episode5 ②
それは遠乃さんの性格上の問題と言えるのだろうか。
それが原因ですみれさんは忠告しているのだろうか。
ただそれだけの理由だけなのだろうか。
「どうするも何も、逆に聞くけど奏兎くんはなんでそこまで音唖ちゃんをきにするん?何か意味でもあるん?」
(意味…?)
「意味って言う程のものはないけど、ただ心配なだけなんだと思います」
「心配?」
「だっての子、すごく可哀想に見える。それにまるで孤独を必要としているみたいで、このままだと本当に1人になってしまう気がするから」
そんなの可哀想すぎる。
どうしてこんなにもあの子が気になるのかは分からないが、でもほっとけない。
もしあの子に誰もが関心を持たなくなってしまたら、それこそ本当に孤独になってしまう。
「ねえ、奏兎くん。あの子の事好きなん?」
すみれさんは疑問そうに何気なく聞いてくる。
「違います」
「ちゃうの? まあ、性格は根暗な女の子やけど見た目は奏兎くん好みの可愛く小柄で小さな女の子やからてっきり」
「………」
いや、確かに遠乃さんはかわいいし小さいから、絶対にゴスロリやロリーターの服装が似合いそうで頼みたいぐらいだけど。
「いや、まあ……それはその…」
「奏兎くん…目泳いでるんやけど」
「違いますから違いますから。そんな下心はないですから」
「誰もそんな事言っとらんよ?」
「……」
まるで心の中を見透かされている感じだ。
すみれさんは占い師だからかもしれないけど、やっぱり分かるものなんだ。
占いとかは言う程は興味ないけど、すみれさんの占いは本当にすごくて、何度か占ってもらった事があるのだがかなり当たる。
だから、見透かされている感が半端なくて少し戸惑う。
「……俺はそこまで卑劣な人間じゃないです。きっと遠乃さんは誰に対しても心を開いていないし、それに俺の欲望は遠乃さんにとってはきっと迷惑だし自分勝手でしょ」
「………」
俺の言葉にすみれさんはなぜかぽかんとした目で俺を見る。
「奏兎くんって…やっぱりまともやね」
すみれさんの口から出たのはそんな拍子抜けするような言葉だった。
「すみれさん…俺を何だと思ってるんですか?」
「いやだってね、愛華ちゃんも壱仁も妙に変わった子やろ? 奏兎くんもそういう所あるんかなって」
「それ、ある意味失礼ですよ」
というか軽くディスっている気もするけど。
「別に俺は普通ですよ。あいつら変わってるだけで。それにあいつらは変わってるけど、人並みの気遣いとかはありますよ」
「うん、分かっとるえー」
「じゃあ、なんで聞いたんですか?」
「なんとなく」
なんとなくでディスった言い方をしたのか。
「奏兎くんは本当に不思議な子やね」
「不思議ですか?」
そんな言い方をされたのは初めてだ。
でも、すみれさんの事だからおそらく意味なく言ったのではなく、何らかの意味があるのだろう。