第16話》百のダンジョン
ダンジョンは、はじまりの村の近くの岩山の麓にあった。そこには、ダンジョンの管理人がいて、お金を払って入った。ワープした先は、魔法陣の上。
――百のダンジョンへようこそ。ルール説明をします。クリア条件は、全員でゴールする事です。ゴールは、このダンジョンにあるもう一つのセーフティエリアになります。このダンジョンで得た経験値は保留され、クリア時に獲得します。クリアできなかった場合は、経験値は獲得できません。手に入れたアイテムは、クリア出来なくても持ち帰る事ができます。
「レベル上げには向かないダンジョンだね。まあクリアすればいいみたいだけど」
「そもそも百以下のステータスの人がいるんだから難しいよね……」
俺の言葉に頷いて、ママルさんが言った。
「ねえ、ナビ。アドバイスある?」
こっそりと聞く。
『はい。このセーフティエリアから魔法を使えます』
うん? 魔法を使える? マップを使えるって事かな?
俺は、キツネの形に右手を前に突き出す。
「マップ」
目の前にマップが表示された。
俺が居るのは洞窟の中のような場所で、その端にセーフティエリアの魔法陣がある。
なるほど。やっぱり迷路みたいになっている。ゴールは青で表示されているけど、所々黄色い場所がある。なんだろう?
「え~~! 何、そのマップって!」
「言葉の通り、地図が見れるんだ」
「え~~! いいなぁ。私も使いたい!」
「使いたいと言われても……。それよりも何か黄色場所があるんだよね」
「黄色?」
俺は頷く。
『黄色場所は、宝箱になります』
「宝箱かぁ!」
「えぇ! ここって宝箱があるの? なんかワクワクするね! 早く行こう!」
「あははは。うん。ちょっと待ってよ。一番近い宝箱は、右かな?」
「わかった! 案内よろしく!」
「OK」
俺達は、セーフティエリアから出た。サイコロが振られる。
――ダイス4で、敵4体出現しました。
うん? 4体? 今まで敵の数なんて言っていたっけ?
「何、この数!」
ママルさんの声にふと目線を横にずらすと、俺が出した4体の他に6体の一角獣が! って、敵が全部何故か俺に向かって来ているような気がするんだけど!
「ちょっと……ファイヤー!」
――敵を倒して、経験値3を取得しました。ストックされました。
――ダイス3で、何も取得出来ませんでした。
『オールで全体攻撃を』
「あ、そっか! オールファイヤー!」
オールファイヤーは、俺が出現させた残りの3体を消滅させた。
全体と言っても俺のだけ?
――敵を倒して、経験値3を取得しました。ストックされました。
――ダイス5で、何も取得出来ませんでした。
――敵を倒して、経験値3を取得しました。ストックされました。
――ダイス6で、何も取得出来ませんでした。
――敵を倒して、経験値3を取得しました。ストックされました。
――ダイス3で、何も取得出来ませんでした。
『全体攻撃は、一回の出現分です』
ということは、もう一回攻撃すればいいって事か!
って気がつけば、敵は目の前だ!
「うわぁ! オールファイヤー!」
「エット!」
襲い掛かられる寸前で倒せた。そう言えば、シールドを張るのを忘れてた。危なかった。
――敵を倒して、経験値3を取得しました。ストックされました。
――ダイス1で、何も取得出来ませんでした。
――敵を倒して、経験値3を取得しました。ストックされました。
――ダイス4で、何も取得出来ませんでした。
――敵を倒して、経験値3を取得しました。ストックされました。
――ダイス3で、何も取得出来ませんでした。
――敵を倒して、経験値3を取得しました。ストックされました。
――ダイス3で、何も取得出来ませんでした。
――敵を倒して、経験値3を取得しました。ストックされました。
――ダイス4で、何も取得出来ませんでした。
――敵を倒して、経験値3を取得しました。ストックされました。
――ダイス5で、何も取得出来ませんでした。
「はあ、怖かった……」
俺はぺたんと、その場に座り込んだ。
恐怖を感じたのは初めてだった。