episode1 ②
「遅い!」
「別にいつも通りの時間だろ」
「あたしを待たせたじゃんか」
校舎に入りなぜか下駄箱近くで、猫耳帽子の被った焦げ茶色の髪色にふわふわの癖毛にゴールドの瞳のした少し気が強い女子事、宮城 愛華〈みやぎ あいか〉が待っていた。
「つーか、なんで来ないのよ」
「日直はお前だろ? なんで合わせて行かなきゃいけないの?」
「むう」
愛華とは幼なじみで昔からなぜか俺に構う所がある。
それを壱曰く、愛華は俺の事が好きなんじゃないかと言うけど、愛華はいつも「違う」と断言している。
まあ、俺としてはどうでもいい事だけど。
「ねえ、教室いこう。ここ寒いし」
「だったら、教室で待ってた方が」
「いいじゃん別に」
かと言って、別に愛華は俺にくっつく事をする訳でもないから、おそらく違うと言える。
「………」
と、その時、1人の女の子のカバンからキーホルダーが落ちたのに気づき、落ちたキーホルダーを手にしその子に声を掛けた。
「ねえ、落ちたよ、キーホルダー」
俺の声にその子は振り向きふわっと2本のツインテールが揺らぐ。
「………」
その瞬間、俺は違和感を囚われた。
「あ、ありがとう…ございます」
その女の子は小さな声でお礼を言い、キーホルダーを受け取った後、逃げるように中等部の方へと向かっていった。
「…………」
(今の子)
「あの子、中等部の子だよな。てか、可愛いかったな、ちょっと不思議な髪型だったけど」
「確かにそうだね」
壱は後ろから近付いて、あの女の子について言う。
確かに背が低くて可愛い子でツインテールで後ろがショートという不思議な髪型をしていた。
でも、俺が気になったのは髪型ではなくて、あの女の子の瞳がすごく気になった。
なぜなら、あの子の瞳があまりにも哀しそうな瞳をしていたから。
表情は普通だったけど、瞳に色がないように見えた。
「ちょっと何してるの」
「ああ、ごめん。奏兎が」
「うん?」
愛華が俺ら2人が来ていないのに気付いたのか戻って来る。
「どうしたの、奏兎」
「いや、別に」
それがその子との出会いだった。
今思えば、あの子は最初からいつもオドオドしていたんだ。