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episode 4 ①

「ねえ、遠乃さん。もう少し近くに寄ってくれないかな?」



遠乃さんはなぜか俺が座ったベンチから二つ離れたベンチに座っている。



「別に聞こえなくないけど、少し声出さないといけなくない?そうなると、他の人にきこえるんじゃない?」



「…」



遠乃さんは諦めたのか静かに俺の隣の一人分空けて腰を下ろした。



「それで話しってなんですか?誤解ってどういう事なんですか?」



遠乃さんはさっそく切り込むかのように尋ねてくる。



「遠乃さんは妖魔狩りなんだよね?」



「聞いたんですか?」



「うん、愛華から。とういうか、昨日ので分かったし」



「そうですよね…」



遠乃さんはよっぽど妖魔狩りの事を知られたくなかったのか、悲しい顔をする。




「遠乃さんは俺の力の事を誤解してるから、誤解したままは嫌なんだよね」



「誤解…って先輩は力があるんですよね?」



「まあ、確かに力はあるよ。でも、俺の力は何のサポートにもならないけどね」



「…どういう意味ですか?」



「そのままの意味だよ。俺には妖魔と闘える力が一切なくて、ただ見えるだけなんだよ」



「見えるって…妖魔に対応できる力はないんですか?」



「その通りだよ」




「えっ」



俺の言葉に遠乃さんは不思議そうな表情で驚きを見せていた。




「どういう事なんですか?」




「俺には不思議な力が元々あってね、霊感はないんだけどその人が持っている不思議なオーラや力が持っている人の能力を視る事ができるんだよ。だからなのか分からないけど妖魔を見ることはできてすぐに察知できるけど、妖魔からは狙われることはないんだよ」



「えっどうしてなんですか?」



「さあ、俺にも分かんない。家族も俺以外力持ってないし」



「えっでもそんなことってあるんですか?」



力を持つ人間は基本的に遺伝が多く、それ以外だとしたら薬とかだと言えるけど、でも、俺の場合は何になるんだろう?



俺のは遺伝でもなんでもなくて、俺以外誰一人として力を持っておらず、それ以前に俺のは普通の力ではないから。



「うーん普通じゃありえないよね。遠乃さんは遺伝になるのかな?」



「!?……ね、音唖は…」



俺は何気なく聞いただけなのに、遠乃さんはびくっと反応して下を向き辛い表情をする。



「遠乃さん?」



もしかしたら俺は地雷を踏んでしまった気がして、それ以上は聞くのを止めて別の話題に変えることにした。



(よくわからないけど、聞いていいことではないのだろう)



「えっと…それで昨日言ってた事なんだけど、聞いていい?」



ずっと疑問があった。



なぜそんなにも避けようとするのか。



俺は誤解されてたから、あれかもしれないけど、それでも避けようとしている事に疑問があった。




「どうして、「近づかないで」と言ったの?」



「それは…」



遠乃さんはまた黙り込み、少し苦い表情をするが、静かに俺の方を見て答える。



「ダメなんです…音唖に近付いたら狙われるんです」



「狙われるって…そりゃあ力を持っている人間は妖魔に狙われやすいけど」



「そうじゃないんです。そうじゃなくて、音唖は特別に狙われやすいんです」



「それって、愛華や壱以上に狙われるって事?」



「そういう事です」



だから避けるような言い方をしたって事なのか。



でも、なんで…。




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