第65話》まとまりません……
三人は、あーだこーだと言いながら椅子を決めている。
触る事はできないが、ディスプレイする事が出来る為、大きさや色を見て三人で選んでいる。何故かテーブルも設置しているんだけど。
「私、緑色が好きなのよね」
「私は赤!」
ミチさんが言うと、ママルさんも好きな色を言う。
「私は黒」
リラさんも言うと、三人が俺を見た。俺にも聞きたいらしい。
「し、白かな……」
別にそこまで好きな色はないが、無難な色を言っておく。というか、統一性がない部屋になりそうだ。
「ねえ、黒にまとめない?」
俺に聞いたけど、自分の好みの色でまとめようとするんだ……。
「だったら緑でいいじゃない」
「あ、ストライプとかなら2色になるよね!」
ママルさんが、余計な事を言っている。
「嫌よ、そんな模様。黒でシックに決めましょうよ」
「緑だって素敵じゃない」
「ねえ、床の色も決められるから私は、床を赤くしたい」
またママルさんがっ……て!
「ちょっと待って! 床まで色着けるの? しかも赤!?」
どんな部屋にする気だよ、君達は!
「床はなし! 色でそんなにもめるなら個々にすればいいよ。メンバーが増えた時に、その人も好きな色にできるし」
「……わかったわ。エットがそう言うなら色はそれぞれ好きな色にしましょう。でもデザインは一緒がいいわ」
「それは、私も賛成」
リラさんが言うと、ミチさんも頷いて賛成と、今度はデザインを決める様だ。でもこれは直ぐに決まった。というか、デザインは決まっていたようだ。
「エット、このデザインで4色お願いね。それぞれ25ポイントずつ入れて。私は、20ポイント入れるから」
リラさんに言われ、俺達は25ポイントずつダンジョンポイントから振り替えた。
――ギルドレベルが3レベルになりました。
――ギルドコインが10増えて、10になりました。
そして、椅子を買う。
――Aデザイン(赤)の椅子1つ購入しました。
――ギルドコインを2使用して、8になりました。
――Aデザイン(緑)の椅子1つ購入しました。
――ギルドコインを2使用して、6になりました。
――Aデザイン(黒)の椅子1つ購入しました。
――ギルドコインを2使用して、4になりました。
――Aデザイン(白)の椅子1つ購入しました。
――ギルドコインを2使用して、2になりました。
「テーブルはこれよ」
とリラさん。テーブルも買う事になったらしい。
――Cデザインの丸テーブルを1つ購入しました。
――ギルドコインを2使用して、0になりました。
結局、ギルドコインは0になった。
出現した椅子とテーブルを三人は、せっせと配置する。
丸テーブルを囲み、4色の椅子が配置された。
時計回りに、黒、白、緑、赤。
「結構、いいわね」
リラさんが、椅子に座って足を組み言った。
「観葉植物もあるといいかもね」
椅子に座って辺りを見渡したミチさんが言った。
「エットも座りなよ」
ママルさんが、テーブルの向こう側にある俺用の白い椅子を指差し言った。
「………」
座り心地はいいけど、居心地はよくない。三人がまだ何か言いたそうに、俺を見ている。
「な、何かな?」
「もう少し飾りつけしていい?」
ミチさんが聞いて来た。
やっぱりそう来るよな。
今ここで頷くと、ダンジョンポイントがなくなるまで振り替えて、部屋の飾りつけにギルドコインを全部使いそうだ!
ダメではないけど、出来れば違う事に使いたい。それに、イベントはどうするんだ。
「い……今は、ダメ! イベントをクリアしなくちゃ! あと、ギルドコインの使用は計画的に!」
「ちぇ」
不服そうにする三人。
「ナ、ナビ。どうしたらいい?」
『そう言うのはお答えできません』
やっぱりこういうのは、無理か。
『ですが、ノルマを与えると宜しいかもしれません』
「どんな?」
『レベルや敵の数など……』
レベルや敵の数だと競えあえないよな。うーん。そうだ!
「とにかく、次の飾りつけは新しいメンバーを加えてからね!」
「新しいメンバー! 条件はちゃんとつけてよ。Sランクね!」
「え~~。Cランクも入れてよ。仲間がほしい」
「どうせならAとかBにしない? いないランク」
みんな言いたい放題だ。はぁ……。俺はため息しかでなかった。