たウィルプラスからの電話。

 ススキノ現場が終わって自宅についた直後だったので、疲れ切っていたところに大野さんからのにこやかな声が届けられました。

 

『明日の夕方、空いていますか?』

「は、はい、現場はありませんから空いていますけれど」

『それじゃあ、明日の夕方17時と明後日の夕方17時、札幌パークハイツホテルの設営をお願いします。システムですし、そんなに難しい作業ではありませんので』

「はい?」

『良かった。御子柴さんだけが最後の頼りだったのですよ。それじゃあよろしくお願いします』


 そしてガチャッと切れる電話の音。

 あの、先ほどのはい? は何故とかWHYっていうほうなのですが。

 

「……やられたぁぁぁぁぁぁ!!」


 そうですよ、よく思い出してください私。

 以前、別の現場で仕事の電話の話をしていた時、大野さんの電話については慎重にした方がいいって中島さんや伊藤さんに教えてもらったばかりじゃないですか。

 〇〇〇さんが最後の頼みっていうのは、仕事をお願いするときの常套句だって。

 そのまま丸め込まれたら負けだって……。

 そしてすぐに仕事のメールが届いて、私はハァ、とため息をついて今現在、ここに立っているわけでして。


「今日のシステムは、図面のように縦一列の壁を次々と作るだけです。この壁を挟んで前後にテーブルが配置され、各企業さんが設置するのですけれど、原則としてうちの仕事は壁を作ること、そして冷蔵庫を運び込むだけ。まあ、エレベーターでの搬入ですからそんなに難しいことはありませんので。では、ご安全に!!」

「ご安全に」×9人。


 今日は明桜レンタリースではなく東尾レントオールさん。

 初めて会った担当の方ですけれど、普通に優しそうな人でほっとしています。

 

「それじゃあ、荷下ろしチームと水糸引きチームに分かれます……大川さん、綾辻さん、伊藤さん、あとは……うんも御子柴さん、今日は水糸引きに参加してください。後の人は上に上がって荷物を下ろしてください」

「はい!! ってええええ!! 私、やったことありませんよ」

「大丈夫。伊藤さん、彼女について教えてあげてくれる?」

「高くつくよ?」

「そこはまあ、中島さんのおごりで」

「なんでや!!」


 ポンポンと飛び交うジョーク。

 そういえば、中島さんって新刊の印税でホクホクとか話していましたよね。

 今度奢って貰おうかな。

 とまあ、冗談はさておき、私は水糸と養生テープを片手に、伊藤さんについていきます。

 水引きとか線だしと呼ばれる作業は、図面に記されているシステムを立てるために、あらかじめ水糸という蛍光色のタコ糸のようなもので線を引く作業です。

 メジャーを会場の縦横に張り付け、そしてシステムのおかれる場所の位置から水糸を引いて床に固定。

 あとはここに具材を配っておけば、ベテランの皆さんが組み立ててくれるという手順です。

 

 いつもなら私も荷下ろしなのですけれど、今日からはこっちの作業に回されたようで。


「まずは、7000からスタートだけど、分かる?」

「7メートルですね。ここからスタートと」


 そこに糸の端をテープで固定。

 うん、そんなに難しくないですね。


「はい、やりなおし。今、テープの張り方を教えてあげるね」

「お願いします」


 そしてダメ出し。

 普通に張るだけだと、足とかに引っかかってはがれてしまうそうです。

 だからまず、糸を眺めに引っ張って直線で固定。

 次にそこから糸を斜めにひねり、最後は最初に固定した糸と十字になるようにテープで固定。

 上から見ると、テープの形が数字の【4】になるように張るのがコツだそうです。


「こ、こうですか?」

「糸の張り方が弱いねぇ。もう少し、力いっぱい引いても構わないよ?」


 伊藤さんが私が張った糸を上に引っ張って、ビヨーンとはじいています。

 まだまだユルユルらしく、もっとピーンと張るようです。

 そしてやり直してもう一度チェックしてもらいますと。


「うん、こんなかんじだね。それじゃあ次は、12500に一本、張って来てくれる?」

「はい、いってきます」


 最初はメモリに合わせて4の字に水糸を固定。

 そして反対側のメジャーまで移動して、ピンと張ってからもう一度、4の字に固定。

 私が終わったのを見計らって、伊藤さんがチェック、からのサムズアップ。

 

「この調子で、あとは図面の通りに張っていってくれるかな? 反対側から綾辻さんも張っているので、合流するところまでよろしく」

「了解です」


 よしよし、これで水糸も覚えました。

 あとは油断ないように慎重に、且つ時間を掛け過ぎないように。

 水糸を張る作業が遅いと、それだけ具材の配布作業も遅くなってしまいますし、そのあとのくみ上げ作業にも影響します。


「それにしても、明日のイベント、【北海道の食の祭典フェア】っていうのか」


 道内の食材関係のメーカーおよび地方の個人販売店や牧場、そして飲料メーカーが集まって、新商品の宣伝および営業を行うイベントだそうで。

 それぞれのブースでは、秋の新商品の試食コーナーを設けたりするとかで。

 別紙には、隣の部屋に作られる【道内の銘店コーナー】もあるそうで。


「よし、これで完了です。次は何をしますか?」

「あ~、具材のバラマキは新人がやっているから、ミコシーはパネルに回ってくれるかな?」

「了解です!」


 よしよし、私はついに具材配りから卒業、パネル入れに回ることになっているようです。

 これでだんだんと、システムをくみ上げるコツもつかめてきましたよ。

 この調子で頑張れば、システムの下端は無理でも上端の固定も出来るようになるかもしれませんね。

 以前、解体だけは地下歩行空間の現場でやらせて貰っていますから。


 よーし、どんどんと填めていきますかぁ!! 

いつもお読み頂き、ありがとうございます。


・この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

・誤字脱字は都度修正しますので。 その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。



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