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特級精霊の主、異世界を征く ~次々生まれる特殊な精霊のおかげで、世界最強になってました~  作者: トミ井ミト(旧PN:十味飯 八甘)
第6章 卒業証書は魔剣!?

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第2話 魔剣と契約

 迷宮では武器や防具、それにアクセサリー類がモンスターからドロップしたり、宝箱や隠しスペースに入っていたりする。指輪や首飾りといったアクセサリー類は、比較的浅い場所でもドロップするけど、武器や防具類は深層まで行かないと出ない。


 その中でも魔剣と呼ばれるものは特別で、守護者級と言われるボスモンスターが、稀にドロップするのみ。そして普通の武器と異なるのは、契約をすれば個人専用になること。だから消したり呼び出したり出来る。


 絶対数の少ない貴重なものだから、手に入れるためには自力でモンスターを倒すか、莫大なお金を払って買うしかない。本来なら人にポンポン渡せるものじゃないんだけどね。


 とにかく僕たちがここに来て、魔法に大きな革新をもたらしたり、大勇者のスキルが進化するきっかけになった。そのお礼に余ってる魔剣や装備品を、譲ってくれることになったってわけ。


 自分たちで使い道のない貴重品を溜め込んでるのは、さすが大勇者と大賢者といったところかな。



「ダイチに渡そうと思ってる剣はこれだ」


「うわー、キレイだね」


「ダイチには勿体ないぜ」



 ノヴァさんが持ってきてくれたのは、赤い(さや)に入った剣だった。わずかに湾曲してるのは、どことなく日本刀っぽい。


 しかし持ち手の部分は西洋剣と同じで、装飾の施された黒い柄頭(つかがしら)があり、真っ赤な(つか)は滑り止めになりそうな白い模様が刻まれている。白い羽を広げたような(つば)の部分は広く作られてて、そこにはまっているのは透明の宝石だ。カメリアがもらった剣もそうだけど、ここに自分の血を流して契約すれば色が変わるはず。



「とりあえず抜いてみろ」



 赤い鞘の表面はエンボス加工されたみたいに、盛り上がった白い線で模様が描かれてる。細いラインに小さな葉っぱみたいなものがついてて、何となくつる植物っぽいデザインに見えてしまう。全長は一メートルくらいで、柄と鍔の部分が三十センチくらいあるだろうか。



「これは(かたな)ですね」


「ああ、そうだ。元の世界にもあったんだろ?」


「はい、僕の住んでた国には日本刀っていう、独自の武器がありました」



 刃は片方だけに付いていて、日本刀より身幅が広く反りも少ない。そして刀身は真っ白で、切っ先の形は日本刀と同じだ。(しのぎ)の部分に走ってる赤いラインが、とても目を引く。刀身が薄くて軽いから、取り回しがすごく楽だよ、これ。



「いいですね、この刀」


「死んではないと思うんだが、何故かそいつと契約できないんだ。ダイチの血は特別っぽいから、もしかしたらいけるんじゃないかと思ってな」


「ねぇねぇノヴァさん。魔剣って死ぬことあるの?」


「契約者に長い間ほったらかしにされると、時々くたばったりするぞ。カメリアも気をつけろよ」



 うわっ、魔剣にはそんな弱点があるのか。もしかして寂しくて死んじゃうってやつかな。そう考えると魔剣って、ちょっと可愛いかも。



「とにかく契約を試してみます」


「マスターなら、きっと魔剣も応えてくれると思いますよ」


「俺様、また変なことが起こりそうな予感がするぜ」



 あー、うん、僕もちょっと警戒してる。なにせ異世界人である僕の血は、ここでは妙な力を発揮するみたいなんだよね。その理由はエトワールさんにもわからないけど、今のところ大事には至ってない。何かあったとしても、不利益なことは起こらないだろう。


 切っ先で指先を傷つけて、透明な宝石に一滴垂らす。すると刀身の赤いラインが光りだした。これは契約成功ってことでいいのかな?



