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ダンジョンアドベンチャー①

「さてまずは……」

 食事を終え身支度を整えた海斗は、立ち上がり周囲を見回す。


「……? どうしたのマスター。行かないの?」

 不思議そうにカクンと首を傾げるティセ。彼女の疑問はもっともだ。しかし海斗にはその前に行いたいことがあった。


「ああ。でもその前にこの場所を確認してからだ」

 ダンジョン探索の基本とも言える行為。それは始まりの場所を確認することだ。


 広さ的には六~七畳程度の空間。正面と背後それぞれに道が存在しているが、片方は土砂で埋もれている。

 まずは塞がれている方の道を確認する。土砂に手で触れ、少しかき分け、軽く蹴りを入れてみるがビクともしない。


「う~ん。これは通れそうにないね~」

 彼女の言う通り、完全に塞がれていると判断しても良さそうだ。


「ここはダメか。それじゃあ次は……」

 周囲を見回した海斗は、室内を確認するため歩き出す。


「何か気になる所があったら教えてくれ」

「うん。任せてよマスター。」

 海斗は隣を飛ぶティセを引き連れ、壁伝いに室内を一周していく。


 特にどこかから光が差し込んでいるわけではない。しかしダンジョン内は視界の確保が問題ない程度の明るさがあった。

 淡い光を放つ壁面に視線を向け、コンコンとノックするように叩いてみる。手で触れてみた感じや質感的に、普通の土壁のようにしか思えない。


「なあティセ。なんでダンジョンの壁って光ってるんだ?」

「えっ? んー……ダンジョン、だからかな?」

 冗談のような理由だが、何となく納得出来てしまう所が恐ろしい。

 頷きで答えながら、ティセと二人で室内を確認を進めていく。



「う~ん。なんにもないね……」

 一周回ってみたが結局何も見つからなかった。だが特に落胆はない。ここには何もないと確認できたからだ。

 もし確認を行わず、何か重要なものを見逃してしまっては目も当てられない。


 ティセはこの場所のことを、ゲームに出てくるダンジョンと同じような物だと言っていた。

 ならばゲーム的なセオリーは押さえておいた方がいいだろう。


 小さな所から一歩ずつ。そう考えながら、海斗は塞がれていない方の通路に視線を向ける。

 正直ここから先――未知のダンジョンを探索することにためらいがないとは言えない。

 しかし他に選択肢がない以上、一歩を踏み出すしかないだろう。


 ティセに視線を向けると、どうしたの? と問うように優しい笑顔を浮かべている。

 もし何かあったときは彼女の安全を優先し行動するようにしよう。海斗は決意を胸に口を開く。


「……それじゃあ行くか」

「れっつごーー!!」

 明るいティセの声を背に、海斗はダンジョンの探索を開始するのだった。



 踏み出した先の通路は思いのほかに広々としており、思わず足を止めてしまう。

 天井まで三~四メートル、横幅は成人男性が両手を横に広げて三人並ぶことの出来る程度の広さ。

 例えるならば『アニメやゲームに出てくるダンジョン』と言う形容が最も相応しいと思える。

 ティセがしてくれた説明――ゲームに出てくるのと同じ感じ――は驚くほどに適切な表現だった。


 すぐ隣を飛んでいる存在に視線を向ける。彼女は目に映る全てに興味があるのか、ダンジョン内を興味深そうに観察している。

 海斗もティセに習い周囲に視線を飛ばす。ダンジョンは見た感じ、しっかりとした作りに思えた。


 しかし、見た目が大丈夫そうだったとしても油断することは出来ない。

 そもそもこの場所に来てしまったのは崩落に巻き込まれてのこと。

 急に足元や壁、天井が崩れてしまうのではないか? そんな不安が脳裏を過ぎってしまうのは仕方のないことだろう。


 心に宿った不安を払拭することは出来ないが、今は勇気を出すべき時だ。

 それに海斗は今一人ではない。隣には心強い相棒の存在。


 幸いなことに壁面が放つ淡い光のお陰で視界は確保出来ている。

 不安は尽きないが一歩一歩慎重に、足元を確かめるように通路を歩いて行く。

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