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『何か』が欲しかった人間の話

作者: メザイア

こんな時間に投稿するな()

中身はあんまりないです。それっぽい話を書きたかっただけのバカが描いたなにかですが、1000文字程度なので適当に読んでやってください

 彼はただの人間だった。


 そこら辺に住んでいるただの人。特別な才も、特別な技も、特別な思考も、何も持ち合わせない唯の生き物。


 彼はふと、こんな事を思い立った。


『何か。何かが欲しい』


 しかしその「何か」は分からなかった。


 だから探したのだ。己の寿命の全てを費やして。


 先ずは近くの村を漁る。そこに「何か」は無かった。漁るといっても本当に漁るのではなく、強奪だ。これしか方法は知らなかった。


 そして有るものといえば、一辺倒な金銀に僅かな食糧、それと多少の娯楽品。


 こんなのでは満たされることは無い。こんな物は自らの求める物では無い。


 しかし、漁る中でほんの少し満たされる物があった。勿論、彼には変な癖はない。他者を蹂躙した所で何の興奮もしない。だが、確かに僅かな満足感があったのだ。


 次に彼は手下を作り、国のトップすらも殺し、その国の支配者となる。


 ただ、その権力を持ってしても満たされることはなかった。だがやはり、その道中にこそ僅かな、だが以前よりはるかに大きな満足感があったのだ。


 そんな中。やはりクーデターは起きた。自らと同じ事をし、この国の頂点に立とうと目論んだのだろう。


 この地位に拘りはない。だが、易々とくれてやるのも腹ただしい。とりあえずの抵抗はした。


 結果。歯向かう物は皆死んだ。


 これでこの地位は確固たるものになる。絶対に奪われることの無い地位。この安心感にも一切の満足感はない。

 だがやはり、反逆者を殺す中に僅かな心地よさを感じる。


 虐殺が好き。と言う訳ではない。それだけはわかっている。だから彼はこの心地良い満足感の正体を掴めずにいた。


 次は世界を掴もうとした。周りからは反対された。それはそうだろう。彼の国は小国。周りの大国共に勝てる見込みは、ほぼない。


 だがそれでも決行した。


 結果は成功。見事に世界を手に収めたのだ。世界中の、富、女、権力、技術、遍くを手に入れる事になった。


 だが、何の達成感もない。それどころか、虚無感すらやってくる。


 ある日、彼は一つの遊びとして下町に降りる事にした。勿論身分は隠してだ。


 そこで一人の女と出会った。戯れとして少しの間付き合うことにした。普通の恋人らしく、付き合うことにした。


 男は、幾月の交際を経て、恋に落ちる。なんて事はなかった。


 だが、人間としては気に入ったので身分を明かし、相手の了承を得て結婚に至った。


 女は男の妃となった事で莫大な権力を得た。しかしそれでも男に尽くし、男もそれに応えるようになっていった。


 だがやはり、そこに全くの満足感は得られなかった。自分の求める「何か」は自分の信頼できる人間ではなかったのだ。

 

 いずれ年をとり、その日は来た。


 妻となる女の命日。別れの言葉を聞く時、男の目には涙があった。悲しく、苦しい。初めての感情だ。


 そして息を引き取った時、悲しみの絶頂とともにかなりの満足感、心が満たされる感触を得た。


 なぜ、何故このタイミングでこう感じたのか。自分でも分からないが、それでも遺体の近くで今までにはない心地良さを感じた。


 男は、残りの余生を国の発展に費やした。妻の遺言でもあったからだ。


 数年の間に技術力を劇的に高め、国は豊かになった。魔法を誰でも使えるようにする物を作り、全人類が満足できる食糧生産を確立。


 結果として、男は全人類から崇められる事になる。

 だが、何も感じなかった。


 やがて、ついに男も死が来た。不老不死は作れなかったのだ。


 死ぬ時は一人が良い。そう告げたこともあり、緩やかな死を味わえた。


 ゆっくりと聞こえる死の音。それに連れて心音が段々と静かになる。


 思い返すと、悪くはない人生だった。だが、何も感じなかった。


 そして遂に息絶える時。究極的な満足感を得た。


 結局。自分の求める「何か」は分からなかったが、この満足感を得て死ねる事に最大の喜びを感じた。

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