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特級精霊の主、異世界を征く ~次々生まれる特殊な精霊のおかげで、世界最強になってました~  作者: トミ井ミト(旧PN:十味飯 八甘)
第6章 卒業証書は魔剣!?

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第4話 愛称を考えよう

誤字報告ありがとうございました!

 それにしてもこの子のアトモスフィアって名前、長すぎるし女の子っぽくない感じがする。呼びやすく短縮するにしても、後ろをとって〝フィア〟にしちゃうと、シアの愛称とかぶってしまう。前を取って〝アト〟や〝アトモス〟も、語感が硬くてこの子の雰囲気とは遠いんだよね。


 柔らかい感じだと〝アーちゃん〟だけど、子供扱いするなって怒られる未来しか見えない。ノヴァさんによると、アトモスフィアを手に入れたのは随分前みたいだから、確実に僕より年上のはず。


 ちょっと変則的になるけど、最初の一文字と後半の部分をとって、最後を長音にしたらどうかな。アスフィーなら女の子の名前としても違和感がないと思う。この子が目を覚ましたら、愛称で呼んでいいか聞いてみないと。



「マスターは何をお考えなのですか?」


「この子の名前、もっと呼びやすく出来ないかなって、考えてたんだ」


「確かにアトモスフィアというのは、仰々しい感じがするな」


「強そうだけどね!」


「ダイチは本当に名前にこだわるな。俺様には理解できないぜ」


「この下僕(げぼく)は私の使い魔にも名前をつけようとするくらいだし、理解しようとしても無駄よクロウ」



 名前ってその存在を確定させる、大切な要素なんだよ? この子だって名前が付いてたから、人と同じ姿になれたんだと思う。だって使い手である僕が、そういう風に認識してしまったから。



「どんな名前を考えてあげたのでしょうか?」


「最初の一文字と、後ろの方を使ったアスフィーって呼び方だけど、気に入ってもらえると思う?」


「……許す」


「あ、起きてたんだ」


「本当の名前、他人に呼ばれたくない。だからそれでいい。気に入った」


「それならこれからそう呼ばせてもらうよ。改めてよろしくね、アスフィー」


「いつでも力になる。必要な時、呼ぶといい」



 そう言い残して、アスフィーは消えてしまった。もしかすると、本格的に寝るつもりなのかな。やっぱりソファーだと寝心地悪いだろうし。もっと話をしたかったけど、また今度の機会にしよう。



「なにか左手に浮かび上がってますよ、マスター」


「あっ、ホントだ。このタイミングってことは、アスフィーとの契約に関係してる?」



 左手の甲にうっすら浮かんでいたのは、丸い形をした模様だった。


挿絵(By みてみん)


 大きな五枚の羽はどことなく桜の花びらに似てるし、その間にある鋭角の部分は剣なのかな。中心が星と円で(かたど)られてるけど、どことなく家紋に似てる。こんなところも和風テイストになるなんて面白い。



「こいつは〝剣紋(けんもん)〟だな」


「カメリアやノヴァさんには出てないみたいですけど、なにか特別なものなんですか?」


「刀剣類は剣紋、そして魔槍(まそう)だと槍紋(そうもん)、他にも魔弓(まきゅう)なら弓紋(きゅうもん)ってな具合に、その武器固有の紋章があると言われてる。だがそいつに関しては、ろくな資料が残ってないんだ。なにせ俺も持ってないからな」


「坊やが無片(ノーン)だから出たんだろうね。そもそもスキルが無いのに魔剣と契約しようなんて物好きは、坊やの他にいやしないよ」



 財力に物を言わせて手に入れた魔剣と契約しても、技量が足りなかったり相性が悪かったりで、こうした紋様は出ないだろうとのことだ。今のタイミングで剣紋が現れたんだし、心の底から愛称を気に入ってくれたんだろう。


 スキルの模様とは全然違うけど、こうして紋章が出たのはすごく嬉しい。どんだけ修行してもスキルが現れないから、もう諦めてたんだよ……



「私も今日、エトワール様からいただいた魔弓と契約したが、そのような紋章は出なかったよ」


「シアも卒業試験に合格したんだね、おめでとう!」



 シアが契約した弓は、〝風雷の弓〟という名前が付いてるらしい。付与されてる効果は[必中(ひっちゅう)魔射(ましゃ)速射(そくしゃ)顕現(けんげん)]の四つだ。


 そして[魔射]はマナそのものを物質化して打ち出すことが出来る。もう一つの[必中]とシナジー効果があるので、動いてる的にも当たるそうだ。これっていわゆるホーミングミサイルだよね。魔法で再現できないか、今度試してみよう。



