表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
特級精霊の主、異世界を征く ~次々生まれる特殊な精霊のおかげで、世界最強になってました~  作者: トミ井ミト(旧PN:十味飯 八甘)
第6章 卒業証書は魔剣!?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

84/237

閑話13 魔剣アトモスフィア

誤字報告ありがとうございました!

◇◆◇

第6章の最後を飾る閑話をお楽しみ下さい。

 空気の膜を通り過ぎると、氷で覆われた世界が目の前に現れる。道は土っぽい色をしてるけどガッチガチに固まってるし、山のように見える部分はほとんど氷で出来てるらしい。吹雪いてたりしないから視界はいいけど、かなり寒いよここ。吐く息も真っ白だ。



「うわー、さすがにボクもこの寒さは無理だよー」


「高貴な私がこの程度で……と言いたいところだけど、ここはそんなレベルじゃないわね」


「暖房をお願いね、ラムネ」



 【自然】のスキルを三つ上げたラムネが加熱と操風を並列発動し、僕たちの周りに温かい空気の層を作ってくれた。星を上げると細かい制御ができるので、僕たちの周りだけが快適な温度になる。各人がバラバラに動いても暖房は途切れないし、冷たい空気を吸わなくていいので呼吸も楽だ。


 入口付近でこれなんだから、生半可な防寒装備だと、ここを攻略するのは難しそう。遭難する人もいるって話、たしかにうなずける。



「ねぇシア。普通の探索者って、どうやってこの迷宮に入るの? 着込んだら動きが鈍るし、ボクたちみたいに精霊の力を借りられないよね」


「一番スタンダードな対策は、防寒の効果がついた装備品を身につけることだ。ただこれには欠点があって、装備した部分以外に効果が出ない」


「中途半端に身に着けて、お腹を壊してご飯が食べられなくなったり、ツノが冷えてダイチに触ってもらえなくなりそうで、嫌だなぁ……」


「だから防寒効果のついたマントやローブで移動して、戦闘の時は我慢するというのが一般的だな」


「こうして軽装で優雅に攻略できるのは、ラムネのおかげってわけね。褒めてあげるわ」



 アイリスに頭を撫でられたラムネが、すごく嬉しそうにしてる。この子が生まれたのはアイリスのおかげだし、また今夜にでもお礼を言っておこう。


 なにせ出発直前に迷宮に入ったのは、僕のワガママみたいなものだから。どうしても移動の前に、アスフィーの栄養補給をしたかったんだ。それに、また話をしたいって理由もある。


 戦闘もせずに呼び出すのは可哀想だから、シアに相談してあの子が喜びそうな場所まで連れてきてもらった。先日のデートもすごくいい場所だったし、この街に詳しいシアがいて大助かりだよ。



「あっ、向こうの方に太い尻尾をした白い動物が、固まってるみたい」


「恐らくスノー・フォックスの群れだろう。中級ランクで動きも速いから気をつけてくれ」



 カメリアにはクロウの偵察があるから、索敵はバッチリだ。部屋や通路のないフィールドマップだと、二人のコンビネーションを最大限に活かせる。


 さっきの入り口から繋がってる迷宮は、モンスターがコロニーを作って生息してる領域らしい。ここなら障害物が少なくて思いっきり剣を振れるし、一度に大量のモンスターを狩れるから、アスフィーも喜んでくれるはず。



「アスフィー、来てくれる?」


「呼んだ? 主様(ぬしさま)


「あっちにモンスターの集団がいるから、ご飯をいっぱい食べられるよ」


「わかった。手伝う」



 刀に変わったアスフィーを手に、モンスターのいる場所まで移動する。キツネっていうからもっと可愛いのかと思ったけど、尻尾にトゲが付いてるし足が太くて爪も鋭い。あれに引っかかれると大怪我しそう。



「少し離れた場所にも二十匹くらいの集団があるから、ボクはそっちを片付けてくるよ」


「わかった、ここは僕とアスフィーで頑張ってみる。気をつけて行ってきてね」


「うん、行ってきまーす!」



 ツヴァイヘンダーを顕現させたカメリアが、右側にある丘の方へ走っていく。こっちの集団は三十匹ちょいってところかな。



「討ち漏らしたモンスターは私とアイリスが担当しよう」


「主人に手間を掛けないよう、せいぜい気張りなさい」


「私は何かあったらすぐマスターのおそばに行けるよう、ここで待機しています」


「それじゃあ、頑張ってくる!」



 シアは弓で戦ってみるらしく、黄色い宝石がついた風雷の弓を顕現させてる。弓を射る姿も見てみたいけど、いまはアスフィーの食事に集中しよう。


 端の方にたむろしている数匹の集団へ一気に近づき刀を振ると、なんの抵抗もなく首が落ちた。やっぱり[切断]の効果が乗ってるから、すごい切れ味だ。


 振り下ろした刀の軌道を変え横薙ぎに一閃すると、もう一匹の前足が途中から消えてなくなる。モンスターはこうやって切り落とした部分が消えるから、グロイ絵面にならなくて助かるんだよね。


 更に刀を下から斬り上げ、真ん中にいたモンスターの胴体を真っ二つに。状況が飲み込めずに固まっている最後の一匹を、正面から一刀のもとに斬り捨てた。


 なんだろう、体が思ったとおりに動く。自分の思考をトレースできてるような動きは、剣戟(けんげき)アクションをプレイしてるような感覚だ。僕の左手に現れた剣紋(けんもん)は、どういった効果があるかわからないって、ノヴァさんは言ってた。もしかすると、刀の扱いに補正がかかってるんじゃないかな。そんな理由でもないと、この短時間で技量が上がるなんて考えられないし。



