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特級精霊の主、異世界を征く ~次々生まれる特殊な精霊のおかげで、世界最強になってました~  作者: トミ井ミト(旧PN:十味飯 八甘)
第6章 卒業証書は魔剣!?

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第5話 ちょっと寂しくなるね

 食堂の片付けを終わらせたあと、給水の魔道具が生み出した水で、お皿を次々洗っていく。最初はかなり抵抗されたけど、山で暮らし始めてから時間のある時は、家事を手伝うようになった。


 食器を拭いてくれるスズランにお皿を手渡しながら隣を見ると、汚れを落としているニナの顔がいつもより赤い気がする。やっぱりあれかな、昼間に言ったことを気にしてるのかな。


 最近はアイリスが持ってる、シリーズ物の恋愛小説を読んでるみたいだし、更に感性が豊かになってきたのかも。僕も男だから、ああして好意を向けてくれるのは嬉しい。だけど今はシアがいるからゴメンね。



「……あの、あまりみられると、恥ずかしい」


「あっ、もしかしてニナのことジロジロ見てた?」


「……うん、私が気にしすぎかもしれないけど、いつもと違う気がして」



 うわー、やっぱり女の子って鋭い。だってこんな可愛い子に、僕が求めたら応じるなんて言われたんだよ。今はそんなつもりがなくても、意識しちゃうのは仕方ないと思う。



「ずっと屋敷を外に出して暮らしてたけど、それも今夜で終わりでしょ? それがちょっと残念だなって、考えてただけだよ」


「……一日中みんなの声が聞こえてきて、すごく楽しかった」


「また寂しい思いをさせちゃうけど、許してね」


「……毎日帰ってくるの、待ってるから」



 流し台に二人で立ってこんな会話をしてると、なんか夫婦みたいで気恥ずかしい。これはあれだ、家で夫の帰りを待つ若奥様って感じだろうか。ニナの見た目はスズランと同じ二十歳くらいだし、シチュエーションとしてはハマりまくってる。



「人の使い魔を口説くなんて、下僕(げぼく)として再教育が必要かしら。今夜は足腰立たなくなるまで吸ってあげるから、覚悟なさい」


「精霊や使い魔、それに今日は魔剣にまで、ダイチは人の(ことわり)から外れた者に好かれすぎだ。まさか変な性癖でも持っているのか? 私を好きでいてくれる理由も同じではあるまいな……」


「心配ありませんよ、シア様。マスターは姿かたちや立場ではなく、その人そのものを見てくれていますから。間違いなく私たちの存在自体を愛してくれています」


「一向に成長する気配がないのは、愛が足りないからではないのか?」



 違うよシア、体質とか遺伝とか色々な要素があるから!

 促成栽培じゃないんだから、人の体は三ヶ月程度で急に大きくなったりしないって。カメリアは一晩だったけど、あれは例外だし……


 寿命が伸びてるんだもん、希望は捨てちゃダメだからね。もっと長い目で見るのが大切だよ。僕もできるだけ協力するからさ。



「ボクもダイチにツノをいっぱい撫でてもらったら、もっと成長できるかな」


「おっぱいは俺様が育ててやるから心配すんな!」


「それ以上育ってどうするつもりだ、余剰分は私が吸い取ってやる」


「私のものでよろしければ、吸ってみますか?」


「くっ……これが持てる者の余裕というやつか」



 ちょっ、シアもスズランもなに言ってるの。それに吸うって、いったいどこを!?



「この光景とも今日でお別れなんて、ちょっと寂しくなるね」


「こんな面白い連中、他には居ないだろうしな。いい修行ができたから、俺は満足だ」


「ラムネの転移を上げきったら、大陸のどこからでも移動できると思うので、また遊びに来ますね」


「その時は相手になってやるから、いつでも来い。お前らなら大歓迎だぞ」


「新しい魔法ができたら、私にも教えておくれ」



 いつの間にか全員がキッチンに集まってきてるし、せっかくだから食器の片付けを手伝ってもらおう。


 昼間はノヴァさんとの修行、そして夕方からはエトワールさんと魔法の研究。大変だったけど、すごく充実して楽しい日々だった。そのおかげで力の使い方にも慣れたし、多くの新魔法を生み出すことに成功している。


 それに完全なハイエルフとして[転化]したシアには、もう一つ喜ぶべき事実が判明したんだ。これまで耐性スキルで抑え込んでいた、狂化の状態異常が完全に消えていた。その日はみんな大喜びで、祝賀パーティーを開いちゃったよ。


