表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/29

episode6 ①

「ねえ、遠乃さん」



とりあえず、気を落ち着いて遠乃さんに尋ねる。



「俺はね、君のことを知りたいと言ってもダメなのかな」



「………」



俺の尋ねに遠乃さんは、さっき程見せた笑顔と違ってまた哀しみのある浮かない表情を見せた。



「ごめんなさい」



「それはどういう意味のごめんなの?」



(やはりしつこいのだろうか、だから嫌がっているのかな)



「…」



少し黙り込んだ後、遠乃さんはゆっくりした口調で口を開いた。



「…桐峻先輩は、会長さんや妖魔協会の人達と比べようがないぐらい優しい人です。愛華先輩やすみれさんは優しいけど距離を取る接し方なので」



「……」



「みんながみんな同じじゃない事はわかっています。でも、本当の事言ったらきっとみんなみんな同じ態度になるはずです。きっと先輩も手のひらを返すような態度になると思います」



彼女はきっと適当に言っているじゃないと思う。



おそらく妖魔協会から軽蔑などあしらった扱いを受けてきトラウマのような感情になって俺にもそう言ってきたのだろう。



確かに俺は遠乃さんに何があったかは知らないけど、けど、俺が遠乃さんが気になる感情になったのは事実で間違いではない。




だから、軽蔑したりあしらったりしないと確信を持てる。



「そうかな? 妖魔協会の人は単に興味持たないからそいういう態度を示しているんじゃない? 本当に興味ある人間にそんな軽蔑する態度なんかしないんじゃない?」



「………」



俺の言葉にまっすぐに耳を傾けてくれいるけど、でも当の本人はどこか否定している面持ちに見える。




「そんなの分かりきってます」




なんの表情も変える事なく確信を持つようにやんわりと答えた。




「分かりきってるんです…みんなそう……両親でさえも」



2度目に言った「分かりきっている」という言葉は弱々しく儚げで今にも消えそうな口調だった。



「全部音唖が悪いから…」



(遠乃さんが全部悪い?)



そう言うと、俺にお礼を言ってそのまま立ち上がりカフェから去っていたのだった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