『うまうま。もっと食べる』



 おっと、考えるのは後にしよう。いまはアスフィーのために、一匹でも多くモンスターを倒さないと……



◇◆◇



 とりあえず今日は、軽く五つくらいの集団を倒して帰ってきた。上級探索者が贅沢な暮らしをしてる理由がよくわかったよ。ドロップアイテムや輝力の買取金額を見て驚いたもん。とにかく時給が凄すぎる。僕が仲介ギルドで一ヶ月働いた分を、たった数時間で超えちゃってたからね。


 アスフィーもかなり満足してくれたみたいで、僕のおんぶで帰ってきてからも、ずっと顕現したままだ。



「アスフィーちゃん、一緒にお風呂へ行きませんか?」


「私は刀。不汚もついてる。洗うの不要」


「石鹸で洗うとさっぱりしますし、いい匂いがするようになります。それにお風呂で温まると、よく眠れるんですよ」


「なんだったら俺様が一緒に入ってやってもいいぜ、スズラン」


「クロウにはカメリア様がいるのですから、そちらを優先してあげてください」



 スズランは精霊たちもお風呂に入れてるから、そのノリでアスフィーも誘ってるっぽい。だけど濡れたりすると錆びないのかな? まあ[不壊]の上位効果である[不滅]を持ってるし、お湯に浸かるくらいなら平気だよね……


 あっ、スズランの熱意に負けてアスフィーが折れた。


 って、刀に対してこの表現は不適切だった。とにかくお風呂を体験してみることにしたようだ。あの様子だと、今日はベッドで一緒に寝ようとか言い出すんだろうな。アスフィーは小さくて可愛いから、スズランの母性が暴走してるのかも。



「あの子はどんどん母親みたいになっていくわね」


「先日膝枕をしてもらったが、母のように安心できてよく眠れたぞ」


「あっ、いいなぁーシア。旅の間にボクもやってもらおうっと」


「その時は俺様におっぱい枕をしてくれよ、ご主人さま」



 軽いノリで喋るクロウが増えたし、今回の旅もにぎやかになりそう。アスフィーも一緒に移動ができないかな。寝る前にでも聞いてみよっと。もし自分の意志で顕現できれば、好きなときに遊びに来られるから、僕としては嬉しいんだけど……


 とりあえず今は明日の出発へ向け、順番にお風呂へ入りながら旅行の準備をしよう。



◇◆◇



 やっぱりアスフィーは、僕たちと一緒のベッドで眠ることになった。何だかんだでスズランは、押しの強い子だよな。何故かイチカもノリノリで、アスフィーが着られるように服の仕立直しをやってたし、スズランは上機嫌で髪を乾かしたりブラシで()いたりしてたよ。



「お風呂はどうだった?」


「温かい水とても不思議。石鹸ちょっと苦手」


「もしかして頭を洗う時、目に染みちゃったとか?」


「違う。スズラン柔らかすぎ。押し付けられるとくすぐったい」



 いったいスズランはどんな洗い方したのさ!?

 つい柔らかそうな部分を凝視しちゃったけど、「それが正解です」みたいな笑顔を僕に向けないで!



「お風呂が気に入ったんなら、いつでも出てきていいよ」


「私は道具。用もないのに顕現おかしい」


「話をしたいとか、一緒に散歩したいとか、お風呂に入りたいとかも立派な用事だから、遠慮はしないで欲しいな」


主様(ぬしさま)やっぱり変」


「マスターはアスフィーちゃんのことを、娘みたいに思っているからですよ。あなたもそうしてると落ち着くでしょ?」



 眠る準備が整った後、アスフィーは僕を背もたれにして、足の間に座っている。アスフィーの身長って、小学校に上がりたてくらいの子供だし、確かに娘って感じがするかも。実際にその年齢の子供がいたら、僕が十四歳の時に生まれたってことになるけどね!


 この世界は種族によって成人年齢がバラバラだけど、さすがにその歳で父親になる人はいないだろう……



「腰や背中以外の場所、新鮮。だけど刀を抱く主様、もしかして変態?」


「確かに帯剣する場所って腰か背中だけど、今は人の姿をしてるんだし変態扱いはやめてー」


「わかった。もう言わない。だけど私、スズランみたいに柔らかくない。抱き心地悪いはず」


「そんなことないですよ。アスフィーちゃんのほっぺたとかお腹は、ぷにぷにしてますから」


「あっ、ホントだね。すごく柔らかいよ」


ぬひひゃま(主様)のわすのらめ(伸ばすのダメ)



 おっといけない、あんまり柔らかいから思わず頬を引っ張っちゃった。女の子なんだし、もっと優しく扱ってあげなきゃ……



「ねぇ、マスター」


「どうしたの? スズラン」


「私、アスフィーちゃんみたいな子供も、欲しくなってしまいました」



 つい先日、シアみたいな子供が欲しいっていてたけど、いったい何人くらい生むつもりなの? だからそんなに熱い視線で僕を見ないでよ。ドキドキして眠れなくなるからさ。



「主様。私とも作る?」


「あの……アスフィーさん。意味がわかって言ってるのかな?」



 どう考えてもビジュアル的に事案が発生するから! 仮にそれが可能だったとして、意志ある道具インテリジェンス・デバイスを生み出せるなんてことになったら、世界中から狙われてしまいそう。誰かに見つからないよう、隠れて暮らす生活なんてしたくない。




 その後も二人にからかわれながら、出発前の夜は更けていった。


これにて第6章は終了です。

毎度おなじみの幕間をはさみ、いよいよ人魚族の国へ。


今度の相手は邪神!?

ボリューム満点でお送りする第7章に、乞うご期待!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