『……お腹すいた』


「剣が喋ったよ!?」


「ボクにも聞こえたんだけど!?」


「あー、こいつは意志ある道具インテリジェンス・デバイスだったのか。そりゃ契約者をより好みするわけだ」



 赤くなった宝石が点滅して、頭の中に直接響くような声が聞こえてくる。なんか気だるそうに空腹を訴えてくるけど、どうしたらいいんだろう。



「魔剣の食べ物って何でしょうか」


「そらモンスターだろ。こいつらは斬るのが仕事だからな」


「でも、ここにはモンスターいないよ?」


「ご主人さまの言うとおりだぜ」


「ラムネちゃんのスキルで街に戻りますか?」


「待てスズラン。そろそろ間引きの時期だから、俺が餌になるヤツを連れてきてやる」



 そう言ってノヴァさんは、山の斜面にある洞窟へ走っていった。詳しい説明せず行動に移すのは、ノヴァさんの悪い癖だなぁ。修行のときもいきなり突拍子もない事やらされて、最初の方は色々苦労したからね。ひと月もすれば、慣れちゃったけど。


 とにかくあの人のやることだ、悪いようにはならないだろう。今はここで待つのが最善だ。



◇◆◇



 しばらくすると、洞窟の中から足音が近づいてきた。いや、足音っていうより地響きかも。まさか本当にモンスターを連れてきたの? ここには迷宮の入り口はないし、そもそも外になんて出てこないはずなのに。



「ヤバそうだぞご主人さま、俺様ちょっと上空で待機してるぜ」


「うん、スキル使って上から見ててね」


「スズランも避難して」


「かしこまりました、マスター。サクラちゃんとメロンちゃんのスキルを、全開にしておきます」



 ホントあの人は何をやらかしたんだよ! ここって山の中なのに、大量のモンスターに追いかけられてるし……


 見たことないのがいっぱい居るけど、上級とか特級は混ざってないよね?



「いったい何をやったんですか!」


「実はこの山、一部が迷宮化しててな。放っておくとどんどん広がるから、時々こうしてモンスターを間引いてるんだ」


「でも、ここに入り口って無かったよねー?」


「剣で迷宮の壁を斬って無理やり引っ張り出してるからな、そんなものがなくても大丈夫だぞ」



 うわー、やっぱりこの人は無茶苦茶やってるよ。人工的に迷宮の裂け目を作るとか、力と技術の無駄遣いが激しすぎる。もしかすると山奥に住んでる理由って、人災を防ぐためじゃないかな。



「危なくなったら助けてやる。卒業試験とでも思って、ダイチとカメリアで殲滅してみろ」


「家に被害が出る前に片付けようか」


「そうだねダイチ」



 こうなったら仕方ない。自分の実力を測るいい機会だし、刀の試し斬りも兼ねて戦闘開始だ。



「僕はあの黒くて大きなやつから行くよ」


「ボクは足の速いモンスターから潰していくね」



 ひときわ目立つ黒い巨体には、牛っぽい顔とツノがついている。どこからどう見てもミノタウロスだけど、黒や赤の個体は総じて強いはず。気を引き締めていこう。



『……ごはん』


「今からいっぱい食べさせてあげるからね」



 やっぱりモンスターは食べ物として扱うのか。まさか輝力(きりょく)が栄養なんて言わないよね? それを全部吸われたら、僕たちの使う分がなくなってしまう……


 とりあえず今はどうでもいいか。目の前の敵に集中だ。



「うわっ、モンスターが抵抗なく斬れるよ」



 やっぱり魔剣って凄いな。これが熱したナイフでバターを切るような感覚だろうか。とにかくスパスパと気持ちよくモンスターが真っ二つになっていく。昆虫系の硬い皮でも、この魔剣なら苦もなく斬れそう。



「なかなか目の付け所がいいな、ダイチ。そいつはこの群れのボスみたいなもんだ。倒すと統率がなくなるから、楽になるぞ」


「つまり一番強いってことですね!」



 体も大きいし、手には石で出来た斧みたいなのを持ってる。だって見るからに強そうだもん、そうじゃないかと思ったんだよ。とにかく数で不利な時は、司令官を潰すのがセオリーだ。さっきから「ブモー、ブモー」と鳴き声を出してるのは、群れに指示を与えてたからだろう。


