第15話》幻のプレイヤー?
「やったぁ! レベル4になった!」
え? はや!
ママルさんと回って2週目。もうレベルアップしたらしい。彼女は、自分で出したモンスターは自分よりレベルが低いので、俺のモンスターの経験値でレベルアップした事になる。
俺は、レベル3になるのにまだ110ほど必要なのになぁ……。
「おめでとう」
「ありがとう。って、エットも3レベルにはなったでしょう?」
「う……」
SランクとCランクの経験値の差がこんなにあるなんて。同じランクなら俺はレベル3になってないとおかしいもんね。ばればれだ。
「ごめん! 俺、本当はSランクなんだ! 騙すつもりはなかったんだけど、言い出せなくって」
俺は、頭を下げた。
「いやだぁ! 何言ってんの?」
と、バシッと背中を叩かれた。信じてないんだけど!
「えーと。本当は、初期値HP10だったんだ。レベル2になって、30に……。レベル見てみたらわかるよ。まだレベル2のまんまだから」
「え? 本当? ステータス!」
半信半疑でママルさんは、俺のステータスを見て固まった。
「う、うそ~~!!」
声でか!
「ごめん。ぴったしって、ランクCにもぴったし当てはまってるって意味で言ったんだけど勘違いしちゃったみたいで、言い出せなくて」
「そんなのいいよ! 凄いよ! 幻のプレイヤーが目の前にいるなんて! 私、なんてラッキーなの!」
は? 見れてラッキーって……。怒るどころか喜んでるよ。
「ま、幻なの? Sランクって」
「そう言われているらしいよ。Sランクってレベル上がる時は凄く上がるけど、経験値が凄くいっぱいいるから最初は低くて大変らしい。でも長い目で見ると凄く強くなる! そしてもう一つの幻のランクはEランク! レベルで上がる数値は少ないけれど、レベルアップが早くてどんどん強くなっていく!」
そうママルさんは、熱弁を始めた。大興奮してます。本人より興奮って……。
「なんでもそのランクになるのには条件があるらしくて、残念ながらダイスに出て来なかったんだよね。本当に経験値がいっぱい必要なんだ~。さっきHPが10から30になったって言ったけど本当?」
「え? うん。本当」
「じゃ、レベルアップしたら初期値の2倍増えるのね。凄いね! あと経験値どれくらい?」
「えーと110ぐらい?」
「え~~! 私も110でまたレベル上がるよ?」
「え! そんなに差があるんだ……」
思ったよりSランクは、経験値が必要なんだな。ママルさんが言ったように、本来は、最初は苦労するランクだったんだ。たぶん俺は、素早さもあるから何とかなってるんだろうなぁ。
「凄いね。それでも素早さは全然追いつきそうもないけどね」
「あー……そうだね」
それはどう頑張っても無理だろうなぁ。本来は倍あるから。
ママルさんは、機嫌が悪くなるどころか、上機嫌になって村に戻った。
「あ! 君~! ステータス!」
うん? なんだ?
「よかった。まだ100以下だ。百のダンジョンに一緒に行かないか? 連れて行ってやるからさ!」
「百のダンジョン?」
振り向くと、詰め寄って来たのは、一緒に行くのを断ったプレイヤーだ。一体なんだ?
『百のダンジョンは、ステータスで運以外のパラメータで100以下の数値がある者がいないと入れないダンジョンです』
なるほど。それで俺と一緒にって事か。っていうか、俺がいないと入れないのに連れて行ってやるって……随分と上から目線だな。
「悪いけど、俺、もう行く人決まってるから他の人当たってくれる?」
「え? そうなのか? わかった」
チラッと、ママルさんを見て残念そうに立ち去った。
「百のダンジョンって? 地下百階まであるダンジョン? それ、もしかして私と行くって事?」
断る口実だったけど、覗いてみたいかも。100以下の人がいないと入れないみたいだし。
「うん。一緒に行ってみない? ステータスの数値が100以下の人が一緒じゃないと入れないダンジョンだって」
「へえ。私を連れて行ってくれるの? ありがとう!」
「よし、行ってみよう!」
「で、どこ?」
「え? あ……」
さて、どこかな? ナビに聞くかな。俺はこっそりナビに聞いたのだった――。