表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
特級精霊の主、異世界を征く ~次々生まれる特殊な精霊のおかげで、世界最強になってました~  作者: トミ井ミト(旧PN:十味飯 八甘)
第5章 僕たちが救世主ってどういうこと?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/237

第1話 すっかり変わってしまったわね

 窓の外を流れる景色が、どんどん後ろへ流れていく。アーワイチを出てしばらくは、荒野みたいな場所を走ってたけど、今は遠くの方に山や森が見えている。スピードはどれくらい出てるんだろう。都会を走ってる各駅停車の電車より、確実に速いんじゃないかな。


 アーワイチからイノーニまで二泊三日かかるんだから、この大陸って結構大きいよね。大きな山とかは迂回するけど、線路はほぼ直線だってシアは言ってた。おかげであんまり揺れないし、なかなか快適だ。乗り物酔いの心配もしなくて良さそう。



「ボク、前はずっと床に座らされてたんだけど、それが普通だったなんてダイチの世界は面白いね」


「畳っていう床材を使った部屋や、ここと同じ感じ(フローリング)の床に絨毯を敷いた部屋とかあったよ」


「アイリスもこっちに来て一緒に座らないか? なかなか新鮮だぞ」


「私のように高貴な存在は、下々の者を見下ろすものよ。邪魔しないでくれるかしら」



 上段のベッドが気に入ったんだね、アイリス。


 イノーニ行きの切符を買いに行くと、ちょうどキャンセルが出たところだった。ちょっと値は張ったけど、今の僕たちだと輝力(きりょく)で払える範囲だ。もうすぐ発車するとのことだったので、そのまま乗っていくことに決定。最低限必要なものはリョクとラムネの収納に入ってるし、こんな幸運を逃す手はない。


 買えたのは二等客車にある、四人用の個室だ。壁の上方に収納式のベッドが二つあり、雑魚寝と合わせて最大六人で使えるらしい。スズランに隠れてもらっての旅行は嫌だし、本当にグッドタイミングだったな。


 一等客車も外から覗いてみたけど、ちゃんとベッドが置いてあったよ。三等客車は普通の座席だったけどね。リクライニングシートじゃなかったし、あれで寝るのはちょっと辛そう。



「ねーダイチ、膝枕して」


「うん、いいよカメリア」



 床でゴロゴロしてたカメリアが、そんな事を言いながらこっちへ転がってきた。やっぱり床に座って生活できるのっていいな。こっちの世界に来てから、寝るときやお風呂以外はずっと靴やスリッパを履いてるから、余計にそう思ってしまう。



「もしかして私がお邪魔したせいで、よく眠れませんでしたか?」


「ううん、そんなこと無いよ。スズランってすごくあったかくて柔らかいから、いつもよりぐっすり眠れたくらい」


「確かにあの包み込むような暖かさは、気分が落ち着いてくるな」


「今夜は私と一緒に寝ますか? シア様」


「せっかくこんな客室を借りられたのだし、今夜はそうしよう」


「それじゃあボクはダイチと一緒に寝る!」


「あまりダイチに迷惑をかけてはダメだぞ、カメリア」


「うん、わかってるよ、シア」



 床に並んで横になれば四人くらい眠れるし、今夜はみんなくっついて寝るのがいいな。修学旅行みたいで楽しいかも。誰と行ったのかなんて忘れちゃったけど、少しずつ気にならなくなってきた。記憶は取り戻したいって今でも思う、だけどそのあと僕はどうしたらいいんだろう……



「シアはすっかり変わってしまったわね」


「そうか? 確かにこれまであった心の重荷は無くなったが、性格を急に変えるのは無理だと思うぞ」


「性格とかではないわ、心に余裕ができた感じかしら。さっきスズランから言われた申し出だって、今までのシアなら拒絶していたはずよ」



 アイリスもよく周りのことを見てるなぁ。たしかに今までのシアだったら、「子供じゃないんだから添い寝など必要ない」とか言い出しそうだもんね。それにカメリアが僕と一緒に寝るなんて言いだしたら、エッチなことをしたらダメだって釘を差されそう。


