第25話》シャッフルしたのはいいけれど
「本当にいいの?」
「いいって。どうせ素早さ遅いし、それに百のダンジョンの時だけだし」
「ありがとう」
ママルさんの提案で、俺達は三人で腕輪を交換する事にした。ママルさんは百の腕輪(攻撃力)で、それは俺がもらい、俺のをミチさんにあげて、ミチさんのをママルさんがもらった。
「では、また行きましょうか。鞄のアイテムとフエをとりに!」
「うん」
ママルさんの言葉に、嬉しそうにミチさんは頷いた。
百の腕輪が、レアじゃなくてよかったよ。まあ、まだ装備して行く必要はないんだけどね。試しに全員付けて言ってみる事にした。
□ ◇ □ ◇ □
「うふふふ。宝箱だぁ。フエかな?」
「フエだといいね」
二人は、嬉しそうに宝箱に近づく。これは、もう一つのフエが入ったら精霊探しが始まりそうだ。
かぱっと二人で一緒に宝箱を開けると、覗き込んだ。
「違ったね」
ママルさんがそう言うと、二人はクルッと振り向き俺を見た。どうやらエレメンタルのフエではなさそうだ。
宝箱を覗くと中には、レリーフ? が入っていた。丸のふちにギザギザがついている。円の中には魔法陣の様な模様が描かれている。ひまわりと言うよりは、太陽に近い形だ。
「なんだろうね、これ。どんな効果があるのかな?」
『それは、イベント用のレリーフです』
「え? イベント用」
「イベントに使うのも宝箱から出るんだ」
俺が口に出すと、驚いてママルさんが言った。
『こういうイベントから精霊のイベントに繋がります』
「え? そうなの?」
「なになに?」
ママルさんが、ジッと俺の返答を待っている。
「このイベントから精霊のイベントになるかもだって」
「じゃ、まず、どんなか確かめに行こう!」
「え? いいの? もう一つフエ手にいれなくて」
ママルさんは、うんと頷く。
今回も宝箱は一つ。俺達は、ゴールに向かった。
――クリアおめでとうございます。クリア報酬で、ラックが1上がりました。
――100のプレイヤー3人で、ダイスを3回振れます。
――ダイス6で、魔法の糸を取得しました。
――ダイス3で、MP回復の薬を取得しました。
――ダイス4で、HP回復の薬を取得しました。
――レベル差3で、ダイスを3回振れます。
――ダイス5で、設計図引き換え券を取得しました。
――ダイス4で、HP回復の薬を取得しました。
――ダイス3で、MP回復の薬を取得しました。
うん? 設計図引き換え券? また新たなアイテムが……。
「ナビ、設計……」
「え~! 私、経験値ゼロかも!」
ナビに聞こうとしたらミチさんが叫んだ。
「え? なんで?」
「私、レベル7!」
ママルさんは、あっと声をあげて、俺を見た。いやこっちを見られても……。さっき上がって7になったんだっけ? ここの敵は、6だから上がらないね。
ママルさんも今回でもしかしたら7レベルに上がるかもだから、このダンジョンではレベル上げは出来なくなるって事だ。まあアイテム目的だけで来るか、一緒に回る人数を増やすかだね。
「今回は残念だったけど、精霊探しに行くんだし……」
「そうだけど、しばらく上がりそうもないね」
確かにそうだ。レベル7以上の敵を倒さないといけないからね。はじまりの村を出るタイミングかもね。
「イベントクリアしたら経験値くれるのもあるんだし、これから強い所に行けば、あげられるよ」
「うん。そうだね」
ママルさんの言葉に、ミチさんは頷いた。
――離脱します。
周りが歪み、俺達はダンジョンの外に出た。
――百のダンジョンをクリアして、経験値を252取得しました。
うん? え? 上がらない?
ステータスを見てみると、経験値が3足りない!
「そんなぁ」
「どうしたの?」
「レベル上がらなかった……」
「え~~! 私、一つ上がったよ。レベル6になった」
「本当に上がりづらいのね。驚いたわ」
俺はレベル3だからママルさんより経験値もらっているはずなのに、この差! でも3なら、イベントしている間に上がりそうだ。
さあ、気を取り直して村に戻ろう!




