第30話》戦闘らしくなりました
俺達は、ズルランの街の中を彷徨っていた。
「ないね」
「うん。ないね」
俺が言うと、ママルさんが相づちをうつ。探しているのは武器屋。二人の武器を購入しようと探しているんだけど見つからない。
研究所で聞けばよかったかな。
戻るより人に聞いた方が早いよな。
男二人組のパーティを見つけた。一人は魔法使いの格好。一人は、背中に斧を背負っている。武器に斧もあるんだ。
「あのすみません。ちょっとお尋ねしたいのですが、武器屋ってどこですか?」
「「あははは」」
男達は、顔を見合わせると笑い出した。
「ちょっと見るぜ。ステータス。やっぱりな、超初心者じゃないか。レベル4ってよく来たな。女二人に、おんぶにだっこで来たのか?」
おんぶにだっこって……。まあレベルが低くてHPもないからなぁ。
「いいか。このゲームには武器屋も防具屋も存在しない」
「装備品は、錬金術で作るか、ダンジョンで手に入れるかだ。レアやバディを手に入れれば、かなり強くなるぜ」
「え……買えないんだ」
俺が驚いて呟くと、残念だったなと軽く手を振って二人は去っていった。
まじか~。武器を選べないのと同じだ。
「おんぶにだっこか……結構こたえたかも」
「うん。私達、エットに全部任せっきりだったもんね」
珍しくママルさんがしょげて言うと、ミチさんもしょんぼりだ。
「ちょっと二人共。俺が勝手にやっている事だし……」
「そうだね。だったら自分の敵は自分で倒すよ!」
「そうね」
「え……」
まあ二人の気持ちもわかる。たぶん戦闘は楽しくないだろうな。自分の存在意義もない。ただ俺に、経験値を分けてくれる存在になっちゃってるのは確かだ。
シールドも張っているし、ヒールで手助けしながらそうする方がいいのかもな。
「わかった、そうしよう。別に急ぐ事もないし。シールド張ってヒールで援助するよ」
「うん。ありがとう。試したいスキルあったんだ」
「私も自分がどれくらい強くなったか試したかったの」
「そっか。じゃそうしよう。武器は、どこかで手に入ったら分け合おう」
「「うん」」
よかった。二人に笑顔が戻った。
俺達は、東門から街の外に出た。遠くに遺跡だと思われる建物が見える。
「オールシールド、オールマジックシールド」
二人は、剣を抜いた。
「なんか久しぶりでドキドキワクワクする」
「私も。死んじゃったらごめんね」
サイコロが振られ、一体ずつ敵が出現した。
「コールド」
俺は、自分のだけ倒す。
「ちょ……全然、当たらなーい!」
「もう三回与えても倒れないなんて!!」
二人共苦戦してるな……。
「回転切り!」
うん? ママルさん覚えたんだ。
敵はその技で倒された。
「やっと倒れた~~」
ミチさんも敵を倒したようだ。時間はかかったけど、素早さがあるので攻撃は受けていない。
「なんか戦闘した~って感じ」
「そうね。でもやっぱり強い武器ほしいわね」
二人は楽しそうだ。
後々こじれるより、早く気付けてよかった。あのプレイヤーに感謝だね。
俺達は、まったり戦闘しながら遺跡まで行った。
その間にミチさんは、1レベルあがって9レベルになった。俺なんてまだ50もあるのに……。
「ついた~。ここかぁ」
ママルさんがそう言って見渡す。
崩れた神殿って感じだ。建物近くに、石板がある。近づくと文字が書いてあった。
――神殿に入るのにはこころせよ。301以上の者は半分になるだろう。
半分? これが呪い?
「もしかしてここって、百のダンジョンみたいなところかな?」
ママルさんが言った。
そうかもしれないな。ナビに聞いてみよう。
「ねえ、ナビ。この神殿って百のダンジョンみたいなもん?」
『はい。ここは、パラメータが300以下のが二つないと、最大値のパラメータから数値が半分になります。ですので、300以下の者がいなくても挑戦はできます。勿論、百の腕輪も効果あります』
「え? そうなの?」
「ナビは、なんだって?」
「300以下のパラメータが2つ必要だって。300以下がないと最大値から半分になるらしい。百の腕輪も有効みたいだよ」
「300かぁ……。素早さは300ないからなぁ。腕輪着けても意味ないんだよね~」
「私は、クリアしているわ」
ママルさんは、素早さ以外が300以上あるみたい。って、ミチさんは、300以下が2つあるのか。
俺は、百の腕輪で攻撃力を100にすれば、体力が70だからクリアするな。
「あ、そうだ。百のダンジョンと同じだったら敵のレベルってどうなってるの?」
「あ、そうだね」
俺がナビに聞くと、ママルさんも頷いた。
『レベル5×プレイヤー人数です』
「レベル5!? じゃ3人で行ったらレベル15?」
「え~~! 15?」
「そんなに敵強いの?」
二人も驚いていた。これ、シールドなかったら終わってるな。




