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第53話》バディ貧乏にならない為に

 何もない大地にデーンとそびえ立つ、雲の上に消えゆく塔。


 「ここが、迷宮……」


 俺は、塔を見上げ呟く。


 腕輪を手に入れる為にダンジョンを目指す事にした俺達は、ババールでクエストを受けられる事を知り、クエストを受けてそのダンジョンを目指した。


○―――――――――――――――――――○

 ダンジョン名:ワンダメ

 モンスター:カチカチ

 クエスト:ボス討伐

 ボス:カチカチ王

 制限:ダメージ1になる

 リタイア条件:なし

 経験値:ダメージ時

 ダンジョンポイント:200

○―――――――――――――――――――○


 ナビに敵の事を聞いた所、どうやら魔法も物理攻撃も敵には1しか与えられないらしい。つまり、一気にダメージを与えるには連続攻撃で、ダブルボウも2回攻撃で有効らしいけど、俺の場合は連続演唱が出来るので弓はママルさんに貸す事になった。

 一番の問題は、ボスが地下5階にいて、倒した後にスタート地点に戻ってこなくてはいけない事だった。

 脱出魔法陣の購入も考えたが1回分10ポイント必要で、そのまま戻ってクリアする事に決定した。




 「ここは、イベントのダンジョンらしいわよ」


 塔を見上げていた俺に、リラさんが教えてくれた。

 塔の周りには、沢山のプレイヤーがウロウロしている。ここには街がないらしいけど、4つの街の中心で、イベントのクエストを受けた人達が集まってくる場所だから多いらしい。


 塔を後にして俺達は、ダンジョンに行くためにポルーメ街を通過する。ここもプレイヤーでいっぱいだ。しかも、高レベルプレイヤーもいるようで、色んな装備を身に着けている。


 「高レベルになれば、物理も魔法も使いこなすそうよ。トッププレイヤーの近道は、早めにバディの防具を手に入れる事。Sランクの私達は特にね」


 トッププレイヤーを目指していないと言っているのに、リラさんは得意げに話して聞かせてくれた。

 ママルさんは、うんうんと頷きながら見たことがない装備のプレイヤーに目を輝かせて見ている。


 「思ったより初心者プレイヤーもいるみたいね」


 ミチさんが、自分達と同じ初期装備のままの人達を見て言った。


 「装備を手に入れるのも運だからね。普通は、パーティーのリーダーが手に入れた装備品の振り分けをするみたい」


 そう言ってリラさんは、俺を見た。


 「……うん。そうだね。俺が振り分けるのね」


 「そうよ。しっかりしてよ。まあ、ラックを上げて弱い敵の所を周回して、装備をゲットっていうプレイヤーもいるみたいね。って、私もそれでバディを手にいれたわ。争いがなくていいわよ」


 「まあ、そうだろうね」


 「でもなあ、私は素早さがないから一人では無理だもん」


 ママルさんが、しゅんとしてしまった。


 「ママルさんもバディを手に入れれば、一人で戦える様になるって」


 「そうかな? バディかぁ……」


 「バディは、自分のステータスと相談して装備しないと、バディ貧乏になるわよ」


 「バディ貧乏?」


 リラさんの言葉に、ママルさんが復唱する。


 「バディは、プラスとマイナスの面があるの。まあプレイヤーによっては、両方ともプラスになりうるし、逆にマイナスにもなりうる。素早さが欲しいからって、それにしか注目してなくて、マイナス面の事を考えないと大変な事になるって事よ」


 「リラさんの場合のマイナス面ってどんなの?」


 「そうね。スキルを使うと、最大値の数パーセントを最小値に移すパッシブ付きのバディね。戦闘が終了すると元に戻るけど、スキルを使う度に最大値が減って最小値が増える。私の場合は、攻撃力から素早さに移るわ。考えてスキルを使わないと、攻撃力が落ちてしまうの」


 「へえ。凄いね!」


 「なるほど。攻撃力が高ければ、一回スキルを使えばすむのね」


 ミチさんは、うんうんと頷いて、ちゃんとバディの事を理解している様子。


 「それに私は、物理特化になってるわ。魔力を半分にする代わりに、その分物理防御が増える。そして、魔法の威力は、攻撃力の値になるバディなの。魔法よりの人がこれにすると、大変な事になるわ」


 「そういう事か! つまり、攻撃力も魔法の威力も同じ。だからシールドの威力が凄かったのか!」


 俺は、やっと自分よりシールドの耐久度が高い理由がわかった。魔力が高いわけじゃなかったんだ。


 「そういう事! バディの掛け合わせも大切よ。消し合ってマイナス効果にならないようにね。着けたら外せないんだし」


 「うん。結構難しいみたいだね」


 ママルさんは、難しい顔つきで頷いたのだった

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