第20話》ナビは便利だけど頼り過ぎでした
ナビを呼べた事に安堵したと共に、ナビが言った台詞で不安がよぎる。もしかして、壊しちゃいけないモノだったんじゃないだろうか?
「そのシステムって何?」
『はい。プレイヤーと一緒に成長するシステムです。プレイヤーのレベルが上がると、武器もエンチャントされます。その代わり、他の武器に変える事ができなくなります。レアではありませんが、貴重な武器です』
いやレアより貴重なんじゃないかそれ? Eランクの人が手に入れたらエンチャントしまくりだ。
「あのさ、敵を叩いていたら壊れちゃったんだけど。耐久度ってあったんだ」
『はい。杖なら魔法を使う以外に使用すると、減ります。今回の様に敵を叩けば壊れます』
ナビって、そういうの言ってくれないんだもんな。
知っていれば、壊さなかったのに……。
「そうなんだ。でも体力と魔力が入れ替わっちゃって、大変な目にあったよ」
『それがパッシブだったのです。最大値と最小値の入れ替えです。レベルが上がれば通常通り、魔力は2,000、体力は20増えたのですが――』
はぁ、なんだよそれ……。何か疲れたよ。
ナビが言う通り、壊さなければ凄い能力アップだった。
「何? ナビはなんて?」
「呪いじゃなかったみたい。バディシステムだって。プレイヤーと一緒に成長する武器……」
「え~~!! あの杖がそうだったの?」
「知っていたの?」
「もう少し、NPCにも話を聞こうよ。システムとか教えてくれていたよ」
「……ナビに頼り過ぎた結果か」
俺は、がっくしと項垂れた。
「もういいじゃない。魔法使えるようになったんだし。もう一回チャレンジしに行こう!」
「うん。ありがとう」
聞かないと教えてくれないんだから情報はNPCから仕入れないとだめだね。身に染みたよ。これ直せないのかな?
「ねえナビ。この壊れた杖って直せる?」
『はい。錬金術で直せます』
「錬金術か。よし取って置いて覚えたら直そう」
俺は、鞄に壊れた反転の杖をしまった。
俺達は、百のダンジョンに再チャレンジする為に、岩山の麓まで戻って来た。
「やっぱ、HPが100以下はダメだな。悪いな」
「………」
そう聞こえ振り向けば、あの上から目線の人だ。その人と数人のプレイヤーが去っていった。取り残されたプレイヤーがポツンとムッとして立っている。
彼は、剣士の格好だから物理よりらしい。
「もう何よ。自分から誘っておいて!」
うん? 女性?
深緑の髪は、ショートカット。剣士だし男かと思っちゃった。
「ねえ、あの子も誘おうか」
「え?」
「だって可哀想じゃん。きっとHP低いから敵に狙われたんでしょ?」
「うん。そうだね」
きっと俺より低いって事はないだろう。
「ねえ、よかったら一緒に行かない? 私達今から行くところなんだ」
「え? 別にいいよ……」
「待って! 俺のステータスを見てみて!」
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名 前:ミチ
レベル:5
H P:45
ラック:90
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ステータスと言葉に出したから、彼女のステータスが表示された。ミチさんって言うんだ。5レベルでHP45って事は、もしかしたらEランクの人かも!
だとしたら最大値のパラメータがあるって事だ。
「ステータス?」
そう言って振り返ったミチさんは、驚いている。俺のステータスを見たんだ。
「私よりHPが少ない!?」
「そういう事」
「彼が居れば、狙われる事はないわ」
「その前に、俺が倒すから大丈夫だよ」
「え?? 倒す?」
「取りあえずパーティー組みましょう。私はママル。宜しくね」
「……うん。わかったわ。私はミチ。宜しく」
こうして少し強引に仲間に引き入れ、俺達はダンジョンに入ったのだった――。