 僕と心を通わせてくれたシアは、スズランとの結びつきも強くなってる。アイリスやカメリアと同じように、スズランのスキルを享受(きょうじゅ)できるようになったから、それも心の安定につながってるんじゃないかな。


 ……って、あんまり昨夜のことを思い出すと、膝枕してるカメリアに気づかれちゃう。ツノを撫でてごまかすしかない!



「もうあんな後悔はゴメンだから、自分の気持ちには素直になることにした。きっとそのおかげだろう」


「すごくいいことだと思うよ。ボクもみんなと一緒になってから、自分の思い通りにいろんな事ができて、毎日が充実してるもん」


「カメリアは少し自由すぎるから、自重なさい」


「あうっ……」



 血の繋がりで抑圧された生活をずっと続けてたんだし、いまは仕方ないと思うよ。そのうち落ち着いてくるんじゃないかな、多分。



「カメリアは元気すぎるくらいが丁度いいんだし、あんまり落ち込まないで」


「えへへ、ありがとうダイチ。ツノ、もっとなでなでして」


「大賢者と一緒に忌々しい大勇者も一緒にいるはずだし、体力が有り余ってるならそっちの相手はカメリアと下僕(げぼく)に任せるわ」


「大勇者は人族だろ、まだ生きてるのか?」



 シアの疑問はもっともだ。迷宮からモンスターが溢れ出した〝大氾濫〟が百年近く前って話だし、エルフ族の大賢者はともかく大勇者はもう寿命が尽きてるんじゃないのかな。



「私を三日三晩休みなく追い回すような、常識の通じない体力バカだから、まだ生きてると思うわよ」


「えー!? 精霊たちの力を借りても無理そうだよ、それ。一体どんな人なの、大勇者って。本当に僕と同じ人族なの?」



 なんでも物理攻撃の効かない相手に剣でダメージを与えたいと、修行に付き合わされそうになったらしい。そりゃ引きこもり生活を続けてたアイリスにとっては、いい迷惑だよね。


 もちろんそんなのに付き合う義理はないって断ったら、昼夜問わずしつこく付きまとわれた。それを止めたのが大賢者なんだって。


 新しい力を身に付けたら試しに来ると言ってたので、いまでも修業を続けてるんじゃないかというのが、アイリスの予想だ。今ですら大勇者って呼ばれてるのに、これ以上強くなってどうするんだろう。



「木や岩の影に逃げ込んでも、なぜか見つかるのよね。しかもそれを破壊して、私を無理やり引きずり出すのだもの、やってられないわ」


「私は伝聞でしかその姿を知らなかったが、なんだかとんでもないな、大勇者という人物は」


「ボクはちょっと興味あるかも。今は力が上がりすぎてうまく加減ができないし、修行つけてもらおうかな」


「その点では僕も同じだし、二人でお願いしてみようか」



 僕もカメリアも戦い方は完全に我流だし、誰かにしっかり習っておきたい。しかもメロンの持ってる強化スキルは、まだまだ上げられる。もし大勇者が生きてるなら、これはすごいチャンスだよ。



「アイリスが大賢者について教えたくなかった理由、私にもわかったよ」


「大勇者に会いたくなかったんだね」


「ボクとダイチで大勇者の相手をするから、心配しないでねアイリス」


「私の野望を成就するため、しっかり強くなりなさい」



 シアに発現したスキルを調べに行く予定だったけど、なんだか面白いことになりそうな予感がする。大勇者と大賢者、一体どんな人なんだろう……


次回は探索者ギルドでイベント発生。

「第2話 あなたが救世主です!」をお楽しみに!


◇◆◇


次の更新は土曜日と日曜日になります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