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特級精霊の主、異世界を征く ~次々生まれる特殊な精霊のおかげで、世界最強になってました~  作者: トミ井ミト(旧PN:十味飯 八甘)
第5章 僕たちが救世主ってどういうこと?

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第11話 魔法革命

誤字報告ありがとうございました!


◇◆◇


第5章本編の最終話になります。

 翌日、シアとエトワールさんを呼び出し、崖になった場所まで来てもらう。せっかく【魔導】のスキルが発現したのに、使えないままでは勿体ない。だからずっと考えてたことを試すため、スズランとミカンに協力してもらった。



「ここは私が魔法の練習する場所だけど、こんな所に連れてきて何しようってんだい?」


「そういえば昨夜は遅くまで起きていたようだが、それに関係しているのか?」


「僕にも魔法が使えるようになったら、確かめてみたいことがあったんだ。昨日やってみたらうまくできたし、これなら【書術】のスキル無しで呪文書(スペル・ブック)に記述できると思う」


「ホントなのか、ダイチ!?」


「口で説明するより見てもらったほうが早いから、実際にやってみるね」



 近くにミカンを呼び、そっと頭を撫でる。スズランを介して精霊たちと意思疎通が出来るのは、僕たちにしか無い大きな武器だ。同時にそれは新たな可能性を生み出せるってこと。



 〈火の矢(ファイア・アロー)



 崖に向かって魔言(まごん)を唱えると、僕の周りに帯状の魔紋が構築されていく。しかし二次元バーコードのような、複雑な模様じゃない――


挿絵(By みてみん)


 ――そう、筆記体で書かれたアルファベットだ。


 火で出来た矢が前方へ飛んでいき、崖に当たって小さな焦げ目をつける。



「いっ……今のは一体」


「あの線みたいなものが魔紋なのかい、坊や」


「はい、あれが魔紋と同じ効果を生み出す、アルファベットという文字です」


「しかも魔法の発動速度が、【魔術】のスキルを持ったエルフ族より速いぞ……」



 形がシンプルな分、魔紋構築にかかる時間が大幅に短縮される。実は僕も予想してなかった副次効果だ。



「他の魔法も同じように出せるのかい?」


「ミカンのスキルを火と風しか上げてないので、まだ二属性だけですけど、全てに応用できますよ」




 挿絵(By みてみん)

 〈ウインド・ブレイド〉



 今度は風の刃が飛び出し、崖に小さな傷をつけた。シアがやるともっと大きな傷跡になるだろうけど、まだ星一つの魔法は威力が弱い。



「アルファベットって二十六文字しかないから、これならスペル・ブックに記入するのも楽になると思う」


「楽なんてもんじゃないよ! 複雑な魔紋を描くには集中力がいるし、一つ記入するのに半日かかったりするんだ。あんな線でいいなら、一瞬じゃないか」



 魔紋は魔法というシステムへ、情報を伝えるための文字じゃないか、僕はそう考えている。しかも亜米利加(アメリカ)とか吐露非狩古鬱(トロピカルフルーツ)みたいに、外来語を音訳するよう当てはめてる感じだ。この世界の魔言は英語と同じだけど、それをわざわざ複雑な文字にするのは効率が悪い。


 そこでミカンにアルファベットと、英単語をいくつか覚えてもらった。すると僕の予想通り、アルファベットでも魔法システムへ情報を伝えられたってわけ。



「これは赤の精霊でも出来ることなのか?」


「それは難しいです、シア様。私は他の契約精霊と完全な意思疎通が出来ませんから、こちらの意図を伝えきれないんです」


「人と完璧にコミュニケーションの取れるスズランがいて、なおかつその子供であるミカンにしか、こうして新しいことを覚るのは無理みたい」


「【魔導】のスキルを持ってる私やオルテンシアなら、坊やの言った〝あるふぁべっと〟ってやつが使えるんだね?」


「魔言との関連付けさえしっかり出来ていれば、スペル・ブックでも発動するはずです。さっきの魔紋を紙に書いてますので、試してもらってもいいですか」



 昨夜の勉強用に作ったメモ用紙を取り出し、対応する魔言を伝えていく。それをスペル・ブックに書き終えたエトワールさんが魔言を唱えると、アルファベットの魔紋が一瞬で構築された。


