第48話》戦闘前から前途多難です
ババール街の東門から出て少し行った所に、ダンジョンはあった。ポポダンジョンは、一番手前。
ダンジョンの前に立つと、岩が動き入り口が出来た。
俺達は、ぞろぞろと中へ入って行く。全員入ると、入り口は閉まる。
「さてと……」
あ、シールドは、俺よりリラさんの方がいいのかな?
「あのさ、俺がシールド張るよりリラさんが張った方がいいよね?」
「そうね。じゃ、私が張るわ」
「宜しく」
リラさんは頷いた。
「オールシールド」
そうだった。連続に張れないから10秒置かないといけないんだ。
「ふーん。魔法系のあんたじゃなくて、戦士系のやつがシールド張るんだ」
振り向くとスーセンチさんが、何と言うか冷ややかな目つき? で俺を見ていた。
「あ、レベル差? おたく、一番低いもんな」
「そうね。この中で一番レベルが高いのあなたよね? 魔法使い系だし、マジックシールドをお願いするわ」
そうリラさんが、スーセンチさんに返す。
って、なんでダンジョンに入った途端、そんな事を言い出すんだよ。
「何それ。俺も弱いし守ってよ」
「え……」
スーセンチさんの言葉に驚いた。
「大体さ。低いレベルで挑戦しようとか言いつつ、俺を仲間に入れたらレベル上がるだろう? 何も考えてないよな、あんた」
「あ……」
そうだった! 20レベルから25レベルに上がってる。
スーセンチさんの言う通り、何もそこら辺は考えてなかった!
「ごめん。気づかなかった」
「別にエットは悪くないじゃん。って、それって私達の会話聞いていたって事でしょう? どういうつもりなの?」
「問題ないわよ。私強いから」
リラさんが言うと、スーセンチさんは、ふーんと返しただけだった。なんなんだぁ。
「この人は放って置いて、進みましょう。リラさん、マジックシールドもお願いします」
ミチさんは、彼をスルーするようだ。
リラさんは、頷いた。ちょっと険悪だった二人だったけど、彼に対しては意見は一致したようだ。
「オールマジックシールド」
何か、やばい奴を仲間に入れちゃったかな。
それよりも……。
「ナビ。25レベルの敵は大丈夫かな?」
『問題ありません。3体までなら一撃です。ただし、これからのダンジョンには、魔法耐性を持つモンスターが現れます。そのモンスターには、攻撃は半減になります。炎系に耐性を持つモンスターには、ファイヤー以外の攻撃など工夫するとよいでしょう』
そういえば前にそんな事を言っていたっけ。
「それ、どうやって見分けるの?」
『残念ながら今は、攻撃をして確かめるしかありません。ギルドの魔法としてサーチがあり、それを使用する事でその階の耐性属性がわかります』
階ごとに属性があるって事か。
あ、そうだ。マップを出しておこう。
「マップ」
「あぁ、なるほど。おたく、マッパー役か」
「へへん。いいでしょう」
何故か、ママルさんがどや顔だ。そこは普通、怒る所じゃないだろうか……。スーセンチさんもママルさんの行動に驚いている。
「行くわよ」
リラさんが先頭を行く。
「あ、そうそう。不本意だけど、弱いなら私の後ろに隠れていたら? 敵を倒してあげるわ。私、Sランクだから」
あぁ、またランク自慢をしているよ。って、メチャ怖い顔つきで、スーセンチさんは、リラさんを睨み付けている。この人もランクを気にする人なんだ。
「じゃ私は、エットの後ろに隠れようっと」
ママルさんは、嬉しそうに俺の後ろに来た。彼女は、マイペースだよなぁ。
「私は、無理ぽかったら援護お願いね」
「了解」
ミチさんに、俺は頷いて答えた。
ふんと、スーセンチさんはそっぽを向いた。この人は一体、何をしたいんだろう。
取りあえず俺達は、セーフティエリアから出た。
――ダイス2で、敵2体出現しました。
よし、2体だ。
「オールファイヤー」
敵は消滅した。どうやらこの階は、ファイヤーは効くようだ。
――敵を倒して、経験値18を取得しました。ストックされました。
――ダイス3で、何も取得出来ませんでした。
――敵を倒して、経験値18を取得しました。ストックされました。
――ダイス1で、ダンポポのタネ×2を取得しました。
凄い経験値だ! これはレベル上がるな。それに集めるアイテムは、複数ドロップもあるみたいだし。5人いればすぐだ。
問題なのは、仲良く出来るかだよなぁ……。