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プロローグ ――あの日の残滓――

大変お待たせ言い足しました!

本日より第二部の投稿を開始します!

 突然ダンジョンの中に放り出され、ティセや歌恋と出会ったあの日。

 まるで今まで生きてきた人生よりも長く感じるほどに濃密で、あっという間だった3日間。

 危機を乗り越え、ダンジョンを脱出したあの日から、どのくらい時間が経ったのだろう。


 思い返してみればまるで夢のような出来事だった。

 確かに海斗はゲームやアニメ、所謂エンタメという物を好んでいる。

 とはいえ、その中で語られる出来事が現実に起こるなど予想出来るはずもない。


 ずっと側で見守ってくれたティセ。共に戦った歌恋。

 二人とも街角で見かけたなら一瞬で目を奪われてしまうような――ティセは違った意味でも目を惹くが――美少女。

 本来であれば海斗が関わることなどありえない相手。


 そんな仲間達と繰り広げた冒険。

 だからこそ考えてしまうのだ。

 本当にあれは現実だったのだろうか?

 クリスマスを前にした、寂しい独身男の渇望が見せた夢だったのではないだろうか、と。


 人々が行き交う休日の雑踏の中、目的地に向かう海斗の脳裏にそんな考えが浮かんでは消える。

 満開になりつつある桜。強くなりつつある日差しに、あの日の残滓をを感じることは出来ない。



 目的地――自室の扉を前に鍵を取り出すため、海斗は左手をポケットに入れる。

 指先にぶつかる鍵以外のものがあった。


 海斗は鍵と共に取り出した小さな二つのモノに視線を向ける。

 ビー玉程度の大きさをした球体。

 淡い光が灯っており、ただのガラス玉ではないことを示している。


 目を凝らしてみるとその光の発生源――球体の中央に見覚えのあるモノが見て取れた。 それはかつて手にした『漆黒の大剣』『小鬼の短刀』と同じ形をしている。


 あの日、気が付くと手にしていたはずの武器は消失し、代わりにこの玉が残されていた。

 持ち運びを考えるなら、確かに便利なのかもしれない。

 しかし、あれから一度も元の姿に変化することはなく、ただのオブジェと化している。


 形は変わってしまったのかもしれない。

 しかし確かに残されたモノが、あの日の出来事が夢ではなかったのだと訴えている。


 いや、そう信じたかったのかもしれない。

 小さくため息を吐きながら、右手で鍵穴に差し込んだキーを回す。

 鍵をポケットに戻し、残された二つの玉をぎゅっと握り締め――扉を開く。


「ただいま」

 帰宅を告げる海斗。目の前には見慣れた自室が存在している。

 無人の室内に視線を彷徨わせながら、海斗は寂しげに左右に頭を振る。

 テーブルの上に置かれた電源の入らないスマホを見つめながら――


「ただいま……ティセ」

 海斗は祈るように再度声をかける。

 しかしその声に応える者はなく、無人の室内にただ虚しく響くだけだった。

可能な限り毎日更新出来るように頑張りたいのですが、

現状は色々と先の見えない状況なので確実ではないです。


最低でも週2以上は更新出来るようにがんばりますので、

これからも引き続きよろしくお願いいたします。

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