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特級精霊の主、異世界を征く ~次々生まれる特殊な精霊のおかげで、世界最強になってました~  作者: トミ井ミト(旧PN:十味飯 八甘)
第6章 卒業証書は魔剣!?

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第6話 2度あることはSand-R

 翌朝、ノヴァさんやエトワールさんと別れ、イノーニの街へ転移する。買い物は全て使い魔の三人に任せてたので、こうして街を歩くのは久しぶりだ。


 ラムネの持っている転移スキルは、埋めた星の数で距離が伸びていく。星が一つだと街全体をカバーできるくらい、星二つまで上げたら山の上まで転移できた。


 転移ポイントは僕の持ってるイメージが採用されるみたいだから、今の所アーワイチとイノーニの一部しか行けない。まだ都市間移動は距離的に無理なので、山と街を行き来するくらいしか出来ないけどね。いろいろな場所に行って転移ポイントを増やすのも、当面の課題かな。


 ちなみに一度試してみたけど、迷宮内へ直接転移するのは無理だった。あそこは異次元と言っていい空間だし、なにか特別な力が働いてるのかも。そう考えると、アイリスの持ってる影転移はすごく優秀だ。



「ノヴァさんやダイチとやった修行も面白かったけど、やっぱりみんなでのんびり歩くのって楽しいね!」


「俺様の周りには最高のおっぱいが揃ってるが、たまには他のおっぱいも見とかないと、ありがたみが薄れるな。こいつは大発見だぜ!」


「その最高には私やシアも含まれているのかしら?」


「フッ……」



 クロウは短く息を吐くと、器用に羽を曲げて「やれやれだぜ」とでも言いたげに、首を左右に動かしながら目を閉じる。相変わらず自分から地雷原に突っ込んでいくなぁ……



雷虫(サンダー・インセクト)

目標固定(ターゲット・ロック)



「うぉっ! あぶねえ!!」



 てんとう虫のような形をした魔法が羽を広げ、クロウへ向かって飛んでいった。二種類の魔言(まごん)を組み合わせて発動できるのは、ハイエルフが持っている【重畳(ちょうじょう)】スキルのおかげだ。昨日シアがもらった弓を見て思いついたアイデアを、早速試しているみたい。



「おいっ、なんだこれ!? 俺様を追いかけてきやがるぞ」


「逃げても無駄だぞクロウ。大人しく新しい魔法の餌食になるがいい」



 クロウも【天駆(てんく)】スキルをカンストさせてるから、かなり俊敏な動きで魔法を避けている。だけど残念ながら、魔法の中では雷が最速なんだよ……



「ピギャァァァーッ!」


「ボク回収してくる」



 かなり上空まで逃げていったクロウだけど、魔法に撃ち抜かれて落下してしまう。カメリアは空き地に積んである廃材を足場にして大きくジャンプ、空中でクロウを受け止めてから綺麗な着地を決めた。


 魔人族のカメリアが、獣人族以上の動きを見せるって、やっぱり凄いな。後ろで見ていた通行人から拍手されてるよ。



「まったく……クロウは学習能力が足りなすぎるな」


「ああして遊んでいる時のクロウはすごく楽しそうですから、シア様に構ってもらいたくてやってるのかもしれません」


「お仕置きの後って、いつもカメリアに抱かれながら幸せそうにしてるし、そっちも目当てだったり?」


駄鳥(だちょう)のくせに、変に知恵が回るのよね」



 魔法を動物や虫の形にすると自律的に動く、これも新しい発見だった。昨日は本格的に試せなかったけど、いま見た限り実用性は十分ありそう。ただ追尾機能は付与魔法になるので、ハイエルフにしか出来ないのが残念だ。


 とにかく野次馬たちの注目を集めちゃったし、さっさとこの場を離れて探索者ギルドへいこう。



◇◆◇



 久しぶりに探索者ギルドに来たけど、今日もそこそこ賑わっている。なんでも、ここの迷宮で願いを叶える宝物が見つかってから、他では出てないらしい。その発見者が大勇者であるノヴァさんと、大賢者であるエトワールさんのパーティーだ。僕たちは本人に聞いたから知ってるけど、誰が見つけたかの情報は秘匿されてる。


 嫉妬の対象にされたり、アドバイスを求める人たちが集まるだろうし、秘密にしておくのはもっともだと思う。あの人たちなら簡単に跳ね返せるだろうけどね。


 その御利益みたいなものにあやかって、迷宮へ入る人も多いはず。だけど願いを叶える宝箱は、この世界に認められた褒美として、迷宮がプレゼントしてくれるんじゃないか、そんな考察をエトワールさんがしていた。大勇者と大賢者の二人からは、世界中を旅して様々な経験を積め、そうアドバイスをもらっている。



「あっ、救世主のみなさーん、お久しぶりです。大賢者様に会いに行くと聞いてから姿が見えなかったので、山で遭難したのかと思ってました」


「心配をおかけしたのでしたら、申し訳なかったです」


「女性ばかりなので少し不安に思ってましたが、それは私の個人的な気持ちですのでお気になさらず。こちらからお願いした依頼ならともかく、ご自身が決められたことで何かあっても、それは自己責任ですから」



 やっぱりこの辺りは、元の世界に比べてドライだな。そもそもクロウに運んでもらったから、山登りなんてやってないんですよ。危険なことといえば、ノヴァさんの投擲で撃ち落とされそうになったくらいです。



「とりあえず大賢者から、この精霊獣と契約したままで問題ないという、お墨付きをもらいました」



 エトワールさんから預かってきた、偽造できないインクで書いたという手紙を、受付嬢に手渡す。なんでも国家間の公文書なんかに使われる、特殊な紙とインクを使ってるらしい。



