第72話》特賞ぐらいの価値ある魔法だった
奥まで行った俺は、引き返しもう一つの道の奥の方へと進んで行った。こっちはかなり奥。いや、端と言った方がいい。途中で二つの宝箱を開けた。どちらもクリスタルの欠片だった。
そしてやっと、一番奥にあった宝箱までたどり着いた。
「これは、何だ? リング?」
今までで一番小さいアイテムだ。
クリスタルリング――★1。防御100。重量100。
指輪だ。しかも重すぎるだろう。これは、分解行きだろう。一応鞄に閉まってっと。うん? あれ? よく見ると、地図の端が黄色い。
マップは、最初全体表示で縮小されている。俺は、ある程度見やすい大きさにしていた。拡大してスクロールしたから気づけたんだ。
隠し通路か部屋だな。黄色だから宝箱か。だったら部屋だな。
「エクスプロージョン」
放ってみたけど、通路は現れない。穴があいて進めたらいいのに。仕方がないので、違う壁を攻撃してみるも通路が現れない。
「ねえナビ。もしかして、さっきの行き止まりから隠し通路に続いているって事もある?」
『はい。可能性としてはあります』
取りあえず、MPはいっぱいあるので壁伝いに魔法を放しつつさっきの通路へと戻った。結果的に奥まで来てしまった。
もしこれでここが壊れなかったら諦めよう。探しようがない。
「エクスプロージョン!」
派手な音と共に、やっと道が現れた!
「よかったぁ」
結構遠いよな。隠し通路の奥にあるんだからいいものに違いない!
俺は、ママルさんじゃないけど、ウキウキして向かった。けど、宝箱の中身は、さっきと同じリングだ!
「え? 同じ物……」
がっかりして、宝箱から出す。
クリスタルリング――攻撃力を4分の1にする。その代わり、攻撃力の4分の1を防御力、魔防力、素早さに加える。重量1。
うん? これって! バディだ!!
「やったぁ!!」
攻撃力が4分の1になるけど、防御系が増える。魔法攻撃か弓攻撃のプレイヤーなら欲しいアイテムだ。ミチさんと相談で決めるかな。
ミチ――『エットさん。そっちどう? 私達ゴール前について待っているけど』
ママル――『宝箱全部制覇した?』
リラ――『迎えに行く?』
『ごめん。隠し通路発見して宝箱をゲットしたよ。今から向かうから、もう少し待っていて!』――ミチ、ママル、リラ
ミチ――『わかったわ。気を付けて』
ママル――『さすが、エット!』
リラ――『ご苦労様。分け合うのが楽しみね』
さてと行きますか。敵からドロップしたクリスタルの欠片も行ったり来たりしたので、凄い数になった。
「お待たせ」
俺が着くと三人は、地べたに座って女子会を開いていた。遠くに居ても三人の笑い声が聞こえるぐらいだ。楽しそうで何よりだ。
「凄い待ったわ。それにしてもマップって便利ね。ESランクが羨ましいわ」
「え? マップってそのランクじゃないとないの?」
「合っているけど違うわよ。体力が最小値、魔力最大値という条件らしいわ。だからバディを使って作りだして、マップを手に入れる方法もあるらしいけど、そもそもそういうバディを探すのも大変だし、マップの為だけにしないでしょ普通」
俺が聞くと、そうリラさんが返して来た。確かにマップだけの為にそこまではしないよな。それが自分に取って、凄くプラスになるステータスなら別だけど。
「へえ。そうだったんだ。エットって色々凄いね!」
「じゃマップを所持している人って下手したら数人しかいないのかしら?」
「勿論、課金すれば魔法を手に入れられるらしいわよ。ガチャだけど」
ミチさんが言うと、リラさんがガチャがあると答えた。
サイコロのガチャの事だきっと。3つのサイコロを振って、3つの数字で貰える商品が決まるガチャだ。スロットみたいな感じだからハズレが多い。数字がバラバラだと、設計図引き換え券だからやる気にならない。
「では、ゴールしましょうか」
リラさんが言って、俺達4人はゴールのセーフティエリアに乗っかった。
――クリアおめでとうございます。アトリエへの階段を発見しました。
壁側に階段が現れた。
「やったわ!」
リラさんはそう言って、階段を昇っていく。それにママルさん、ミチさん、そして俺と続く。
アトリエの地下室の様な場所へ出た。
「よし! ここにもワープ出来るようだわ」
リラさんが、嬉しそうに言った。