第14話》ママルは計算が得意です
「ダイスの目で決まるからわかちゃいるけど、不公平だぁ!! 私、レベル3で100だよ!? うん、わかってる。エットは悪くない。HPだって30しかないし。そっちの方が大変だよね! でもずる~い!」
あぁ。愚痴を言い出した。これは、ランクSだなんてとても言えないな。
「あのさ。レベル上げとか、アイテム集めとか協力するよ。だから落ち着いて」
「ごめんね。はぁ……。エットは優しいね」
「あははは。ありがとう。俺も始めたばかりでよくわからないし。話せる相手が出来て嬉しいしさ」
「私も! ねえ、スピードアップするような魔法ってないの?」
「え? たぶん俺は持ってない」
「そうなんだ……」
『そういう系統の魔法は、自分自身の素早さが低いと取得できる魔法になります。マスターの場合は逆に、素早さがあったので、連続魔法演唱を取得しています』
なるほど。パラメータが低いのをカバーする魔法は、自分が低くないと使えないって事か。うまくできてる。
あれ? でもママルさんは、覚えてないよね? きっと。
「ねえ、ナビ。その条件で言うとママルさんが覚えていないとおかしくない?」
『いえ、おかしくありません。魔力が300ないと覚えませんので、ママルさんの魔力が300以上になった時に、レベルアップ時に取得できます』
魔力も必要なのか。でも物理よりのプレイヤーは困らないか?
「それって物理よりのプレイヤーが不利じゃないか?」
『いえ、回転斬りというのがあります』
「エット……」
回転斬りかぁ。うん? 呼ばれて振り返ればママルさんが俺の事をジッと見つめていた。
「エットって、独り言多いね!」
「えーと……」
「それにその口癖。えっととか、えーととか」
「あははは。それね……」
そのせいで、名前がエットになりました――。
「私は、おしゃべりで煩いってよく言われるんだよね~。独り言じゃないけど、一人でしゃべってるって」
「なるほど。確かに……」
「っていうかぁ。行かないの?」
「あ……ごめん」
俺達はまた走り出した。
「エットってはや!」
「本当に差がつくんだね」
「そうなのよ! それで2週目外れてって言われちゃってさ!」
「そうなんだ。俺なんて……コールド! 俺なんて、HPで弾かれちゃうからさ~」
ママルさんのペースに合わせ、会話しながらゴールを目指した。どうせトライアルになってないからね。
「ゴール!」
「戦闘しないで来ちゃったよ。エット任せでごめんね」
「うん? 苦じゃないから大丈夫だよ。MPいっぱいあるし」
俺達は、クリア報酬を貰った。二人でも一人分は一緒の100ダイスコインだ。
「一体魔力いくらなの?」
「そ、それは……」
言ったらかなり驚くだろうなぁ。
「まって! 私が当てる!」
「え?」
「そうねぇ。1,200! どう?」
「それってレベル2でって事? どうしてその数字?」
まさかそこまで高い数字を言うとは思わなかった。
「推理よ推理! シールドって800で覚えるって小耳に挟んだのよ。で、初期値を800だと仮定して、レベル2でHP30、素早さが750でしょう? もしHPの初期値が20で素早さが500だとすると、ランクCで初期値の半分がレベルアップで増えるよね? そうするとぴったりレベル2で、HP30、素早さ750になるのよ。魔力が800なら半分の400増えて1,200! どう?」
「凄い推理だね! ぴったしだ!」
驚いた! ママルさんが言う通り、そう考えるとぴったり当てはまる! 本来は、素早さは倍の1,500だけどね。
「やったぁ! 大当たり!」
「あ……」
そっちのぴったりの意味じゃなかったんだけどなぁ。でも今更、そうじゃないですとは、言えないな。
「じゃMP120もあるの? すごいね!」
「うん。まあ……」
「いいなぁ。同じCランクだけどさ、私、攻撃力の初期値は半分の400だよ?」
「Cランクなんだ」
「うん。Cランクって結構いるよね」
やはりCランクのプレイヤーは多いみたい。
いずれバレるだろうけど、今は何か言いづらいんだよね。タイミングを見計らって後で訂正しよう。




