表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/29

episode1 ④

いつもの遊びのようなただ喋りながらお茶をしながらの本を読む部活動が終わり、ことちゃんは先に用事があるようで先に帰った。




本当にこの部活って基本的に活動らしい活動がしていない気がしている。




(まあ、楽しいからいいけど)




駅を降りて、すぐ近くの公園の横を通る。




その公園は昨日妖魔の事件があった場所である。




「どうした、奏兎」




「ここって昨日の妖魔の事件があった所だよな」




「ああ、昨日もあったもんね」




「………」




(妖魔か…)



俺はそのまま公園に目を向けたままじっと見つめていた。



妖魔はどこから来てどこから現れるのか、今だ理解不能である。




妖魔が出現し始めたのは、今から96年前突如出現したと言われている。



その原因としては、力の持った者や魔力の持った人間を追ってきたとも言われているが、正確な所よく分かっていないのも現状である。



最初は僅かだった妖魔の数が年々と増殖し始めて、妖魔に対して危機感を覚えた国は60年程前から国や政府が設立させた、【妖魔協会機関管理組織】という機関が設立された。



妖魔はなぜか明るい時間帯を嫌い、暗い時間帯にしか出てこない、言わば夜行性みたいな生き物である。



妖魔は力の持った人間や魔力の持った人間しか襲わない為、妖魔が見えない人間は決して襲う事はない。



近日、毎日のように起きている妖魔の事件は基本的に力のある人間が妖魔に襲われて殺されているのである。




「いいかげん、なくなってほしいものだわ!」




プンプンと妖魔を毛嫌いするかのように愛華は近くにいた猫と睨み合っている。



「………」




これも、いつもの事である。



「シャー」


「シャー」



愛華はいつも野良猫と顔を合わせると、こうやって同じように威嚇をしている。




傍からすればおかしな光景でもあるが、愛華曰く「猫がいるんだからしょうがない!」とキレ気味に言っている。



「お前さあ、猫と毎回ケンカすんのやめてくんない? すっげー見られてるんだけど」




「…しょうがないじゃない、そういう体質なんだから」



愛華は拗ねるようにプイっとふて腐る。



実は愛華には変な体質を持っていて、それが妖魔の呪いである。



妖魔には様々な形や種類が存在している。



その中の一つ、愛華は幼い頃に猫型妖魔に近付いたせいで殺され掛けた所を父親に危機一髪助けてもらったものの、その猫型妖魔に猫の呪いを掛けられて猫みたいな体質になってしまったのだと。



それ以降、まるで猫のような体質になってしまったのである。



注意しないといけないのが、満月や近くづく猫耳やしっぽが生え、ただ生えるだけならいいのだけど、濃い満月の日は本能まで猫化になり暴れる事があるから要注意である。



愛華はそのせいか猫が大嫌いな反面、私物や服の柄は殆どが猫柄や猫の形の物ばかり持っている。



いつも猫耳帽子を被っているのは、猫耳が突然生えても防御する為でもある。



ただ、治す原因は全くといって不明らしい。





「ところで2人共、うちに来るの?」



愛華は俺と壱に向けて何気なく言う。




「ああ、うん。今日は行こうと思って」



「最近、行ってなかったしな」



「俺は家の事で忙しかったし」



「壱は基本的に忙しいよな、よく部活を許してくれたよな」



「それあたしも思った」



「まあな」



壱はこう見えて由緒正しい家柄のおぼっちゃまで、しかも妖魔の関わってる家系でもあるのだ。




「今日、すみれさん、いる?」



「ああ、うん。今日も営業してるよ」



「そっか」




•͙┄✩ͯ•͙͙✧⃝•͙͙✩ͯ┄•͙✧⃝•͙┄✩ͯ•͙͙✧⃝•͙͙✩ͯ┄•͙✧⃝



「ただいまー」



愛華と俺と壱とで、愛華の住んでいる家ではなく居候している人のカフェへとやってきた。



「あ、おかえり、愛華ちゃん…と奏兎くんと壱仁くん、いらっしゃい」



愛華の家族は母親を幼い頃に母親を病気で亡くしており、父親はいるがいつも忙しい人で中々家に帰る事ができず寂しい思いをさせている事に気を遣い、愛華の父親の部下の方に頼んで知り合いとカフェを経営している人の家に居候させてもらっているのである。



「詩音ちゃん、すみれさん、いる?」



「うん、でも今お客さん来てるから」



「分かった、空いてる席座っていい?」



「いいよ、何か頼むの?」



「うん、温かいの飲みたい」



「外寒かったもんね」



空いた席に3人共座り、俺はココアと紅茶クッキーを頼んだ。



「あんたは女子かいつも思うけど」



「えっ美味しいじゃん。ココアに紅茶クッキー」



「こいつって女子力高い所あるからなー」



「うるさいなー別にいいじゃん」



最初からこうだった訳じゃないのに、気が付いたらこうなってたんだから。



(ふぁあーおいしい)




「いらっしゃい、お二人さん」



お茶を飲み終えた後、1人の女性が俺らに声を掛けてきた。



「あ、奏兎くん、またそれ頼んだん?好きやね〜」



「美味しいからいいんですよ」



「そやね」



少し強めのウェーブが掛かったパープルのヘアにおしゃれな柄の着物を来た綺麗な女性が桜坂 すみれ〈おうさか すみれ〉さん、京都出身の品のある人で愛華の父親の部下の方である。




すみれさんは先ほどのストレートヘアの笹垣 詩音〈ささがき しおん〉さんとここの【milke cafe】を経営してるのではなく、お店の4/1のスペースですみれさんの仕事スペースとして使わせて貰っているのである。



実はすみれさんの本業は占い師で、ある占いの館でお店を抱えている人で、副業としてというか最近はこちらの方が本業になりつつあるが。



愛華の父親は妖魔協会の会長で、すみれさんは妖魔協会の人間で、愛華の父親の指令でこのお店のスペースで妖石鑑定士の仕事をしている。



妖石とは妖魔を倒すと石の結晶となり、強ければ強い程金額も異なるらしい。



ただ、俺は結晶は見た事はあるが、結晶になる光景を今まで見たことがないのでよくは知らない。




「ねえ、すみれさん。お客さんってあの子?」



「ええ、そうやよ」



「やっぱり!」




(あの子?)



愛華のセリフにすみれさんの仕事スペースの方に目を向けると、1人の小柄の女の子が出てきた。



「!?」




その子の姿は見覚えあり、朝に気になった女の子だった。



(あの子は…!)




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