「上司に確認してきますので、少々お待ちいただけますか」



 この人は他の受付嬢から〝主任〟って呼ばれてたし、多分このフロアで一番偉い人のはず。見た目はまだ二十代前半くらいなのに、その立場に収まってるってことは優秀なんだろう。いま渡した手紙も特に驚くことなく、テキパキと処理してフロアの奥にある部屋へ運んでいった。


 そんな彼女の仕事っぷりに感心してたら、突然後ろから声をかけられる。



「テメェ、こんな所にいやがったのか!」


「えっと、どちらさんでしたっけ?」


「俺だよ俺、忘れたとは言わせねぇぜ!」


「オレ・ダ・ヨオレさん?」


「変なところで区切るんじゃねぇ、なめてんのかコラ!!」



 覚えてますよ。アーワイチで二度も絡んできたんだから。以前より鼻が低くなってるのは、石柱に顔面から激突した後遺症かな。あれだね、鼻っ柱をへし折ってやったとは、まさにこのことだ。



「アーワイチから活動拠点を移したんですか?」


「テメェのせいで、ガキにまで笑われるようになったんだぞ。あんな場所で活動なんてできるか! それより、この落とし前どうつけてくれるんだ」


「おうおうご主人さま、この威勢のいいニーチャンはダイチの友達(ダチ)か?」


「一方的に絡んでくる、ただの通行人だよ」


「二度も叩きのめされた負け犬ね」


「マスターの足元にも及ばない方です」



 さすがに三回目だし、スズランの言い方もきつくなってるよ。ちょっと可哀想になってきたし、みんなあんまり煽らないであげて。自分のことを棚に上げてるのはわかってるけどね!



「なぁ、鳥が喋ってるように見えるんだが、今日の俺は酔ってるのか?」


「ちゃんと素面(しらふ)ですから大丈夫です。あれは精霊の一種でして、喋るくらい普通のことなので」


「それなら安心だな。よし! 今日こそ叩きのめしてやる」


「いいかげん諦めてもらえません?」


「以前の俺と同じだなんて思ってると、痛い目みるぜ! なんせ全財産をつぎ込んで、青の中級精霊と契約したからな」



 いや、それはこっちのセリフだって。メロンのスキルは持久力の上がる【強壮(きょうそう)】以外、全部カンストさせてるんだよ。筋力と俊敏、そして集中力は以前とは比べ物にならない。正直、基礎体力のないアイリスでも、人族くらいなら力でねじ伏せられるはず。



「お金がないんなら、こんなところで油を売ってないで、迷宮にでも行ったほうがいいと思うんだけど」


「うるせぇ! お前を倒したらすぐ行くから心配すんな……って、俺のパンチを受け流すんじゃねぇ!!」


「前回よけたら怒られたし、ちょっと違う方法で防いでみたんだけど、ダメでした?」



 サクラの【強堅(きょうけん)】がカンストして、更に上位の【緩衝(かんしょう)】へ進化してるし、【魔滅(まめつ)】も【避魔(ひま)】に変わってる。そんな状態の僕がわざと攻撃を食らうと、逆に怪我をさせちゃうかもしれない。前みたいに拳を痛めたら、しばらく探索もできなくなるだろう。お金がない状態でそれは可哀想だ。



「お前は無様に床へ這いつくばって、女を差し出して泣きながら帰ればいいんだよッ!!」


「えっと、確か手首を掴んで、肩に手を当てながらこうだったかな。ついでに腕をこっち側に回してっと……」


「ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ー、イデェ! 痛てぇんだよ、コノヤロウ」



 手首を()めながら後ろ手に拘束して、軽く持ち上げてるんだから暴れないでよ。下手に動こうとすると筋を痛めるし、無理に外そうとしたらまた母親に泣きつく羽目になるから。


 この後どうしようか迷っていると、奥の部屋から受付嬢が出てきた。



「あれ? どうされたんですか、アンダーケンさん」


「い……いや、なんでもねぇ。顔見知りのコイツラと少し話して……イタタタタだけだ……ぜ」


「それより救世主の皆さん。先程お預かりした腕輪(ブレスレット)に、特級モンスターの討伐が記録されていたのですが」


「とっ、特級だと……」



 この人はアンダーケンさんっていうのか。脂汗がダラダラ流れ始めたけど大丈夫かな。そろそろ拘束を解いたほうがいいかも。



「修行の一環として討伐を命じられまして」


「ダイチが一人で倒しちゃったんだよね」


「特級を一人でなんて大勇者様じゃないんですから、いくらなんでも無理だと思いますよ。でも記録はたしかに残ってますし、大賢者様からの推薦もありますので、皆さん中級探索者に昇格が決まりました。おめでとうございます!」



 どうやら卒業試験で倒したモンスターの数々が、中級昇格の条件を満たしてたみたい。これでやっとシアに追いつくことが出来たよ。お揃いのブレスレットになって、なんか嬉しいな。




 あれ? アンダーケンさんがいつの間にか居なくなってるけど、どこに行ったんだろう。まあ今回は穏便にすませられたし、お互いに怪我もなくてよかった。


名前ありました(笑)

アンダーケン→アンダー犬→アンダードッグ(Underdog)→負け犬(かませ犬)

です。


不利な状況の方に同情票が集まって逆転するのを「アンダードッグ効果」なんて言いますね。逆に有利な側が勢いを増すのは「バンドワゴン効果」と言います。


◇◆◇


これで本編は終りとなり、3話連続で閑話が続きます。

ノヴァとエトワールの話、デート回、魔剣アトモスフィアの話の三本です。

次回もまた読んでくださいね(ジャン!ケン!ポン!)

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