第66話》空飛ぶコンパス!?
ギルメンの条件は、色々選べた。レベル、ランク、性別、ラックなど。ただし、制限が出来るだけで、相手のステータスが見えるわけではないみたいだ。
つまり、Sランクのみとした場合、相手がSランクの場合のみ申請出来る。こちらで確認できるのは、いつも通りのレベルとHPとラックだ。
「初心者歓迎!?」
驚きの声を上げたのは、リラさんだ。
「ここは、上級者でしょ? または、一緒にトッププレイヤーを目指そうでしょう」
「いや俺、目指してないから。それに、こんな初心者だらけのギルドに、そんな人は入らないだろう?」
俺が言うと、ママルさんとミチさんがうんうんと頷いている。
というか、ギルドコインを内装に使っておきながら言う台詞でもないような。トップ狙うならステータスに使うだろうに。
「取りあえず、募集は掛けたから後はイベントをこなそうよ。ベルを作る材料はあるからさ」
「そうね。では、ベルを作って島を探しましょうか」
納得したようでリラさんは、切り替えてくれた。こうして、ベルを作成してアトリエの島を探す事になった。
▽ ▽ ▽
リラさんが大きなコンパスを手に、俺達はフィールドを駆けていた。
ナビが、あとどれくらいとコンパスの針の色を見て、リラさんに教えてくれている。
リラさんの分も俺が敵を倒し島の入り口を探す。
「見て! コンパスがぐるぐるしてるわ!」
リラさんが持っているコンパスの針が、クルクルと回転していた。
「と、いう事はここが入口?」
ミチさんが言うと、そうだとリラさんは頷いて、コンパスを地面に置いた。
「さあ、みんな。コンパスの上に乗って」
「え? これに乗るの?」
リラさんに言われ、驚いてママルさんが問うと、リラさんは頷く。
どうやらコンパスの上で、ベルを鳴らす様だ。
俺達4人は、コンパスの上に乗った。そしてベルを出して、俺が鳴らす。
見た目から想像できない、澄んだリーンリーンという音が響き渡った。っと、浮遊感を感じると、スーッとコンパスが浮き上がる。
「きゃ、これって浮くの?」
驚いてミチさんが言う。
「うわぁ、凄いね。どんどん高くなる」
ママルさんは、嬉しそうに景色を眺めている。
「ちょ……こんな狭いのにどこまで上がるのよ!」
そう言ってリラさんが俺に抱き着いて来た!
「うわぁ。落ちるから!」
って、全員俺に掴まる。
う、嬉しい状況なのかもしれないけど、落ちる~~!!
浮遊感が納まり辺りを見渡すと、見たことがない風景だ。海が見える。ここは島の様だ。
「こ、ここが、アトリエの島?」
ミチさんが、俺から手を離し辺りを見渡した。
「ねえ、エット。コンパスが地面に埋まってるよ」
足元を見ると、古めかしいコンパスだ。どうなっている?
「ここ、ワープ先に登録なっているわ。これからは、ここから進めるみたいね」
どうやらコンパス自体が、橋渡しになっていたみたいだ。
リラさんはそう言うと辺りを見渡し、あれと指差した。
島の真ん中付近で、山の上に建物が見える。
「どうやって行くのかしらね」
ミチさんが言う。
「どうやらあそこが最終目的地みたいよ」
「ねえ、ナビ。最終目的地って、あそこに行くと何かあるの?」
リラさんの言葉に、俺はナビに聞いた。
『はい。ここからは、イベントポイントが入ります。規定ポイントに達するとアイテムなどが貰え、ギルドと個人でランキングもあります。あの建物は、ラ・ラビーレのアトリエで、装備品の素材もあります。そして、最終目的である「クリスタルダイス」を手にするとクリアとなります』
そうだったんだ。ポイントもあったのか。
「ポイントを取得すると、アイテムとか貰えるみたいだよ。最終的にクリスタルダイスって言うのを手に入れるのが、このクエストの目的みたい」
「へえダイスかぁ。そんなのもあるんだ」
ママルさんは、目を輝かせている。
「まずは、どうやって行くかだよね」
俺は、建物を眺めながら呟いた。
『あの建物へ行くコースは、複数あります。すぐ近くにあるトンネルを抜け、砂浜りに降り、緩やかなコースで向かう。これが一番優しいコースですが、距離が長いです。次に、山の中に作られた迷路ダンジョンを進む方法です。最後は一番短いコースで、このままアトリエに山なりに向かって行くコースです。ボス級の敵が出現しますので、今現在のマスターには無理だと思われます』
「説明ありがとう」
3コースあるようだけど、最後のはナビの言う通り無理だな。