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特級精霊の主、異世界を征く ~次々生まれる特殊な精霊のおかげで、世界最強になってました~  作者: トミ井ミト(旧PN:十味飯 八甘)
第6章 卒業証書は魔剣!?

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第3話 生麦生米巫女みこソード

 僕が名前を呼んだら魔剣が光りだし、おかっぱ頭の小さな女の子に変身した。身長はアイリスよりだいぶ小さいし、百二十センチに届いてないくらいかも。赤くて短いフレアスカートの内側には、フリルとレースの付いたペチコートがわずかに見える。


 上半身は白い小袖の着物みたいで、(えり)の部分に入っているラインや(そで)についてる(くく)り紐が、どちらも赤くてよく目立つ。雰囲気としては巫女服っぽいかな。足も白足袋(しろたび)と赤い鼻緒の草履だし。


 右側の髪をバレッタで留めてるけど、模様が(さや)と同じになってる。そうなると上半身の白い服が刀身で、スカートが(つか)ってことか。柄頭(つかがしら)と同じ色の黒髪だから、服との相性はバッチリだ。



「ちっちゃくてすっごく可愛い!」


「やっぱりやりやがったな、ダイチ」


「ほう……擬態(ぎたい)できる意志ある道具インテリジェンス・デバイスか。これはまたレアな魔剣だったんだな」


「見たことのない服をお召しですね」


「この姿は使い手のイメージ。私が決めたんじゃない」



 僕のせいでこの服装になったのか。

 道理で和風テイストが込められてると思った!


 だって鞘といい本体といい、赤と白で出来てるんだもん。巫女服とか連想するのは、仕方ないと思う。それに頭の中に響いてくる声が、何となく女の子みたいな気がしたんだよ。まさか幼女になるとは思わなかったけどね!



「とにかく眠いんだったら家まで行こうか」


「動くのだるい。運んで」



 あっそうか、剣や刀って自分で歩いたりしないよな。普通は腰に刺したり背中にくくりつけたりするけど、この子の場合はおんぶがいいだろう。眠たげな目でうつらうつらしてるから、早くベッドへ運んであげないと。


 背中を向けてアトモスフィアの前にしゃがむと、そのまま倒れ込むようにしがみついてきた。刀のときも軽かったけど、擬人化しても変わらない重さだ。だけどちゃんと体温はあるし、首筋にかかる息がくすぐったい。



「そういえば〝てんせんちれつ〟ってどういう意味?」


「天に穴を開け地を切り裂く。それくらい強いってこと」


「俺も神殺しの聖槍(せいそう)とか、破滅の鎧とか持ってるぞ」



 それ物騒すぎますよ、ノヴァさん。神殺しの方はともかく破滅の鎧とか、装備すると呪われるやつじゃないですか。



「ボクもかっこいい名前の付いた装備がほしいな」


「それなら後で〝精霊のグローブ〟をやろう。そいつには[装甲]の付与が付いてるから、前衛のカメリアにはぴったりだ」


「ホント!? やったー。ありがとう、ノヴァさん!」


「なーに、ダイチの魔剣がとんでも性能だったからな。カメリアも強化しておかんと不公平だろ」


「良かったな、ご主人さま」


「うん、ボク嬉しいよ!」



 こうしてると人類最強のノヴァさんも、孫に甘い普通のおじいちゃんって感じがする。まあ、そんな人をメロメロにしてしまう、カメリアの天真爛漫な魅力が凄いってことかな。


 それにしても、クロウもなかなか策士だ。さり気なく手の届く場所に来てから話しかけてた。喜んだカメリアに抱きしめられて、だらしのない顔になってるぞ。僕もクロウの表情を見分けられるようになったから間違いない。



◇◆◇



 家まで戻ってくると、シアとエトワールさんは庭に出ていた。シアには【弓道】のスキルが発現したから、今日も弓の練習だろう。



「ただいま、シア、エトワールさん」


「おかえりダイチ。聞いてくれ、やっとエトワール様に認め――って、この浮気者ッ!!」


「えぇっ!? そんな事してないよ?」


「それなら背中の子供はなんだ! 隠し子か? 私というものがありながら、一体いつ浮気したんだ。まさかカメリアとの――」


「ボクとダイチは、まだそんな関係じゃないからね!? いつかは子供が欲しいって思ってるけど……」


「安心しろご主人さま。子作りなら俺様が協力してやるぜ!」


「俺たちも頑張ってみるか? エトワール」


「あんたは時と場合を考えな!」



 あー、もう、場がカオスになってきた。あんまり騒ぐとアトモスフィアが起きちゃうよ。



「さっきも何かが暴れる音がしてたけど、今日は騒がしすぎるわよ。落ちついて読書もできないじゃない」


「お帰りなさいませ、皆さま。ダイチ様の背中にいらっしゃるのは、新しいパーティーメンバーでしょうか?」


「……まだ子供みたいだけど、甘いもの好きかな」


「もしかしてダイチの子供? やっぱりシアと? それともカメリア? まさかアイリスお嬢とか!? あっ、髪が黒いし、イチカかニナかも」


「アイリスお嬢様を差し置いて、ダイチ様のご寵愛をお受けするわけには……」


「……わっ、私はダイチさんが望んでくれるなら」



 うわー、アイリスとイチカたちも出てきちゃったか。使い魔の三人もここに来てから、外に置いた屋敷で生活するようになり、自我がどんどん発達してる。念願の女子トークが聞けるようになって、僕は嬉しいよ。シアにジト目で見られてるから、最後の部分は聞かなかったことにするけど。


 今も三人で服や食事、それから部屋割りの相談をしてる。だけどこの子の実体は刀だし、栄養はモンスターを倒せば摂取できます。



「ちゃんと説明するから、みんな落ち着いて。とにかくこの子をベッドで寝かせたいし、まずは家に入ろう」



 とにかく一旦仕切り直しだ。このままだと僕の評価が地に落ちる。そもそもずっと誰かと修行してるんだし、たった数時間で子供が出来るわけないじゃないか。いくら異世界人だからって、僕はそんな能力なんて持ってないよ!



