第23話》じゃんけんポン。ステータスのラックは関係ありません
自分に憑依させてって事は、能力がぐーんと上がるとかなのかな? でも現実だったら怖くてできないな。
「何々? ナビはなんて言っているの?」
「自分に憑依させて使うらしい」
「え? 自分に?」
ママルさんも驚いている。
「凄く強くなるの?」
ミチさんが聞いた。
「強くなるの?」
そのままナビに聞いてみる。
『はい。まずは、呼び寄せる精霊と契約しなくてはなりません』
「え? 精霊なの?」
「「精霊!」」
「私、欲しい!」
「私も!」
ママルさんが言うと、ミチさんも欲しいと言い出した。精霊は人気だな。
「でも精霊と契約しないといけないみたいだから、たぶんすぐには使えないと思うよ」
「よし、じゃんけんにする?」
ママルさんが提案すると、ミチさんが頷いた。俺には、くれる気はないらしい。いいけどね、今の所なくても敵倒せるし。
一緒に行動するなら強くなってくれた方がいいけど、喧嘩だけはしないでほしいかな。大丈夫だよね? 二人共、目が真剣なんだけど!
「「じゃんけんポン!」」
「やったぁ! 精霊ゲット!」
「え~~! 運、私の方が上なのに~」
ママルさんがグーで、ミチさんがパー。ミチさんの勝利。じゃんけんにステータスの運は関係ないと思うけどなぁ。
ミチさんが嬉しそうに、ホイッスルを宝箱から出した。体育などで使う普通のホイッスルにしか見えない。それを大切そうに巾着に入れた。
「ねえ、ナビ。精霊ってどこに行けば出会えるの?」
『精霊は、イベントをこなす事により出現する事があり、契約する事でエレメンタルのフエで呼び出す事が可能になります』
エレメンタルのフエって言うアイテムなのか。
「ナビさんは、なんと言っているの?」
「イベントにより出現する事があるらしい。その時、契約するといいみたいだよ。そうしたらそれを使って呼び出せる様になるみたい」
「楽しみ」
「私も欲しいな。フエを手に入れる方法聞いてみて! 宝箱以外にないのかさ!」
凄く真剣にママルさんが俺に言った。
「わかった、落ち着て。ナビ、エレメンタルのフエって宝箱以外から手に入れる方法ってあるの?」
『いえ、ドロップするアイテムではありません。ですが、どのダンジョンの宝箱からでも手に入るアイテムです。精霊は、エレメンタルのフエ一個に対し、精霊一体としか契約出来ませんので、複数の精霊と契約する場合は、複数のエレメンタルのフエを用意しなければなりません』
「え? そんなに手に入るアイテムなの?」
『はい。憑依させて、精霊の能力、つまり魔法の様なモノを使用する為のモノです。用途はバトルの時だけではなく、色んな場面で使用できます』
「へぇ」
「ちょっとエット! 一人で感心してないで教えてよ」
「あ、ごめん。ドロップはしないけど、手に入れやすそうだよ。アイテム一個に対して、精霊一体と契約らしいから。で、戦闘だけじゃなく違う事にも使うアイテムみたいだから、メインストーリー進行上必要なものなのかもね」
「そっか。じゃ、じゃんじゃんダンジョンクリアして、手に入れようよ!」
「あははは。そうだね」
やる気満々だね、ママルさん。これは、錬金術への道は遠そうだ。まずは、精霊からか。まあやっては、みたいよね。
「そうと決まれは、宝箱ないしここをでましょう!」
「うん。こっち」
俺が走り出すと、二人も後をついて来る。
すぐにゴールの魔法陣に辿り着いた。
「組む人によってこんなに違うなんて……」
ミチさんが、ボソッと呟いた。
「ありがとう、エットさん」
「ありがとうね、エット」
「うん。今回は無事、ゴール出来てよかったよ」
――クリアおめでとうございます。初クリア報酬で、百の腕輪(魔力)を取得しました。
――100のプレイヤー2人で、ダイスを2回振れます。
――ダイス4で、HP回復の薬を取得しました。
――ダイス4で、HP回復の薬を取得しました。
――レベル差4で、ダイスを4回振れます。
――ダイス3で、MP回復の薬を取得しました。
――ダイス2で、エンチャントの石を取得しました。
――ダイス6で、魔法の糸を取得しました。
――ダイス3で、MP回復の薬を取得しました。
おぉ、結構手に入るんだ。って、腕輪? エンチャントの石?
「ちょ! こんなにもらったら持ちきれないんだけど!!!」
ママルさんが叫んだ。足元には、鞄に入りきらなかったアイテムが落ちている。
精霊より鞄のエンチャントの方が先かもしれない。