第56話》1を侮るなかれ
「ひえ~~。18がでた~!! エット、助けて!」
大きな声を響かせて、俺に助け求めているのはママルさんだ。
「ファイヤー、ファイヤー、ちょっと待ってて! ファイヤー、ファイヤー、ファイヤー、ファイヤー、ファイヤー、ファイヤー、ファイヤー、ファイヤー」
自分の敵をやっつけて、ママルさんの敵に攻撃!
「ファイヤー、ファイヤー、ファイヤー、ファイヤー、ファイヤー、ファイヤー、ファイヤー、ファイヤー、ファイヤー、ファイヤー、ファイヤー、ファイヤー、ファイヤー」
「ありがとう」
「えっと、ミチさんは?」
「私もお願いしようかな。14が出たわ」
「OK。ファイヤー、ファイヤー、ファイヤー、ファイヤー、ファイヤー、ファイヤー、ファイヤー、ファイヤー」
「リラさんは……」
「私はいい! 自分で倒せるわ!」
「そう……」
まあリラさんは、攻撃食らってもゼロだからね。
無事ボスを倒し戻る為にゴールを目指していた俺達は、サイコロの目に大変な目に遭わされていた。
階を移動する度にサイコロの目が増えて行くという事だったが、1階が4面、2階が6面、3階が8面、4階が10面、5階も10面だが3~12の目だった。だから、4階に移動すれば10面の1~10に戻ると思っていたけど甘かった。
実際は、10面が5~14になり3階は7~16、2階は9~18になって今は2階。経験値とか言っていられなくなった。
そのおかげで1レベル上がったけどな!
戦闘は、弓は攻撃する時は止まって打つので追いつかれるのだ。追いつかれると、後は交互に攻撃しあう感じになってしまう。
俺の魔法は、移動しながらでも攻撃出来るので、逃げながら攻撃をしているから今の所攻撃を受けていない。まあ受けたとしても、シールドは破壊されないと思うけどね。
「ふう。あ、ごめん。お待たせ」
「しかし、思ったより大変ね。シールドがあってよかったわ」
ミチさんが、心底助かったと言う感じ言った。
「シールドがないと、ヒールしつつだからかなり苦戦するわね。私的には、1回で倒せないから面倒だわ。次の1階は最大HP20よ。うんざりよね……」
リラさんがため息交じりに言う。
確かに面倒だ。何せどんなに攻撃力があっても1だからね。
「私、ここ一人で回るの無理だ~!」
ママルさんが、叫んだ。
俺は回れない事もないけど、思ったより大変だ。腕輪ほしいけど、次は一緒に来てくれないだろうな。
こうして、スタート地点のゴールのセーフティエリアについた頃には、精神的にヘロヘロだった。
「はぁ、ついた……」
そう漏らしたのはママルさんだ。俺もやっと着いた~って感じだ。
――クリアおめでとうございます。初クリア報酬で、攻撃回数の腕輪(+1)を取得しました。
――クリア1回目で、1回ダイスを振れます。
――ダイス4で、魔法の石1つ取得しました。
ここは、クリア回数で振れるサイコロの数が決まるんだ。それよりもよかった。初クリア報酬で、腕輪が貰えた!
そして、俺達は地上に戻った。
――ワンダメダンジョンをクリアしました。
――ダンジョンポイントを50取得しました。
これでやっと、ダンジョンポイント60になったな。
「はい。腕輪」
「え? いいの?」
リラさんが、手に入れた攻撃回数の腕輪を俺にくれた。
「いいわよ。どうせバディじゃないと使い物にならないし」
確かにこの腕輪は、このダンジョンの敵にしか使えないはず。
「私もあげるわ、エット!」
「私も」
ママルさんとミチさんもくれた。これで4つになった!
「ありがとう。みんな!」
『マスター、喜んでいる所に水を差す様で申し訳ありませんが、同じ腕輪は使えません。+2とかですと材料に使えます』
「え~~!!」
ママルさんじゃないけど、思いっきり叫んじゃったよ。そりゃないよ……。
「びっくりした。どうしたのよ」
ミチさんが、驚いて聞いて来た。
「せっかくくれたんだけど、まったく同じ腕輪は材料に使えないみたい……」
「え~~~!!」
本家のママルさんの驚きの『え~~』が、響き渡ったのだった。