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第80話》奇妙な申請者

 建物内の宝箱を回収し終わった時だった――。


 ――メンバー申請がありました。


 そうメッセージがきた!


 「あ!」


 「何々? まだ宝箱あった?」


 俺が叫んだからママルさんが宝箱を発見したのかと嬉しそうに聞くも、俺は首を横に振る。


 「ギルメンの申請がきたみたい」


 「え? そうなの?」


 「レベルは?」


 リラさんに言われ確認してみる事にした。どこでも申請者を確認出来るらしい。


□――――――――――――――――――――□

 名 前:モアレ

 レベル:49

 H P:31,140

 ラック:490

□――――――――――――――――――――□


 うーん。初心者なのかな?

 モアレさんには、ギルドのレベルとギルド経歴、メンバーの情報が見れる。

 俺達のギルドは出来立てほやほやなので、ギルド経歴は何もない。ギルド経歴は、今回の様なイベントでのギルド順位、ギルド戦の順位が表示される。


 レベル49は微妙だ。SやAランクなら上級者かもしれない。でもDやEなら初心者の可能性もある。会ってみて装備を見ないと何とも言えないな。


 「どうなのよ。Sランクとかそう?」


 「レベルは49。あ、でもラックは上限の490だ! だったら初心者ではないかも」


 「会ってみたら?」


 ミチさんがそう言った。俺もそうするつもりだったので頷いた。


 「連絡を取ってみるよ」


 「新しい仲間だぁ!! 部屋の模様替え出来るね!」


 ママルさんが嬉しそうに言った。

 そう言えば、そういう約束をしていたんだった。ちゃんと覚えていたんだね。


 「じゃ、すぐに会いに行きましょう!」


 とリラさん。彼女も現金だなぁ。

 そういう訳で、連絡をしてポルーメ街のギルド協会内で待ち合わせをした。モアレさんは女性で、魔法使い系だという話。

 行くとすぐにわかった。一人ポツンと佇んでいた。

 白銀の長い髪に薄いグレーのフード付きのローブ。杖は普通の杖っぽく見える。どう見ても上級者なんだけど……。


 「初めまして。モアレさんですよね? 俺、エットです」


 「あ、はい……」


 「で、何ランク?」


 やはりというか、リラさんが質問をした。


 「もうまだランクにこだわっているの?」


 「別にDだろうがAだろうがいいけど、知りたいだけよ」


 ミチさんが言うと、ちょっとムッとしてリラさんが答える。


 「はい! 私、Cです。ママルです」


 元気よくママルさんが言った。


 「あなたはいいのよ」


 「え~~。自己紹介じゃないの?」


 クスクスとモアレさんが笑った。


 「あ、ごめんなさい。仲いいのね」


 「あははは。いつもこんな感じです」


 「そう。私は、Bランク」


 「えーと。一応聞きたいんだけど、なぜ俺達のギルド選んだの? ギルド名からしても初心者だってわかると思うんだけど」


 Bランクで50レベルぐらいなら俺達は彼女から見たら足手まといだと思うんだけど。


 「やっぱりオール1って、ギルドナンバーだったんだ。選んだ理由は、ずばり初心者ギルドだからよ。しかも出来たばかりだったみたいだから」


 「あ、もしかして、初心者の助けしてくれるの?」


 「そんな考え方するのエットぐらいよ。そういう事をしようとするなら自分でギルド作って集めるでしょう。普通は」


 俺が言うと、ため息交じりに本当にもうとリラさんに言われてしまった。


 「モアレさん。今まで所属していたギルドは?」


 ミチさんが、聞いた。すると、モアレさんは首を横に振った。


 「それってギルドに入ってなかったって事? あなた傭兵していたの?」


 「傭兵って?」


 リラさんの言葉に俺が聞いた。


 「イベントとかで助っ人としてパーティーに入る人よ。他のギルドに入っている人だと、そのギルドにポイントが入っちゃうでしょう? 気にする人は気にするからギルドに入ってない人をパーティーに入れるの」


 なるほど。それ専門って事か。


 「ううん。傭兵じゃないわ」


 「え? じゃなんでいきなり私達のギルドに入る気になったの? あなたにとってメリットないでしょう?」


 リラさんらしい意見だ。けどそれは、俺も思った。少なくても選んだ理由を教えてもらいたい。


 「さっきも言った様に初心者ギルドに入りたかったの。でもすぐに抜けるわ」


 「え?」


 「は?」


 「なんで!?」


 俺達が驚いていると、更に驚く事を言った。


 「このゲームをやめるのよ。その前に貯めたダンジョンポイントをギルドポイントとして、初心者にあげようと思ってね」


 「え~~!! やめちゃうの!?」


 ママルさんが、大きな声で叫んだのだった。

 一体彼女に何があったんだ?

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