第一章 暗殺者
初投稿になります。頻度はまちまちになりますが、生暖かな目で見守って頂けたら幸いです。
この街の名はトウキョウ。ビル建ち並ぶ最も発展した都市だ。
科学、医術etc.全てが発展した理想の街。
だが光があれば闇は必ず存在するもの。研究物を狙った襲撃する組織、裏社会、陰謀、暗殺全て混ぜ込んで煮込んだような混沌が存在していた。
そんなものはどうでも良い。俺はただ与えられた任務をこなす駒なのだから考える必要もない事だ。やる事は決まっている。
走れ、殺せ、奪え。
何とも単純且つ危険を伴う場所に身を置いていた。
そして今宵も走る。
暗殺対象の住まう邸宅付近に到着すると枝葉で身を隠しながら木の上から双眼鏡で様子を窺う。何とも手薄。入り口に二人、欠伸をしながら立っている警備兵。邸内は正確には判断できないが疎らに敷地を巡回している程度。暗視スコープで確認しても罠一つ見つからない。
それでも気を引き締めるために一つ息を吐き出してから木を飛び降り、軽々と塀を越えて無事侵入を果たす。なるべく音を立てずにまずは一番近い巡回兵に飛び掛かり、叫ぶ前に喉をナイフで掻き切る。
噴水のような血液を出来るだけ避けながら進んでいけば此方に気付く者が三人現れた。此方に向けるはマシンガン、数を撃てば一発は当たるだろうと言う考えは否定しないが、地面に胸が付く程身を低く伏せると同時にナイフを投擲。腹、肩、膝と三人それぞれに命中。ナイフには返しがついており無理に抜けば失血死は免れない。
叫ばれたり入り口に立っていられると純粋に邪魔なので下段から蹴りを繰り出して昏倒、他も鳩尾に打ち込み倒れるのを横目で確認しながら邸内に侵入する。
如何にも金持ちらしく剥製や彫像、絵画等々飾られていた。まず見付けたのは階段の上から此方を見る使用人の女性。躊躇いなく眉間に銃弾を撃ち込んだ。無駄打ちだったかもしれない。
まぁ、銃声が聞こえれば流石に異常事態には気付かれる。向こうから放たれる銃弾を避けながら警護らしき人間の動きを確認して警護対象が居る方向に走るのを見届ける。ならもう戯れは必要もない。
ベルトに仕込んだワイヤーを投げて階段の手すりに巻き付けると一気にロビーから廊下へ降り立つ。驚く者達を尻目に一直線に駆け抜けてボウガンを射出し警護を葬っていく。
向かっていた部屋は此処だと扉を開ければ縮み上がった男性が一人。見せられていた写真と一致することを認識して眉間を撃ち抜いたその時だった。
足元に淡い光が浮かび上がり身動きを奪われる。何者かの能力か、と舌打つ間も無く視界は白に包まれた。
目を開ければそこは教会だろうか。シスターが数人、話を聞くのが先か。そう思っていた頃に奥から桃色の髪に翡翠の瞳を持つ少女が現れてこう告げた。
「よくぞ参られました勇者様、どうか世界をお救い下さ…ぴぎゃあ!」
なんて、情けない声を上げて卒倒した。何なんだ、と思ったが今自分は返り血に塗れていたのだった。
いきなり主人公血塗れ…ですが、次からは少女視点となる予定です。宜しくお願い致します。