第63話》ドラゴン討伐をするのがギルドでした
俺達は、ダンジョン商会のすぐ近くにあるギルドに来た。建物名は、ドラゴン討伐ギルド協会。
「ねえ、ドラゴンってなってるけど、ここでいいの?」
ママルさんが俺に聞く。で、俺はナビに聞く。
「ギルドってここであってる?」
『はい。あっています。ギルドイベントは、ドラゴン討伐になります』
メインストーリーってやつか。そう言えば俺、NPCにほとんど話掛けないできたけど、いいんだろうか?
取りあえず、受付をしてみよう。
「あの、ギルドを設立したいのですが」
ギルド設立カードを提示して話しかけた。
「はい。ダンジョンギルドですね。こちら規約になります。了承頂けますと、設立になります」
規約が書いてあるボードを渡された。
ギルドの規約――
□ギルドを設立したプレイヤーがマスターとなり、その役職は譲渡出来ません。
□メンバー条件は、マスターが決められます。
□ドラゴン討伐時期には、ギルドメンバーで討伐に向かって頂きます。倒しきれない場合は、援軍を呼ぶ事も可能です。3連続不参加の場合は、解体となります。
□ギルドポイントについて
・ギルドポイントが100ポイント貯まると、ギルドのレベルが上がります。
・ドラゴンを発見すると、10ポイント入ります。ギルドメンバーだけで倒すと、参加ギルドメンバー×5ポイント入ります。
・ドラゴン討伐に参加したメンバーにつき、1体1ポイント入ります。
・ギルドメンバーが、ダンジョンをクリアすると1ポイント入ります。
・ダンジョンポイント1ポイントをギルドポイント1ポイントに変換できます。(上限はありません)
□ギルドコインについて
・ギルドがレベルアップすると10ギルドコインを獲得できます。
・ギルドコインを使って、ギルドメンバーのステータスUPや魔法などを獲得できます。詳しくは、ギルド部屋にてご確認下さい。
□ギルドメンバーについて
・レベル1のメンバー上限は、マスターも含め5名です。1レベル増えるごとに2名ずつメンバー上限が増えます。
・メンバー除名は、マスターのみ行う事が出来ます。
「はい。わかりました」
読んで了承した。
「では、ギルド名を決めて下さい。登録になっているギルド名は使えません。また、同時にメンバーにするプレイヤーがいる場合は、一緒に登録できます」
「あ、ギルド名か……」
頭になかったな。
「いずれ最強!」
リラさんが、真面目な顔で言った。
だから最強目指してないって。
「え~。ここはエットが一番じゃない?」
これは、ママルさん。
名前をギルド名に入れたくない。
「そうねぇ。ナビさんがいます。なんてどう?」
もしかしてミチさんは、ナビが羨ましいと思っていた?
「で、肝心のエットはどうなのよ」
くるっと、俺を向いてリラさんが俺に聞いた。
「な、何も考えてなかった……」
「じゃさ。この中でどれがいい?」
ママルさんが、私のよねと目で訴えて来ている。
「いや、この中にはないかな……」
「最強でいいじゃない」
「え~。私だけ最強になれないし」
「私だってなれないわよ。それにエットさんは、最強を目指してないわよ」
「これから目指すのよ!」
って、ギャギャワーワーと、俺の目の前で三人が繰り広げている。俺の意見はどうなった……。
「あの~、ギルド名は一度だけ変えられますので、ギルド番号をギルド名にしておきますね。登録をお願いします」
「す、すみません……」
「三人の女性の方もメンバーですよね?」
「はい」
「では、この水晶に左手で触れて下さい」
俺が水晶に手を伸ばすと、三人も手を伸ばして来た。いや一人ずつだと思う。受付のお姉さんもちょっと驚いた表情だ。
左手の甲に、青い魔法陣の様なモノが浮き上がった。
「わぁ。何これ」
ママルさんが、目を輝かせて言った。
「ギルドに所属していますという印になります。右手にある青い魔法陣からギルド部屋に入れます。話し合いはそちらでどうそ」
「あっちの赤いのは?」
ママルさんが、左側にある赤い魔法陣を指差した。
「あちらの魔法陣は、対戦ギルドの入り口になります」
「へえ、そうなんだ」
ママルさんは、ウキウキで青い魔法陣へ向かう。
俺達は、魔法陣の上に乗っかった。