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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

言いたくても言えなかった「性癖」の話をしよう

作者: 薫子

作中、不快な表現ございましたら申し訳ございません。

最後まで楽しんでいただければ幸いです。



なんとかして言葉にしたい。

自分の気持ちは明確なのだ。


しかし他者に見せようとした途端、急に霞んで見えなくなる。今まで私が見ていたものは幻だったのではないか、と思うほどにぼやけ、陰り、掻き曇る。


これは昨日みた夢の話ではない。




私の「性癖」に関するお話。





最近、自分の嗜好が大きく変化している事に気が付いた。

以前よりも本を読み、漫画を読み、映画やアニメを観る。

絵を描き、文章を書き、音楽を聴く。

いわゆる「作品」に触れる頻度が急激に増えた。


作品には、作者をはじめ非常に多くの人が関わり、その想いが詰まっている。

故に心が奪われるほど強い刺激を受けることがある。

初めは興味を持てなかった作品も、タイミング良く触れると(私の中で)開花する。



今年もまた1つ、大きな花が咲いた。

男同士の恋愛「BL」である。




私は元々、BLとBL好きの人間に偏見があった。

目に入る機会は何度もあったが、その世界を理解しようと思ったことは一度も無かった。

なぜなら、その世界は子どもの頃教えられていた“普通”から逸脱していたのだ。


整列する時は男女2列で並び、女の子と男の子が等しくなるようにグループ分けをした。

部室も更衣室も男女で分かれ、男子は男子の話題があり、女子は女子の話で盛り上がった。

修学旅行では男子が女子に告白をし、バレンタインには女子から男子へチョコレートを渡した。



それが普通で、当たり前だと感じていた。

そして普通では無い事はとても怖かった。

我ながら非常に浅はかで差別的な思考を持っていたと思う。

刷り込みとは気付かぬうちに行われており、真面目で馬鹿だった私は、何にも気が付かず、顧みず、良しとして大人になった。






そして好きになった。

男と男を。






私も男女の恋愛は何度か経験した。

辛く苦しい事もあったが、大抵幸せだった。

少女漫画の王子様に憧れた時期もあった。

ジャニーズ主演の恋愛ドラマなど釘付けだった。





でも、私は今、ホモが好きだ。大好きだ。





ひと言に「好き」と書いたが、これはあくまでも恋愛としての「好き」だ。欲情する「好き」だ。

ただし、私を愛して欲しいのでは無い。

その恋愛の中に入りたいのでは無い。

男と男が好き合って、愛し合ってるのを感じたいのだ。




(何言ってんだお前 CV:アバッ〇オ)







これを確信した事件があるので1つ共有させて欲しい。


前提として、BL漫画やアニメでは、男らしい男と女の子みたいな可愛い男が出てくる。この2人が付き合ってイザコザしつつも幸せになるのが鉄板だ。


(でも所詮漫画の世界。現実でこのような展開は訪れないし、こんな言葉を吐く男も存在しない。)


昔から期待しては振られ、辛い思いをしてきた私だ。

もう流石に期待しない。現実で尊くて可愛いBLを拝むことなど出来ぬのだ。





…………いや、できた。

今日、まさに、目の当たりにした。





それは前々から仲良しで、毎日一緒に仕事をしている先輩後輩2人組。

最初は仲良いな〜くらいに思っていたが、先日同じボールペンを使っていることに気が付いた。



(!?)

これはもしや!?

……いやいや、ボールペンくらい被るか…業者から貰ったやつかもしれないし。考えすぎだ…。

落ち着かせたもののその日から私の胸は地味に小躍りを始めていた。





そして本日、後輩♂との同行時、衝撃的な言葉を聞いた。


私が、最近仕事どう?キツくない?と問うと


「仕事もキツイですが、最近〇〇さん(先輩♂)と一緒に昼メシ食えない事が1番ツラいです。笑」





!?!?!?!?

これは!?確約!?!?!?


いやまだ早い!もう一歩踏み込め私!!!


「そうなんだ!通勤一緒にしてるだけじゃ足りんかった?笑」

(ドキドキワクワク)





「そうなんすよね〜笑 この前も昼前に事故っちゃって(先輩♂と)一緒にメシ食う約束してたんですけど行けそうになくて断ったんですよ。」


(うんうん!それでそれで???)



「でも意外と早く終わって、まだ間に合うと思ったんで速攻先輩♂に電話して飛んで行きました!笑 それくらい一緒にメシ食うの大事っす!笑」



……好き、大好き。

そんなんもう…堪らなく好きだよ…。

末永くお幸せにどころの騒ぎじゃないよ…。

末代まで応援するよ…。



前からお互いがお互いの話を散々していたし、

朝も夜も一緒に通勤し、

先輩♂の夜ご飯は毎日一緒にコンビニに買いに行き、

帰りは後輩♂が先輩♂の家まで車で送ってあげてるの知ってるよ。



それでも尚、先輩♂が足りないんだね…。

その強引でド直球な男らしさからして、君が攻めなのかな?(キモオバ発動)




「いつも先輩♂と帰りにコンビニ寄るんすけど、」


(うん、知ってるよ、うんうん。それで??)



「僕何にも買わないんですけど店の中まで着いていくんすよ。」


(へぇ〜そうかい。可愛いなあああ。)


「それで、先輩♂が《これどっちがいいかなあ?》って聞いてくるんすよ。俺正直どっちでもいいんで、適当に『こっちにしたら?』って言うんすよね。そしたら先輩♂《うーん、でも…》とか言って結局自分の好きな方買うんすよ!笑」



この時の彼の顔は、それはそれは嬉しそうで、楽しそうで、先輩♂の事が本当に好きなのが伝わってきました。



男同士の惚気がこんなにも痺れると思っていなくて、感激でした。

興奮して何を口走ったか記憶にございませんが、ただただ喜んでいたことは確かです。

現実ではありえないと思っていた夢の世界が、まさに目の前で繰り広げられたのです。







そんなこんながあり、私の性癖は「男同士の恋愛にのみ興奮すること」であると確信しました。


最近は、自分が女である事が非常に悔しい。

私も男になって男と恋愛がしたい。

と考えるようになった。


ちなみに女には全く興味が無い。

性的な目で見たことは無いし、その予定も無い。




私は一体何になってしまったのだろうか。

この先何処へゆくのだろうか。



ただ1つ確かなのは、性癖は自由だということ。

100人いたら100通りの嗜好がある。

そこに“普通‘’など存在しない。

全てがオリジナルで、その全てが素晴らしい感性なのだ。

だから自信を持って性癖を守り抜いて欲しい。

だって、自分の好きなものを好きだと言って、好きなだけ楽しむのは自分だけの特権だ。

もちろん、人に迷惑をかけない範囲で。




最後に、

種を植え花を咲かせて下さった漫画家先生への感謝と尊敬の念をここに。

先生方、本当にありがとうございます。


私の中のちっぽけな固定概念を外す事ができ、また1つ自分のことを好きになれました。

生きるのが楽しくなりました。


私も、いつかどこかで「作品」に関わりたいものです。




最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。





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