第79話》チームワークの賜物でしょう
凄く時間がかかったけど、勝てた～！！
「やった～～！！」
「あら？ エットがそんなに喜ぶなんて珍しいわね」
何故かリラさんがニヤッとして言った。俺だっていつも喜んでますよ。ただママルさんのリアクションが凄いから目立たないんだと思う。
「どう？ 勝つって快感でしょう？」
「………」
いや、快感ってほどじゃないけど、今回は結構苦労したから一回で倒せて嬉しかったけど。
「これなのよ！ 勝利喜び！ 自分を高めればもっと行けるよわよ！」
と、リラさんが熱弁し始めた！？
「このレベルで、一回で倒せるなんて凄い事なのよ。たぶん、あの樽でみんな苦労するはずよ。何回も外に出されて。それに、あなたの攻撃は、100レベルに匹敵しているわ！ という事は、100レベルになったら凄い事になっているってわかるわよね？ いけるわ！ 今からでも遅くはないわ！ ううん。逆よ。募集を止めておきましょう！ このイベントで上位になれば、上級者が来てくれる。Sランク設定してもくるわよ！」
「あ、あのさ、前も言ったけど……」
「いい？ 質選びも大切なのよ！ 中には寄生虫もいるんだから！」
「いや、だから俺は……」
「せめて、自分と――」
「私、今回戦って思ったけど、スカート系だけは履かないわ！」
と、リラさんの大きくなってきた声にも負けないぐらい大きく、語尾を強めて叫んだのは、驚く事にミチさんだ。俺もリラさんも驚いて振り向いた。
「あ、私も思った、それ。丸見えだもんね！」
「まあ男のロマンかもしれないけど、私ジャンプして攻撃する予定だし」
うん？ なんの話だ？
「でも見えそうで見えないのも気になるね！ 動けないから覗けないし」
「ママルさん、エットさんを覗こうとしたの？」
ミチさんが驚いている。
いや俺も驚いて、ガバッと今更だけど膝辺りを押えた。
二人が話している内容をやっと理解した。俺の格好は、すぽっと上から被ったワンピースの様なモノだ。それでジャンプしていたんだから下着が丸見えって事だった！
「み、見たの！？」
「だから見えなかったんだってばぁ。膝から上辺りが暗くて……」
見えてなかったのか。よかった。
「ちょっと何の話してるのよ！ 今は、エットの下着より大切な話をしているのよ！」
「あらエットさんは、上を目指してないのよ？」
「目覚めたのよ！」
「いや、目覚めてないから！ 気持ちはわからなくもないけど、目指すなら少なくともこの4人でだよ？ さっき、二人を切り捨ててでもって意味で言ったなら怒るよ？」
「……そういうつもりはないけど。これから入れるなら、私達の強さに合わせようって言いたかったのよ」
「確かに強い方が楽だし、こうやって倒せるからクリアも出来る。でもこのゲーム、運ゲーだろう？ SランクもCランクもEランクも選んでなったわけじゃない。だから俺は、ランクで選びたくないんだ」
「それはわかるわ。でも4回目でクリア出来たのは、エットが樽を魔法で壊せたからよ。ジャンプがあったからそこよ。その装備は、一位になった賞品だよね？ だから4回でクリアできた。絶対上位よ」
「確かにね。でもそれだけで4回でクリア出来たわけじゃないよね？ ミチさんが、印をつけようっていう提案してくれたり、ママルさんがあの一瞬でちゃんと鍵穴の事を覚えていてくれたから14個ずつだってはっきりしたんだ。リラさんだって、的確に指示をだしてくれた。チームワークだよ」
「……そうだよね、ごめん。自分よりずっと強いのに、勿体ないって思っちゃって」
「でも今回、この4人で結果だしたんだよ？ このメンバーでもいけるって証明した事にならない？」
「倒したのはエットでしょう？」
「俺一人だったらここに辿り着いてないから。それに、こうやってクリアしていって、バディ手に入れればみんなで倒せる様になるって。まずは、それを目指そう」
「うん！」
元気よく返事を返したのはママルさんだ。
「……二人もごめんね。エットの言う通り4人でここまで来たんだものね」
「よかったわ。わかってくれて。このまま喧嘩始めたらどうしようかと思ったわよ」
ミチさんはきっと、ワザとジャンプの話を振ってくれたんだ。ママルさんは……。まあいっか。
「よし、じゃ気を取り直して、クリスタルダンジョンに挑戦しよう！」
「はーい！」
また元気よくママルさんが返事を返してくれた。
「そうね、そうしましょうか」
「じゃ、ナビに情報を聞くわ」
「その前に！ 宝探しいないの？」
とママルさんが真面目な顔をして聞いてきた。
「もう、ママルったらそればっかり」
と、大爆笑になった。
そういう訳で、まずは建物内の探索をする事になったのだった――。