 迷宮から出てきたのは動物系のモンスターばかりだけど、種類の違うモノたちが一つの群れになってるなんて初めて見る。ある意味これもモンスター・パレードの一種なのかも。



「さすがに硬いな」



 振り下ろされる斧を避け、通り抜けながら太ももを斬ってみた。なにせ丸太のような手足だから、魔剣でも一刀両断は無理か。でも確実にダメージは与えてるし、手数で勝負だな。


 ちょうど目線の先にミノタウロスの鳩尾(みぞおち)があるってことは、体長はツノを入れて三メートルくらいだろう。身長差がありすぎて、急所である首は狙いにくい。


 魔法を使うのもいいけど、今回は刀の栄養補給だから斬って倒さないとダメだ。とにかく周りの取り巻きを減らしつつ、チクチクと体力を削っていこう。地味だけどしょうがないよね!



◇◆◇



 少し時間はかかったものの、怪我もなくモンスターを全滅させられた。刀の栄養は輝力じゃなかったようで、ブレスレットにはめ込まれた輝石(きせき)のバーが、かなり伸びてる。これなら気兼ねなく呼び出せるってことだ。良かった良かった。



「ふぅ、ちょっと疲れたよー」


「お疲れ様、カメリア。あちこち走り回ってたから、大変だったでしょ」


「クロウに最短コースを教えてもらわないと、全部倒すのは無理だったかな」


「ご褒美はお風呂と添い寝でいいから、これからも俺様を頼ってくれ!」


「二人ともよくやったな。魔剣の機嫌はどうだ、ダイチ?」



 そういえばモンスターを倒すのに必死で、魔剣の様子を見てなかったよ。鍔の部分にはまってる宝石がさっきより赤くなってるし、満足したってことかな? せっかく喋れるんだし聞いてみよう。



「ねぇ、お腹いっぱいになった?」


『満足した。もう眠い』


「食べてすぐ寝るのは体に悪いんだけど、魔剣だし大丈夫かな。眠るのに楽な姿勢とかあったら教えて」


『道具に気遣い不要』


「だめだよそんなの。ちゃんと心があるんだから、粗末に扱いたくないって。どうせなら仲良くしたいし、快適に過ごしてもらいたいからね」


『心を認める? 仲良くする?」


「精霊や使い魔もそうだけど、感情を持ってるなら友だちになれると思う」



 お互いに意思疎通できてるし、こうして手にしてると何となく気持ちが伝わってくる。さっきモンスターを倒してた時は、すごく楽しそうだったから。



『目覚めたの偶然じゃない。面白い気に入った。名前で呼ぶこと許す』


「あっ、名前あるんだ。それならぜひ教えて欲しい」



 名前付きの剣ってロマンがあるよね。なんたって〝天叢雲剣あめのむらくものつるぎ〟や〝エクスカリバー〟とか〝カラドボルグ〟なんかは、ゲームに出てくる定番だもん。



天穿地裂の剣てんせんちれつのつるぎアトモスフィア(atmosphere)


「僕の名前は大地(だいち)、隣に立ってるのが特級精霊のスズラン。こっちの女の子はカメリア、黒い鳥は精霊獣のクロウだよ。そしてこの人は、大勇者のノヴァさん。これからよろしくね、アトモスフィア」


『ん!? これ(ちから)? 今ならできそう』



 剣が白く光りだすと、僕の手から勝手に離れていく。そして柄を上にして地面へ自立し、ひときわ眩しく光りだす。




 ――やがて光が収まると、そこには一人の少女が立っていた。


血と名前が関わってますし、もちろんやらかしました(笑)

次回は魔剣のせいでひと悶着「第3話 生麦生米巫女みこソード」をお楽しみに!


ある程度ストックが出来たので、連休中は毎日更新予定です。

よろしくお願いします。

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