第27話》やっと裸足ではなくなりました
俺達は、ライグライドさんが、去っていくのをジッと見つめていた。
「彼は、エットさんと違ってトップを狙っているみたいね」
「うん。だから私達を相手にしてくれなかったもんね」
そう言えば二人共、あの人に見限られたんだっけ。俺は、相手にもされなかったけどな。
「それよりさ。一位になったんだし、賞金とかそう言うのないの?」
キラキラした目でママルさんが聞いてきた。
どうなんだろうか? 今回受付もしてないし、ないかもしれないな。
「ナビ、賞金とかあるの?」
『はい、あります。鞄の中に入っていると思われます』
「え? 鞄に?」
鞄の中を確認すると、『トライアル商品引き換え券』というのがあった。引き換え券なのかよ。
「引き換え券って事は、引き換えた時から効果があって期限があるものなのか? 例えば経験値が増えるとか」
『いえ、選べるようになっています。期限はありませんが、この村にいる時にしか交換できません』
「そうなんだ……」
「なになに?」
ママルさんが、早く知りたいと迫って来る。
「選べるみたいだよ。ちょっと確認してみるね」
「なんだろうね~」
――トライアル商品引き換え券を使用しますか?
「はい」
『ハヤブサの剣』――二回攻撃が出来る。
『眠りの杖』――眠らせる事が出来る。
『魔力増幅のローブ』――魔力が増える。
『ジャンプシューズ』――ジャンプ出来る。
この四つかららしい。
「ねえナビ。これってもしかして、レアだったりする?」
レアだったら重量が5以上だから、ローブ以外は受け取っても今は装備出来ないんだよね。まああと3で上がるけど。
『いえ、レアではありません。バディです』
うん? え~~!! バディなの? それって装備したら外せないと言う……。だったら何かパッシブがあるかもしれない。慎重に選ばないとな。
前回は、詳細までちゃんと見なかったからなぁ。あ、でも反転の杖を装備するつもりだから杖はいらないかな。というか、剣を装備しちゃうと、杖が装備できなくなるな。
「ねえナビ。もし剣を装備してもキツネさんで攻撃魔法を使える?」
『使えません。優先順位が剣になります』
やっぱりそういうもんなんだ。だとしたら剣も候補から外すか。
ローブかシューズだよな。でもローブって名前からして魔力が増えるって事だよな。別に装備で増やさなくてもいいから……という事は、シューズか。
『ジャンプシューズ』――素早さを3分の2にする。その代わり、ジャンプできるようになる。ジャンプ力、1メートル。
うーん。今一魅力がわからない。素早さを減らされて、ジャンプ出来る様になるメリットって何?
「ねえナビ。ジャンプって何に役立つの?」
『戦闘では、弓以外の武器ではあまり関係がありませんが、ダンジョンなどの仕掛けを解除したりするのに役立ちます』
仕掛けの解除か。高い場所にあるって事か。
あ、そうだ。一つ確認しておかないとな……。
「ねえナビ、バディシステムって装備場所違えば、複数装備出来るの?」
『はい、可能です。但し、武器は一つだけとなります』
「そっか、ありがとう」
「ねえ、決まった?」
ママルさんが、しびれを切らしたみたいだ。
「もうゆっくり選ばせてあげたら? どうせ私達には当たらないんだから」
「でもすご~く気になるじゃない!」
「あははは。なんと、靴があったよ。だからそれにする事にした」
「え~~!! よかったね」
「あら、よかったじゃない」
「ありがとう。ちょっと待ってね。もらっちゃうから」
二人は、うんと頷く。
「ジャンプシューズでお願いします」
――ジャンプシューズを今、装備しますか?
「はい」
――ジャンプシューズを装備しました。
――素早さが1,666になりました。
――ジャンプ力が1.0メートルになりました。
まあ、履いていない時よりは、素早さアップしているしいいか。
「何、その可愛い靴!」
「あ、本当ね。羽根がついている」
二人が俺の靴を屈んでマジマジと見ている。いや、そんなに見つめられると恥ずかしい。靴だけだけど……。
ジャンプシューズは、白地で外側に羽根のマークみたいのが付いていて、それはうっすらと空色だ。俺が履いてもさまにならないな。可愛いすぎる――。