◇◆◇



 リビングでニナの入れてくれたお茶を飲んだら、やっと落ち着くことができた。多分、鎮静効果のあるハーブティーなんだろう。いつもながら、すごく気が利く子だよ、ニナは。


 あとで頭を撫でてあげようかな。恥ずかしがりながら喜ぶ姿が可愛いし。


 ちなみにアトモスフィアは僕の膝枕で眠ってる。顕現した魔剣って、契約者の手元に戻ろうとする力が働くんだって。でも意思を持ったこの子なら、ある程度自分でコントロールできるみたい。今は寝てるから無理だけど……


 いきなり目の前に現れて倒れ込んでくることに目をつぶれば、紛失する心配がなくてありがたい仕様ではある。



意志ある道具インテリジェンス・デバイスは気難しいのが多くて、滅多なことでは契約できないんだよ。それがなんだい、この懐きっぷりは」


「ダイチに常識は通じないからな、仕方ないだろ」


「非常識代表の二人に言われるなんて、下僕(げぼく)はもうおしまいね」


「もう少し遠回しに言ってくれると、僕は嬉しいんだけど……」



 そもそも僕は、意識して何かを起こしてるわけじゃない。

 結果的に変なことが起こってるだけなんだけなんだ。


 魔紋(まもん)に関して?

 あれは、ただの知識チートですから!

 意図的でなく、お約束ってやつです。



「あのな、ダイチ。意志ある道具インテリジェンス・デバイスは使い手との相性で、その性能が変化するんだ」


「あっ、そうだったの?」



 シアが呆れ顔で僕を見てるけど、この子が意思を持ってるなんてノヴァさんとエトワールさんも知らなかった。ドワーフ族が持ってる【鑑定】スキルで調べた限り、普通の魔剣って結果が出てたらしいし。



「この子は付与をいくつ獲得してる?」


「えっと[不滅(ふめつ)切断(せつだん)改善(かいぜん)不汚(ふお)擬態(ぎたい)顕現(けんげん)]の六個って言ってた」



 背中で眠ってしまう直前に聞いたら、そう答えてくれた。カメリアの魔剣が四個だから、この子は二つ多いってことになる。



「その中の[顕現]は魔剣特有のものだから省こう。そうすると残りは五個だ」


「うん、そうなるね」


「いいかい坊や。意志ある道具インテリジェンス・デバイスと契約できても普通は三個、よほど相性がいい使い手でも四個なんだよ」



 そうなるとアトモスフィアは、僕を最優の使い手だって認めてくれたのか。それはちょっと嬉しいな。



「私もエトワール様から付与魔法について学んだが、[不滅・切断・改善]など聞いたことがない」


「まあ[不滅]はわかりやすいね。間違いなく[不壊]の上位効果だろうさ」


「もう一つの[切断]もわかるぞ。さっきダイチは普通にブラック・ミノタウロスを斬ってたからな。間違いなく[鋭利]の上位効果だ」


「あんた、坊やにそんなモノけしかけたのかい!」



 えっ!? あれって、そんなにヤバいモンスターだったの?



「ブラック・ミノタウロスは、通常の武器では傷ひとつ付けられない変異種だぞ」


「確かにすごく硬かったし、この子でも深い傷を負わせられなかったよ」


「いかに魔剣といえども、せいぜい皮一枚斬るのがやっとのはずだ」



 シアが色々説明してくれるけど、物理攻撃無効のロック・バードより少し劣る程度の硬さとのこと。ただし体の大きさと力の強さがあるので、脅威度は遥かに増すそうだ。ランク的には特級に分類されるらしい。


 武器やスキルのおかげだけど、何となく自分の強さが実感できた。ただし、慢心だけは気をつけよう。僕の力は借り物みたいなものだから……



「ダイチやボクが倒せなかったら、どうするつもりだったの?」


「斬り倒したのは想定外だったが、致命傷を与えるのはそんなに難しくない。例えば[穿孔(せんこう)]の付与が付いた魔槍(まそう)を使えば、当たりどころ次第で一撃だ。あの時も、危なくなったら槍を投げるつもりで準備してたしな」


「そういや上から見えてたけど、槍を持って突っ立ってたな」


「ボクにも見えてたけど、あれって疲れたから杖代わりにしてたんじゃないんだね」


「はっはっはっ、体力もまだまだお前らには負けんぞ!」



 サクラが持ってる【強壮】スキルの恩恵を受けた僕たちより、体力があるからなぁ。いま星を四つ上げてるから、かなり持久力は付いたはずなんだけど、ノヴァさんだけ修行の後もピンピンしてる。


 とにかく僕と契約してくれたアトモスフィアは、かなり強い武器だというのがわかった。こうして僕の膝枕で寝てる姿は、普通の可愛い子供だけどね。これからも大事にして、仲良く暮らしていこう。


明日更新予定の「愛称を考えよう」をお楽しみに。

まだまだいくよぉ~~~!!

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