 さすがハイエルフ、同じファイア・アローでも威力が段違いだ。穴の奥が赤くなってるのは、溶岩化してるからかな。


 同様にシアも魔法の発動に成功する。これで【書術】の発現を待たなくても済む。僕たちのパーティが大幅に戦力アップするぞ!



「魔法発動に必要なマナも大幅に減ってるね」


「確かに、魔法発動が楽になっているな」



 おぉ、そんな効果まであったのか。ということは、マナは魔紋の構築に使われていたってわけだ。これなら人族の僕も、人より多めに魔法が使えるかもしれない。魔法剣士とか憧れてたから、一度やってみたかったんだよ。


 それにミカンが英単語を覚えてくれてるから、魔言と魔法のイメージをしっかり関連付けておけば、カメリアやアイリスも発動できる。これからは戦い方の幅が一気に広がるはず。



「おう、さっきからなにドンパチやってるんだ?」


「ボクも仲間に入れてよー」


「部屋の中まで聞こえてきたわよ、いい加減になさい」



 別の場所にいたみんなが集まってきてしまった。面白がったエトワールさんが何発も連射するからだよ、まったく。


 あっ、なに知らないふりしてるんですか。子供みたいにはしゃいでたのは、あなたですよ!



「いやー、もう、この坊やすごく面白いよ。この機会に異世界の知識を、たっぷり教えてもらおうかね」


「おい、待たないかエトワール。こいつとカメリアは、俺が鍛えてやるんだぞ」


「なに言ってんだい、今まさに魔法の革命が起こったんだ。この坊やは私が育てるって、さっき決めたのさ。これでエルフの重鎮どもを、ギャフンと言わせてやれるよ」



 あんまり僕の知識を変なことに使わないで欲しい。それにエトワールさんがエルフ族の重鎮から恨まれてるのは、賢聖の称号を突き返したり禁書を勝手に持ち出したのが原因だからね。


 「私はこんなちっぽけな器に収まる気はない」と啖呵(たんか)を切って国を飛び出したのは、ちょっとカッコイイと思うけどさ。誰もが欲しがる栄誉を(そで)にしたのは、プライドの高いエルフ族にとって許せないことだったんだろう。しかも国を出る時、禁書庫の扉を半壊させてるし、恨みを買うのは当然だよ。


 僕がそんな事を考えてる間も、ノヴァさんとエトワールさんの口論は終わらない。



「モテモテですね、マスター」


「こんなことで争わないでほしんだけどなぁ……」


「大賢者様と大勇者様に気に入られるなんて、凄いじゃないかダイチ」


「まったく大勇者といい大賢者といい、いつまで経っても子供ね」


「ボクさっきまでノヴァさんと走ってたから、お腹空いちゃったよ。おやつ食べに帰りたいな」


「百三十歳児と二百八歳児は放置して、一度戻りましょうか」



 しばらく終わりそうもないので、僕たちは一旦家へ引き上げることにした。とにかく上がってしまった身体能力に慣れるためにも、ノヴァさんから訓練をしてもらうのは必須だ。それに新たな魔法の開発とか、ミカンやシアと一緒に英語の勉強とか、やることは山のようにある。


 しばらくここで滞在することになったし、時間や日取りを決めてどちらもしっかりやっていこう。世界でもトップクラスの人物から、直接指導を受けられる機会が巡ってきたんだ。思い残すことなくやり遂げたい。


次に閑話を一つ挟んで、この章は終わりです。

毎度おなじみ幕間の資料集を投稿後、第6章へ……


主人公パーティーが大幅パワーアップしますので、お楽しみに!

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