episode5 ①
愛華に今日の部活を休むことを伝え、すぐに鞄を手に持ち教室を出ると、壱に呼び止められる。
「奏兎。部活行くなら行こう」
ちょうど隣のクラスから壱が出てきた。
「悪い。今から行くとこあるんだよ」
「えっ」
「悪いな」
そう言って俺は壱から離れて歩き出した。
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「・・・・」
学校を出て地元の最寄り駅を降りて俺はある場所へと向かった。
そこは―――。
【ガチャ】
「いらっしゃいませ。あら、奏兎くん。今日も来たのね」
「こんにちは、詩音さん。すみれさん、いますか?」
「うん、いるよ」
俺はすみれさんにどうしても聞かなきゃいけないことがあって、milkeカフェへとやってきた。
お店に入りそのまま奥のすみれさんの仕事スペースへと向かった。
「おや、奏兎くん。いらっしゃい、どうしたん?もしかして、武器の札なくなった?」
「そうじゃないんですけど」
「?」
俺は両手を机の上において、すみれさんの目を見据えた。
「あの! 遠乃さんの事を詳しく教えてほしいんです」
「奏兎くん…」
真剣なまなざしに俺の心を察するかのようにすみれさんは静かに問う。
「あの子のことが気になるん?」
「愛華に聞いて、遠乃さんに聞いたんだけど、詳しい事は聞けなかったんです。でも、俺はやっぱり気になって。すみれさんは遠乃さんの事詳しく知っているんですよね?」
「そりゃあ、一応保護者やからな」
「保護者?」
「でもな、奏斗くん。それは無理やよ」
「…」
その時、俺はなんとなくすみれさんに断れるんじゃないかと考えていた。
予想していた事だから驚くことも何も反応を示さなかった。
「やっぱり無理なんですね」
「奏兎くん…分かっとったん?」
「まあ、断られんじゃないかって」
「だったらなんで?」
「それでも俺は教えてほしかたっんです」
「…そう」
断れることぐらい理解してた。
それでも、俺は知りたかったんだ。
知ってどうなるぐらい分かってるけど、でもどうしても遠乃さんの事が知りたい気持ちでいっぱいいっぱいなんだ。
「どうしたらいいんですか?」