episode2 ②
「ああータイムセール忘れるとかありえない」
カフェを出て家に帰りスーパーに行ったらタイムセールの商品を買い忘れてもう一度急いでスーパーに向かった。
うちは両親が共働きで家事は基本的に俺が行っていて、下に小学生の妹がいるがまだ小学生なので、危ない事はあまりさせられないから。
おそらく遠乃さんの事が気になって仕方ないからだろう。
「………」
なぜ、こんなにも気になるのだろうとか、どうしてここまで気にするのだろうとか、自分でも本当は分かっていない。
だけど、同仕様もなくいたたまれない感情に落ち潰される。
「はあ…」
なんとなく浮かない表情で家へと向かっていたその時だった。
あの感覚が今日もやってきた。
「!?」
その瞬間、ぴたっと足を止め辺りを見渡す。
「…このあたりではないな」
それは、妖魔の気配である。
妖魔が出現すると普通ではない言葉では言い合わせない異様な違和感に襲われる。
最初は恐怖のようなおぞましい感覚だったけど、今では感覚が現れるだけでなんともない。
ただ近くにいる場合、もしかしたら闘えない人が襲われる可能性があるので、出来るだけ助けるようにしている。
俺は闘う能力は持ってないけど、すみれさんから貰っている妖魔対応武器を持ってるから退治ができる。
俺はそのまま気配のある場所へと急いだ。
「!」
気配に近付いたと思ったその時、妖魔のおぞましい気配がぴたっと消えたのだった。
「誰かが倒したのか?」
そして、気配があった場所に向かうとそこには、寒い冬空の中、電柱の明かりの下に1人の小柄な女の子が真紅の色に近い真っ赤な色のした先端が尖った武器を握っていて、その先端にはポタポタと赤い血が落ちている。
明かりから見えるのは、ピンクのツインテールとオレンジ色のショートの後ろ髪の変わった髪型。
「遠乃さん?」
「…えっ」
俺の呼び声に驚いた表情で振り向くと、その瞳は綺麗なピンク色のはずなのに更に哀しい目をしていた。
「あっ…えっ…なんで?」
「気配が感じたから」
俺はそう言ってゆっくりと遠乃さんに近付いた。
けど、遠乃さんは俺に対して怖がる様子で後ろに下がる。
「気配…やはり、あなたが力を持ってるんですね」
「持ってるけど、でも、俺のは」
「魔力とかそういう力じゃない」と言おうとしたら、遠乃さんは俺の話しを聞く事さえなく、自分の意見を通す。
「音唖に近付かないでください!」
「いや、だから…」
「さよなら」
そう言って遠乃さんは逃げるように走り去っていった。
気が付くと、いつの間にか遠乃さんが握っていた武器は消えていた。
「違うのに…」
☪︎·̩͙♩。*✡☪︎·̩͙♩。*✡kanato☪︎·̩͙♩。*✡☪︎·̩♩。*✡