 それに気づいたのはエトワールさんだけど、なにせ各国の文献や禁書にまで精通してるから、この人の持つ知識量は半端じゃない。そんな人物と一緒に魔法を考えるのは、すごくいい刺激になった。特にシアは一日中近くにいて教えを受けてたから、もう〝プチ大賢者〟って言ってもいいくらいじゃないかな。


 ノヴァさんは〝考えるな、感じろ〟って人だから最初は戸惑ったけど、結果的に理にかなった方法だとわかって驚いた。それにこの修行法は、体で覚えるタイプのカメリアとすごく相性がいい。なにせノヴァさんが一番弟子って言ってるくらいだ。まあ、弟子は僕とカメリアの二人しかいないけど。


 僕は魔法を絡めて相手を翻弄する戦い方だから、正統後継者って意味ではカメリアだろう。戦闘スタイルも似てきてるから、二人並ぶと〝大勇者(小)〟みたいな感じに見られるかも。


 アイリスもエトワールさんの持っている蔵書から、吸血族について調べていた。新しくマスターできたのは[写影(しゃえい)]のみだけど、文献を参考にした使い方を研究中らしい。僕が持ってる日本の知識も役に立つみたいだし、存分に力を使える状態のアイリスがどんな技を生み出すのか、すごく楽しみだよ。


 そんな事を考えながら、みんなで夕食の片付けを終わらせた。



◇◆◇



 ノヴァさんとエトワールさんが自分の家へ帰っていき、順番にお風呂をすませた僕らはリビングで話を始める。山を降りてからどうするか、決めないといけないからね。



「今日の戦闘で輝力(きりょく)がかなり溜まっているし、一部を換金しておいたほうがいいだろう」


「まったく、大勇者も無茶なことをさせたものね。家や畑が荒らされたら、どうするつもりだったのかしら」


「時々間引いてるって話だったし、家の近くにはシアとエトワールさんがいたから、大丈夫だったんじゃないかな」


「ボクとダイチの二人がかりでも苦労したけど、ノヴァさんってアレを一人で倒しちゃうんだよね」


「ノヴァ様はそのように言われてました」



 やっぱり大勇者って、戦闘力が半端ないな。僕がなんとか倒したブラック・ミノタウロスなんか、その場から一歩も動かず魔槍(まそう)投擲(とうてき)で仕留めてそう。



「その後はしばらくイノーニに滞在するか?」


(わたくし)の方から少々よろしいでしょうか」


「イチカから会話に入ってくるなんて珍しいわね。構わないから言ってみなさい」


「そろそろ浄化の魔道具に使う〝人魚の(うろこ)〟を交換しないといけません」


「あら、もうそんな時期なのね」



 ここで暮らす人数が増えたし、山に来てからノヴァさんとエトワールさんも一緒に食事するようになったから、交換時期が早まったみたい。


 人魚族には【浄水】ってスキルがあって、それを持った人の鱗が浄化装置に組み込まれている。しかもこの家で使われているのは特注品で、アーワイチにいた頃はわざわざ取り寄せていたそうだ。屋敷の元持ち主は商人だったし、当時は自分で仕入れてたんだろうな。



「それならウーサンに行こうよ! 元々そこに行くつもりだったんだし」


「俺様の生まれ故郷だな。女ばっかりの、おっぱいパラダイスだぜ!」


「もう女の人を襲っちゃダメだよ」


「今の俺様は満ち足りてるから、ちょっと視姦するくらいで十分だ。だから安心してくれ、ご主人さま」



 いやいやダメでしょ、視姦なんかしたら。シアも魔杖(まじょう)と契約したんだし、いつもの電撃が強化されてるんだよ。エトワールさんにも何度かお仕置きされてるのに、全く懲りてないなクロウは……


 やっぱりエムっ気があるんじゃないのかな。



「それならウーサンまで行って、現地で手に入れることにしましょう。そのほうが面倒もなくていいわ」


「在庫を補充していなかったのは私のミスです。お手数をおかけして、申し訳ございません」


「急に目的地を変えたのは僕らの方だし、地元で買った方が安いと思うから、気にしなくてもいいよイチカ」


「海水浴っていうのやってみたい! 連れてってよ、ダイチ」


「そうだね、イチカやニナの分も水着を買って、みんなで泳ごうか」


「もっ……もしダイチが望むなら、前にカメリアが着ていた〝びきに〟とやらに、挑戦してやらないでもない」



 背中の傷も消えてるし、ダークエルフっていうコンプレックスも無くなってる今のシアなら、どんな水着だって着こなせるはず。その時は絶対ポニーテールにしてもらおう!




 こうして次の目的地が決まった。


次の話は探索者ギルドへ報告です。

そして三度(みたび)あの男が……

第6話「2度あることはSand-R」をお楽しみに!

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