「アイリスはどう? 使いこなせるようになった?」


「あら、主人が本物かどうか見分けられなかったなんて、下僕(げぼく)として失格ね。今夜は多めに吸ってあげるから、覚悟なさい」



 そう言ったアイリスの姿が、水蒸気の塊みたいに崩れだす。



「アイリス様の下僕として、努力不足ですよマスター。下僕なら下僕らしく、誠心誠意ご主人様に尽くさないといけません」


「スズランの姿と声で下僕って連呼されると、すごく心に突き刺さるんだけど!」


「凄いね、スズランが二人いるよ」


「スズランが別人だってのは精霊の俺様も感じられるんだが、さっきのアイリスはわからなかったぜ」



 それじゃあ庭で会ったときから、ずっと幻影のアイリスだったのか。ソファーに座ってお茶を飲んでたけど、一体どこに消えてるんだろう。とにかく、実体を伴った幻影って凄すぎる。



「面白そうだから黙ってたが、俺は気づいてたぞ。なにせ気配が全然違ったからな」


「マナの流れが少し不自然だったし、私もわかってたよ」


「違和感は感じていたが、アイリスが幻影だったとは気づかなかった。私もまだまだ修行が足りないな」



 さすが大勇者と大賢者は感覚も鋭い。気配を感じる訓練も受けてるんだけど、なかなか上達しないんだよ。実戦の中で鍛えるのが一番だってノヴァさんは言ってたし、今後の課題にしておこう。一緒に頑張ろうね、シア。



「私の姿であまり変なことをしないでいただけると助かります」


「安心なさいスズラン。こんなことをするのは、下僕をからかう時だけよ」


「出来ればそれをやめて欲しいんだけど……」


「それは下僕の心がけ次第ね」



 アイリスが身に着けているのは、〝幻影の耳飾り(イヤリング)〟っていう迷宮産の装備品だ。黒い宝石でできた小さな花のデザインが、とても可愛らしくて良く似合ってる。


 影使いのアイリスと非常に相性がいいらしく、さっきの幻影も本人をそっくりだった。そして自らが幻影の影になる、[写影(しゃえい)]という新しい技術もマスターしたそうだ。


 それを使えばこちらの様子をうかがいながら、状況に応じて幻影を動かせるってわけ。なにせ以前のアイリスは使い魔を同様の手段で使役してたから、その手の感覚はお手の物みたい。


 人だけでなく物も作り出せるし、影ができないという弱点はあるものの、本人から離れた場所にだって映し出せる。使い方次第で、色々な応用ができそうだよ。



「坊やも魔剣と契約できたし、オルテンシアの弓も使えるレベルになった。いよいよ卒業だね」


「カメリアにはグローブをやるって約束だったな。こいつがそうだ。顕現は出来ないから、必要に応じて装備するといい」


「うわー、ありがとう、ノヴァさん!」


「俺様と同じ色で、カッコイイじゃないか」



 ノヴァさんが持ってきてくれたのは、黒の革製みたいな指ぬきグローブだった。これを装備すれば、カメリアも立派なユビヌキストだね!


 ナックルガードみたいな補助パーツはついてないけど、[装甲(そうこう)]の効果があるから盾代わりになるとのこと。そして他には[不壊(ふかい)]と[防汚(ぼうお)]が付き、迷宮産ということもあってサイズ調節機能もある。


 そしてシアには〝世界樹の杖〟という魔杖(まじょう)もプレゼントされた。なんでも大賢者を超える十個のスキルを発現させたお祝いらしい。この杖にはマナの消費を抑える[節約]、魔法の効果を上げる[増幅]が付いている。


 魔紋(まもん)の構築時間を減少させる[短縮]って効果もあるけど、シアは【魔導】が発現してるので恩恵はわずかだ。もちろん杖を手元に呼び出せる[顕現]も付く。


 木の枝を切り落としたような凹凸のあるデザインで、渦を巻いた先端に丸い緑の宝石がはまっている。なんかマジックワンドのお手本みたいな形が、素朴でいいと思う。ハイエルフのシアが握ると、すごく絵になるし!




 色々ともらい過ぎな気もするけど、おかげで僕たちの戦力は大きく上がった。それ以上に大賢者と大勇者の二人は、強くなっちゃったけど。


 とにかく山を降りたあとも、二人に追いつけるよう頑張るしかない。なにせノヴァさんとエトワールさんに直接指導を受けた、初めての人間になるんだから……


剣紋は適当にでっち上げてます。

家紋を参考にしていますが、多分問題ないデザインのハズ(願望)

(デザインのコンセプトは月と星、そして桜と剣です)


愛称がどこかのアンドロメダさんと一緒になってますが、気にしたら負けです!(笑)

次回は山ですごす最後の夜、第5話「ちょっと寂しくなるね」をお楽しみに。

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